第57話
宮崎から広島への帰還後、俺とリサさんの結婚の噂は、あっという間に職場全体へと駆け巡った。
「浅野! 門脇! 本当におめでとうっ!!」
報告した瞬間、オフィスは割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。直属の上司である内山田課長に至っては、「帰蝶もお前のパグたちの親戚になるんだな……!」となぜか目をうるませて感動していた。
そんなお祝いムードの渦中、相棒の佐藤がコーヒーカップを手にニヤリと笑いながら近づいてきた。
「ちくしょう、一足先に行かれたか! ……あ、ちなみに俺とみきさんも婚約したぜ。みきさんの大学卒業を待って、正式に結婚する予定だ」
「おお……! お前も本当におめでとう、佐藤!」
佐藤もみきさんと将来を固め、一歩踏み出していた。相棒の幸せそうな顔に、俺も心からの祝福を贈る。まぁ、結婚の先輩としては俺が一足お先というわけだ。
そして昼休み、さらなる驚きが待っていた。
「浅野君、門脇さん、結婚おめでとう!」
なんと、社長自らが破顔一笑で二人のもとへ歩み寄ってきたのだ。しかもその手には、可愛らしくラッピングされた大きな箱が握られていた。
「これ、君たちの愛犬――大福ちゃんとアズサちゃん、それにちまきちゃんへの結婚祝いだ。犬用のホールケーキを買ってきたよ!」
「えっ……社長、犬用のケーキですか!?」
「当たり前じゃないか! 君たちの恋を繋いだのは、その怪獣たちなんだろう? 今日はみんなで盛大にお祝いしてやりなさい!」
社長の粋すぎるサプライズに、俺とリサさんは顔を見合わせ、深々と頭を下げた。
一度は過労で倒れ、暗転の闇をさまよったあの四月。
そこから一年余り――俺の周りには今、愛する妻となるリサさん、愛おしい怪獣たち、そしてこんなにも温かく頼もしい仲間たちが揃っている。
俺たちの人生のインフラは、どこまでもどこまでも、眩しい光に満ちあふれていた。




