流星
どんなに可哀想だとしても、今まであんまり害の無かった魔獣だったとしても、私達に敵意を向けて暴れ出す以上はとても危険な生き物だ。
大き過ぎる身体はそれだけでリヴァイアタンにも私達にも、そしてきっとこの世界にも過剰に負担が掛かる。
「……倒すんだよね?」
「倒してやらなきゃ、可哀想だろ。アイツはきっと、地球を丸ごと食べたって満足出来ないぜ。そういう生き物になっちまったんだ」
「全員が不幸な結末になるくらいなら、私達が、ですね」
『大海巨鯨 リヴァイアタン』はもう止まれない。ただでさえ大きくなり過ぎた身体を維持するのに眠っていたのに、【ノーブル】が余計なことしたせいで、満たされない食欲を満たそうと、きっと生き物を全部食べ尽くそうとする。
それでもリヴァイアタンはきっと満足出来ない。満足出来ないまま、食べ物が無くなった世界でひとりぼっちで死んでいく。
なんて結末はノワールでも想像出来るよ。とっても、とっても悲しい。誰も良い事がない最後なんて、良いわけないもん。
ここで止められるなら、止めた方が良い。
「そういうこった。……来るぞ!!」
大き過ぎる身体は、身体を横にしないとノワール達を見れないみたいで、血走ってる左目をキョロキョロ動かして、狙いを定めている。
用意されてるのは水魔法。一個一個は大きいのに、数はすごい量だ。
「まずは魔法を叩き落とします!!足場は組むので自由に使って、必要があれば言ってください!!」
「「了解!!」」
アメティアお姉ちゃんの指示でノワールとアズールお姉ちゃんも動き出す。ノワールは最後尾まで下がって、ツールボックスをガサッと拡げる。
中には色んな装備がぎっしり。ここでノワールは沢山の武器を使い分ける事にする。
「よいっしょ!!」
これから使うのは持ち込んだ装備品の中でも一番大きな物。安定しないノンちゃんの背中では使えなかったけど、アメティアお姉ちゃんが作ってくれた足場の上なら、使える。
「『対巨獣用換装・30式狙撃銃』……!!」
『30式狙撃銃』の換装パーツ。巨大な魔獣を想定して造られた超大型ライフル。
連射性は最悪だけど、威力なら一番ある。これなら、『リヴァイアタン』とも戦えるはず!!
『星見の狙撃鏡』から覗き込んだ目標。リヴァイアタンが発動した魔法目掛けて引き金を引く。
ズガンッ!!と普通の銃では絶対に聞こえない音が、防音イヤーマフ越しに聞こえて来る。
一発に込める魔力もとっても多い。反動も凄いし、やっぱり連射は無理だけど、ノワールの撃った星属性の弾丸は魔法を貫いて、リヴァイアタンの身体に直撃する。
「GYAAAAAAAAAA!!!!」
「狙いを定める必要がほぼないのは楽ですね!!」
「問題は大してダメージがねぇってことだ!!」
攻撃を受けてリヴァイアタンは怒って吠える。アメティアお姉ちゃんもアズールお姉ちゃんも、魔法と武器を操って、リヴァイアタンの魔法を壊して行く。
2人とも、魔法も攻撃力も上がってる。凄いな。負けたく、ないな……!!
ズガンッ!!とまた引き金を引いて星属性の弾丸をリヴァイアタンに撃ち込む。
アズールお姉ちゃんの言う通り、身体が大き過ぎて簡単に当たるけど、その分体力もあるし、魔力もある。
傷の大きさだって小さい。ノワール1人分の大きさの傷がついても、リヴァイアタンからすればきっとささくれが剥けたくらい。
傷口はすぐ塞がっちゃうと思う。
「どう攻める?デカ過ぎて頭蓋骨割るのも一苦労だぜこりゃ」
「頭数が全く足りてませんね……。せめていつも通りに戦えればなんとかなるかも知れないですけど」
どう考えても人数が足りない。3人と1匹じゃどうしようもない。
攻撃を仕掛けながら、みんなで考えるけど、倒すのはどうしても無理だと思う。
そうやって悩んでいると、【ノーブル】の施設の一部がガタガタ揺れてるのが見えた。
何だろうと思ってると、建物の屋根の一つが吹き飛んで中から凄い量の水と。
「「「「「きゃあああああ(うおああああ)っ?!」」」」」
【ノーブル】の施設に捕まってたアリウムお姉ちゃん達がそこから飛び出して来たのには、流石にビックリした。




