第二十三話【最終決戦・九】
「「……え?」」
魔神と月は、その光をじっと見つめる。
光は徐々に大きくなり、やがて人の形になっていった。
いつも通り布の服を着た琥珀川瑠璃。
だが、普段とは明らかに異なっていた。
髪が白色に輝いており、全身から真っ白なオーラが放出されている。
更に魔神との戦闘によって負った傷が全て回復していた。
月は腕で涙を拭いながら、
「……瑠璃……さん?」
「俺、死んだよな?」
「……はい」
「ということは生き返ったのか? ……って月、めちゃくちゃ泣いてるじゃん」
「だって……。だって、仕方ないじゃないですか! 瑠璃さんが死んだんですよ!?」
「……ごめん」
「嘘でしょ? その光……まさか」
魔神が口を開けてつぶやいた。
「ん? お前何か知っているのか?」
「絶対神……様?」
その単語が出た瞬間、瑠璃は「あっ!」という表情を浮かべた。
「なんか指輪をもらったな。つけていたら面白いことになるって言われた記憶があるぞ」
「なんで人間ごときにあの御方が……」
魔神は信じられないといった表情をしている。
「えっ、瑠璃さん。どういうことですか? 全然話が見えないんですけど」
「そういえばまだ月には言ってなかったな。実はサードステージの最下層で、絶対神とかいうやつと話をしたんだよ」
「? ……あぁ、なるほど。それですぐボスステージに転移してこなかったんですね?」
「その通りだ。にしてもさっきから力がどんどん湧き上がってくるぞ」
「見た目からしてやばい感じが伝わってきます」
「ちょっとステータスを見てみるか」
瑠璃はメニュー画面を操作していく。
【琥珀川 瑠璃 男
Lv9999不可説不可説転
HP ──
MP ──
攻撃力 ──
防御力 ──
素早さ ──
賢さ ──
幸運 ──
『所持スキル一覧』
弱者の意地 LV1
HPアップ LV29999998
攻撃力アップ LV70000000】
「いや、これはマジでやばいだろ」
「こんな単位、聞いたこともありません」
月が画面を覗き込んで言った。
「とにかくこれで魔神に勝てそうだ。……おい、お前。戦う準備はできているか?」
瑠璃の問いかけに魔神は怯えたような表情で首を左右に振る。
「ま、待った! 君がどのくらいのステータスになったのかは知らないけど、もうやめよう。……ね?」
「今更何言ってんだ」
「まだ今期のアニメを全部見てないし、漫画も読み終えていないんだよ」
「あー、じゃあ大人しくついてこい。お墓の前で土下座するなら、許すかどうか考えてやるよ」
その瞬間、急に魔神の雰囲気が重たくなった。
「は? 何借り物の力で調子に乗ってんの? 僕が人間ごときに土下座をするわけないじゃん」
よほど土下座が嫌らしい。
「じゃあ無理やり連れていくまでだ」
「はぁ……。いずれあの御方に挑む時のために何万年も力を溜めていたんだけど、やりたくないことをやらされるよりかはマシだよね? 力ならまた溜めればいいし」
「何言ってんだ?」
「僕に力を開放させたこと……あの世で後悔するんだね」
魔神が指をパチンッと鳴らした直後、彼の全身から真っ黒のオーラが放出し始めた。
そのとてつもない威圧感は…………瑠璃のものに比べると大したことはなかった。
「あはは! これで僕のレベルは無量大数を超えたよ」
月は何かに気づいたらしく、瑠璃に耳打ちする。
「瑠璃さん。無量大数って、確かそんなに大きくないですよね?」
「ああ。不可説不可説転の足元にも及ばないぞ?」
「やっぱり……」
「ま、なんか面白いから調子に乗らせておこうぜ」
「瑠璃さん性格悪いですね」
「だろ? ……あーあと、一応俺の後ろに隠れておけ」
「あ、はい! そうします」
「何こそこそと話をしているの? 逃げる算段でも立てていたのかな? あはは! でもここは僕が創った世界だから、どこにも逃げ道はないよ?」
「マジかよー。これは詰んだかもしれないなー」
「ふふ、じゃあ今度は最初から全力でいくね?」




