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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
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不調

ウチは一人で、ノワールはノンの背中に乗ってクライスを追う。薄暗い海の中だが、全く見えないワケじゃねぇし、時折ノワールが閃光弾を撃って辺りを照らしてくれる。

それにクライスも近付いて来ねぇとウチらに攻撃出来ねぇしな。着かず離れずの距離を保ってる感じだ。


やっぱ知能が上がったと言うか、戻ったと言うか。戦略を練って動いて来る。水中で有利なのはあっちだ。時間を掛けりゃ掛けるだけ有利だろうよ。


(だからと言ってそれに付き合う理由はねぇけどな)


どうすりゃクライスの牙城を崩せるか。問題はそこだ。さっき見たいなバカげた火力を出せるならそれが一番手っ取り早いけど、その方法も原因もよくわかってねぇし、どうすっかな。


一定の距離を取り続けて時間を稼ぐクライスと、長い時間を掛ける訳にはいかないウチら。ジリ貧を打開するには決定的な何かが必要だけど、そいつに欠いている。


「ぎゃうぎゃう」


(ちっ、もう4分か。ノワールは海上に浮上しろ)


そうこうしているうちにもう4分だ。ノワールはこれ以上海中にいられない。足場代わりになってくれてるノンも海面まで浮上する以外無い。

こっから先は個人戦だ。ウチとクライスの根競べにもなる。頭の怪我さえなきゃ有利だって言えんだけどな。

ノワールに言われた通り、ありゃ悪手だったな。


浮上していくノンとその背に乗るノワールを見送って、ウチがした選択が結果としてウチに不利を呼び込んでいるのは皮肉もんだ。

1対1の戦いは何度もやって来たが、ここまで頭を悩ませた事はねぇかもな。


「――っ!!」


ノワールとノンがいなくなったと分かって、早速クライスが威勢よく烏賊足を伸ばしてウチを取り囲んで来る。

『ヴォルティチェ』とそれに繋がる鎖を操って、それを牽制しつつクライスをどうにか捕まえられないかとためしてみっけど、その辺は向こうも理解しているのか、やり過ごされた。


持久戦を仕掛けて来てるのは誰が見ても分かる。ホント、知恵が回っても回らなくても嫌な奴だぜ。


舌打ちと嫌味をぼやきたい気分だが、残念ながら水中でそれは出来ないし淡々と烏賊足を捌いていく。そのまま本体ごと三枚おろしになってくれねぇか。

明らかに行き詰っている状況に徐々に焦りが出て来てるのも感じてる。血が止まってないのは感覚的に理解出来てるしな。


【――何してるのよもう。シャキッとしなさいってば!!】


「がぼぼぼっ?!」


【んんん?】


そんな中で急に頭に響いて来たのは聞いたことが無い女の声。驚くウチに驚く声。手は止まらなけど気は動転する。誰だアンタ。何処にいやがる?


クライスの烏賊足を雑に吹き飛ばして辺りをキョロキョロするけど、別の誰かの姿は見当たらない。敵意は無いのは声音からも分かる。どっちかと言えば味方。しかも結構身近にいたような、そんな気がするぜ。その辺はいつもの勘だけどな。


【もしかして私の声聞こえてる?】


(頭の中で良いなら聞こえてるぜ)


頭の中で聞こえて来る声に同じように頭の中で応える。一体どこの誰だか分からんけど、この反応を聞く限りはやっぱ敵じゃなさそうだ。

そして、その返事の仕方は正しかったらしい。頭の中で歓喜の声が上がって思わず意味が無いのに耳を塞いじまった。


ったく、頭の中で騒ぐんじゃねぇよ。


【やっっっと声が届いたわね!!陛下からもしかしたら意思疎通くらいなら出来るかもって聞いてたからずっと試してたのよ!!】


(よく分からんが良かったじゃねぇか。で?オタク誰だよ)


【私はテレネッツァ・ノブル・アグアマリナ。『優しさ(ツァールトハイト)』の中にいる妖精よ。やっとこの時が来たわ。ホント、ギリギリで間に合ってタイミングは最高よ、アズール】


『優しさ(ツァールトハイト)』の中に宿る妖精。そう聞いたら流石に驚くぜ。まさかメモリーの中にいる妖精と会話が出来るなんてな。Slot Absorberにゃそんな力まであるのか?そんなの聞いたこともねぇけどな。


【Slot Absorberの力と言うよりはそのモデルになった力の副次効果的な感じね。ともかく、ずっと試して来て良かったわ。貴女ったら中々気付いてくれないんだもの】


ウチに文句を言われても困るぜ。で、話しかけて来たって事はなんかあんのかよ?ただのお喋りなら今はお断りだが?


そう思いながら、また迫って来たクライスの烏賊足を『ヴォルティチェ』で相手取って行く。持久戦をやろうってのは変わらず。本体は未だに海中の薄暗さに身を隠したままだ。


【捻くれてるとまた魔力貸さないわよ。貴女、ついさっきまで自分がどうなっても良いとか思ってたんだもの。そんな人に私の魔力は貸せないわ】


(テメェ、それでさっきまで魔力貸さなかったのかよ。おかげで死にぱぐったぞ)


【戦士の誇りが無い腑抜けに貸す力は無いって言ってるのよ。しかもリーダーで姉役。それがそのザマなんて有り得ないわ。私も姉で戦士でリーダーだったからよく分かってる。妹達を引っ張り続けるのが姉の役割。リーダーもそう。それが出来ないなら変身なんてさっさと解除して海の藻屑になりなさい】


口の悪い妖精だぜ。確かコイツパッシオの許嫁だったんだろ?尻に敷かれてそうだなアイツ。


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[一言] 言われてるぞパッシオw
[一言] ······目に浮かぶ
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