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31. 初夜ですわ。恥ずかしいので短めでごめんあそばせ。


 私の長い長い話を、じっくりと耳を傾けてらっしゃった殿下は、話し終えた際にお聞きになりましたの。


「タチアナ、まだお前はヒューバート国王陛下のことを忘れられないのか?」


 不安げに揺れる瞳をこちらに向けて、セドリック皇太子殿下は私の手を握ってこられました。


「陛下のことを?いいえ、陛下のことはずっと戦友のように思っていましたし、婚約者とはいえ二人でブーランジェ王国を良くしていこうという目標の元支え合っていた関係性でしたわ。恋とか愛とか、そのような気持ちはございませんでした。」

「そうか……。」


 フッと短く息を吐いた殿下はハッとしたように私の方へ向き直りました。


「それでは!まさか、私のことも戦友のように思っているのか?」


 焦ったような不安げなお顔をしながら殿下が大きな声で聞くものですから、私はついおかしくなって吹き出してしまいましたわ。


「ふふふ……。殿下、私は殿下のことをこの世でただ一人お慕い申しております。」 

「そ、そうか。それなら良いが……。今まで私の勘違いだったのかと不安になってしまった。」

「そんなわけありませんわ。イライザであったときには政略結婚で婚約が決まったのです。しかし殿下との婚約は私が望んでお受けしたものですわ。」


 そう言って殿下が握ったままの私の手をギュッと握り返しましたのよ。


「タチアナこちらへ……。」


 殿下が私の手を引いて寝台の方へと促しました。


「タチアナ、以前にも言ったが……。私は一生かけて貴女を守り、幸せにすると誓う。」

「はい、殿下。私はもうすでに世界一幸せですわ。」


 殿下が私を抱きしめて、耳元で囁きましたの。


「タチアナ、愛している。」

「私も、愛しておりますわ。」


 愛する人に秘密を話した私と、秘密知ってなお愛してくださる殿下は、今まで以上の固い絆で結ばれたような気がいたしました。



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