【第15話 俺の】
同棲生活が始まり、
成美の表情にはどこか柔らかさと穏やかな雰囲気が増していた。
けれど、会社へ一歩足を踏み入れれば、
相変わらず「頼れるしっかり者の成美先輩」だ。
その日の昼休み。
成美は会社の賑やかな食堂で、
後輩や同僚たちと大きなテーブルを囲んでランチをとっていた。
「いや〜本当に成美先輩って、仕事もできるし優しいし完璧ですよね」
「本当それ! 成美さんが彼女だったら、自慢しまくりですよ」
後輩たちがワイワイと盛り上がる中、
同僚の男性社員が冗談めかして笑った。
「そうだよなー。俺、成美さんの彼氏に立候補しようかな?」
「えっ、ずるい! それなら僕も立候補しますよ!」
口々に飛び交う冗談に、成美はクスクスと笑いながら手を振った。
「ちょっと、何言ってるんですか~。からかわないでください。」
いつもの和やかな会話。
成美は、自分のすぐ後ろに一人の男が立っていることに
全く気づいていなかった。
その日、たまたま別の商談で
成美の会社を訪れていた幸也。
昼食をとろうと食堂に入り、
楽しそうに笑う成美の背中を見つけて歩み寄ってきたのだ。
楽しげに「立候補」と盛り上がる社員たちの会話を、
頭上から静かに聞いていた幸也は、
成美の肩に手を添えて、低いけれど軽い声で言った。
「ダメ〜」
全員、「……え?」
幸也が立っている。
そして成美を見ながら、
「こいつ、俺の」
「「「「えええええええっ!?!?!?」」」」
食堂の一角に、爆発的な大歓声と悲鳴が響き渡った。
「幸也さん!?」
「え、嘘でしょ!? いつからですか!?」
「全然知らなかったんですけど!!」
「成美先輩、いつの間にー!?」
周りの大騒ぎに、成美の頭は一瞬で真っ白になった。
耳まで真っ赤に染まり、両手で顔を覆う
。
「ちょっと……幸也さん……っ!」
そんな成美のパニックぶりを見て、
幸也はフッと満足そうに鼻で笑った。
「何だよ。言ってなかったのか?」
「だ、だって……会社ですし……!」
「ふーん。俺は別に、隠してねぇけどな」と笑った




