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26. ヒューバート様と私は戦場で戦う戦友のようだったのです


――それから皇太子殿下は国王陛下へお考えを上申され、国王陛下からその件について全てをおまかせされたそうですわ。


「タチアナ、相談させてもらっても?」

「もちろんですわ。私でお役に立てますならば。」


 妃教育の合間に、皇太子殿下とのお茶をすることが日課になりつつありますの。


「ブーランジェ王国の国王陛下が崩御され、皇太子ヒューバート殿という方が此度即位されたそうだ。」


 ……ヒューバート様が……。


「そうですか……。」

「タチアナ?どうかしたか?」

「いえ……。それではラガルド王国から、即位のお祝いをお送りしてそこからまず第一歩にしてはいかがでしょうか?」

「そうだな。私もそのように考えていた。早速そのように手配しよう。」


 その後の皇太子殿下との会話はほとんど覚えていないくらい、私は狼狽してしまいましたの。



 自室に戻ってから、まだ外は明るい時間ですけれど私は寝台に仰向けに横になりましたのよ。


「ヒューバート様が国王陛下になられた……。」


 思い出すのは婚約者として過ごした日々。


「ヒューバート様のことは初恋でしたのよ。それでも、婚約者同士だったにも関わらず、お互いが国のための政略結婚だと思う気持ちから私とセドリック殿下のような関係性ではありませんでしたわね。」


 そう、どちらかというと同じ戦場で幾多の戦術を考えて実行する戦友のような関係性でしたわ。


 民のことを大切にするヒューバート様と、セドリック皇太子殿下は同じような志を持つお二人ですから、きっと国交正常化も上手くいくでしょう。


 思い出されたのはあの殺された日の記憶。


『「アニヤ嬢を捕らえよ!……イライザ!イライザ!!しっかりするんだ!」


 あら?ヒューバート様泣いてらっしゃるの?ダメですわよ。

 貴方はこの国にとって大切なお方……。

 

 そのように感情を表に出してはいけませんでしょう?


 ああ……、なんだか目の前が暗くなってきましたわ。


 もう痛みも熱さも感じませんし、なんだかとても眠くて……。


「イライザ!目を開けるんだ!死ぬな!!」』



 あの日は、常に感情を表に出さないように教育されてきたヒューバート様が私のために泣いてらっしゃった……。


 私たちは、生きていればきっと良い戦友になり得たでしょうね。



「さあ!これからはセドリック皇太子殿下と一緒にヒューバート国王陛下との国交正常化へ向けての交渉を考えていきますわよ!」


 私は目尻に流れた涙を拭き取って、机に向かってこれからの計画を書き出していきましたわ。






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