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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
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二人で百人 / 凍風刀華

「ーーッ!!」


「何っ?!」


まさか自らの放った魔法と尾が全て斬り落とされ、弾き返されるとは思っても見なかったらしい。

今まで見てきた以上に驚愕の声音を上げ、呆けるショルシエに一気に肉薄する。


バキンッと音を立てて『翠嵐』の刃と弾かれ戻って来た3本の尾がぶつかり、鍔迫り合いを始める。

互いに魔力を纏わせた得物同士のぶつかり合いは一歩を引くことはなく、バチバチと魔力がせめぎ合って起きる火花が弾けていた。


「なんだその魔法は!!」


「貴様に教えてやる道理は無いっ!!」


高嶺流という『古い魔法』と呼ばれるものを見た事も聞いた事も無かった様子のショルシエは吠えながら私に問い掛けて来る。


当然だが、答えてやる必要など感じない。『古い魔法』は言ってしまえばこの世界では滅んでしまった魔法の技術。


妖精界から来たショルシエは知るよしも無いし、私達だって知ったのはごく最近だ。残念ながら答えられる程の含蓄も無い。


だが、この魔法なら届く!!


「悪鬼を退けろっ!!」


「またその魔法か!!」


右脚に生えている『蹴刃烈爪(ハリケーンドロップ)』の爪3本に高嶺流の剣技を使う。

武器は『翠嵐』一本じゃない。今までの感覚でやってるならその首を狙う以外はない。


「『柊・三連』!!」


長く鋭い風の爪で三本の尾を纏めて掴み、尾の内側から柊のトゲトゲの葉っぱを模した刃が貫いている。


堪らず悲鳴を上げ、尾を離したショルシエ目掛けて突撃するが、今度は障壁に阻まれる。

相変わらず用心深い奴だ。自分を守るためなら幾重にも防護策を張る手腕には目を見張るものがある。


両脚の爪で障壁を数発蹴り付け、斬り付けるが、傷は付くもののすぐに突破には至らない。

そのうち痛みが引いたらしい尾がまた殺到して来たので、『翠嵐』で捌きながら距離を取った。


「小娘!!いったいその魔法はなんだ!!魔法少女や妖精の使う魔法ではないっ!!」


「私達も今まで知らなかった魔法さ。お前に傷付けられたのがキッカケとも言えるかもな。そこだけは感謝する。あの時、貴様の狂言からアリウムを守るために身体を張ったのは私にとって大きなターニングポイントだ」


「傷付けられて得るものだとっ!?そんなものがあるものか!!」


「傷一つ無い事が強者の証だと思ってるならそれで良いさ。それも一つの強さだと認める。だが、私達が求める強さは傷付けられても立ち上がる強さだ。何度も何度も傷付いて、何度も何度も立ち上がる」


無傷の絶対強者か、傷だらけの英雄か。強さにも色々あるだろうが、私が私達が選んだ強さはそっちだ。


そしてそうやってこの魔法を教えてもらうキッカケが実際に出来たんだ。

悪いな。私達は揃いも揃って往生際が悪いんだ。やると決めたら出来るまでやらないと気が済まない奴ばかりでね!!


「そんなものは敗者の言い訳だ!!そんなに這いつくばりたければ無様に死ね!!」


「そんなもの、力だけが強い奴が弱い奴を虐めるためにでっち上げた理由でしょ!!」


放たれた魔力の弾丸。それと同数。いや、それ以上の数を凄まじい勢いで放ち、相殺したのはグレースアだ。


「ごめんフェイツェイ。全部凍らせるのは無理。あれデカ過ぎ」


「一部でも凍れば起きにくい筈さ」


一言謝り、私の横に降り立つとふんすと鼻を鳴らして仁王立ちだ。

気の強さなら私達の中でもトップクラスだな。


思わず唇が上がるのを感じつつ、怒りに荒れ狂い、狐のような巨体をショルシエは揺らす。

漏れ出る唸り声は不満や怒りといった負の感情がダダ漏れだ。子供が癇癪を起こしているようにも見える。


「おのれおのれおのれおのれ!!また魔法少女如きが我が道を阻むのか!!この私の道を!!」


「悪いが通行止めだ。引き返さないなら斬る」


「オマケに氷漬けにしてあげる」


お前一人が得な道なんて誰が走る。道を作るなら後に続く人々や世界の事を考えろ。

それが出来ないから『災厄の魔女』なんだろうがな。


策士であり謀略者であり、侵略者でありながら、ショルシエという妖精は今の私には子供のような不完全さが垣間見える。


無邪気にアリの巣を壊す、幼い子供のように。


「時間もそろそろ無い。一気に畳み掛ける。行けるか、相棒」


「あったりまえ。私と千草。二人合わせれば百人力だもんね。倒すよ、アイツ」


私は右の、グレースアは左の拳をコツンと当てて笑う。

あぁそうだな。さっさと倒すか!!


氷のように透き通ったメモリーと金色に光る『鷹』のメモリーを構える。

すると、隣にいたグレースアの姿がぼんやりと輝き、光の粒子になって『凍結(フローズン)』のメモリーへと吸い込まれていく。


やがてその姿はメモリーの中に全て吸い込まれ、『凍結』のメモリーもその雪の結晶の紋様が金色に輝き出した。


【Slot Absorber!! 『(ホーク)』‼︎ 『凍結(フローズン)』‼︎】


【Double Slot!! Perfect(完全)Synchro(同調)!!】


今度こそショルシエを倒すため、私達は今持てる全力を奴にぶつける。



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