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パグ日記〜俺とパグの同居日記〜  作者: 水前寺鯉太郎
第3部

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48/59

第48話

 バーベキューが終わったその日の夜、ベッドの上でスマートフォンを操作しながら、俺は個人的な「巨大なデータベースの更新」を行っていた。

 メッセージのやり取りの中で、ついに知ることができたのだ。

 門脇さんの下の名前が、『リサ』ということを。

 彼女のフルネームは、門脇リサ。

 聞けば、お父様がアメリカ人で、お母様が日本人とのことだった。日本での生活が長いお父様は日本語がペラペラで、現在は語学を活かして通訳の仕事をされているらしい。

 先日のドライブで見せてくれた華やかなフリルの私服や、どこか洗練された品のある佇まい。そのルーツを知り、俺の胸の奥でストンと納得のいく音が響いた。

 そして何より驚いたのは、年齢だった。

 彼女は、俺の一つ年上――頼れる「一つ年上の先輩」だったのだ。

(門脇……リサさん……)

 静かな部屋で、心の中でそっとその名前を呟いてみる。

 これまでずっと「経理部の門脇さん」と呼び、どこか壁を感じていた存在が、LINEの画面越しに「リサさん」という一人の等身大の女性として、ぐっと身近に迫ってくる。その事実に、俺の心拍数は大福の「おかえりスピン」並みの速度で跳ね上がっていた。

 ふと視線を落とすと、足元では「リサ」というお上品な響きとは程遠い我が家の怪獣・大福が、ヘソを天井に向けて「フゥ……フゥ……」と呑気なイビキをかいている。アズサもその横で丸くなっていた。

「おい大福。門脇さんはな、リサさんっていうんだぞ。一つ年上のお姉さんだ」

 語りかけると、大福は耳をピクッと動かしただけで、すぐまた深いイビキの渦へと戻っていった。

 ゴールデンウィークの夜。

 交換されるメッセージの行間に、一文字ずつ刻まれていく彼女の素顔。俺たちの恋と日常のインフラは、また一つ、かけがえのない大切な情報を蓄えていくのだった。

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