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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
アリウム・コワニー

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真白

「母さんは間違いなく俺の事を思って、そうしてくれた。それが最善だと判断した。それを子供の俺が間違ってるなんて言うのは、なぁ?」


分からなくもない。親が子供のためを思ってしてくれたことに、しかもそのおかげでこうして生きていられることに文句を付けようものなら、親に子殺しをさせろと言っているようなもの。


色々な意見が出るのは当たり前で、私は私が生まれたからお母さんが死んじゃったと思ったし、彼はお母さんが命を賭けてくれたことで今こうして生きてられる。

多分、どっちの主張も間違ってない。物事の見方の話だ。


私は後悔と罪の意識が強くて過去を見ている。彼は現在を見たうえでお母さんの判断を尊重して感謝を忘れないようにしている。


どちらが正解か、と問われれば分からない。きっとこれ以外にもたくさんの意見が出て来て、話し合えば話し合うだけ意見が広まり、明確で確実な解答は出ないようにも思う。


「それでも、お母さんは私が生まれたから……」


「でも選択したのは母さんだ。俺を殺すか、自分の命を削るか。選んだのは母さんで俺達じゃない。選ばれた結果、俺が生きてる。母さんが死んで良かったなんて欠片ほども思っていないが、俺は母さんの選択を尊重するべきだと思う」


頭ではそう分かっていても、私と彼の意見は平行線をたどっていた。理屈は分かるけど納得が出来ない。

だって、私が生まれたせいでお母さんもお父さんも死んでしまったことは事実なんだから。


そこを無視することは出来ない。無かったことのように振舞ってなんてしたくないし出来ない。


「だからって目の前のこと全部投げ出して逃げんのかよ。今度の理由は父さんと母さんを殺したのは自分だから自分に救う資格は無いって?何回同じことやる気だよお前」


「逃げてなんか――」


「逃げてるだろ。自分が出来なかったことを他人に押し付けて勝手に罪悪感得て、被害者ヅラした挙句に今までやって来たこと全部辞めますとかふざけてんのかお前」


半分反射で言い返した私に彼は強い口調で突っぱねる。正直、何の言い訳も出来ない。その側面が無いわけじゃないから。


私は逃げ出したいんだ。知らなかった真実から逃げ出して、受け入れたくない現実から目を逸らしたい。それが本音。

だから知らんぷりをしたい。逃げ出す自分をいなかったことにしたい。


分かってる。分かってる。卑怯なのも言い訳ばっかりなのも分かってる。でも、それでも――。


「でも、やっぱりお父さんもお母さんも死んじゃったの、嫌だよ……!!」


これも本音なんだ。どんなに尊重した方が良いと分かっても、それを理由にして自分が逃げ出そうとしていることも本音。


それよりも何よりも、お父さんとお母さんが死んでしまっているその事実を受け入れるのが辛い。


「やだよ、何で二人とも死んじゃったの?なんで、やだ!!やだ!!なんでひとりぼっちなの?!なんで!!やだ!!やだ!!やだぁっ!!」


一番奥底にあった本音をぶちまけた瞬間、決壊したように子供みたいに駄々をこねて泣きじゃくる。

涙と鼻水でもうぐちゃぐちゃだ。頭の中の感情も滅茶苦茶。自分が今なんでこんなに悲しいのかもよく分からない。


ただ、親という存在にもう二度と会えないってことが私の深いところまで突き刺さっている。


「なんで、なんで……」


だから、私が生まれて無ければって思ってしまうのかも知れない。自分を引き換えにお父さんとお母さんが蘇るなら安いものだと考えてしまう。

そんなことを望んでるのは自分以外に誰もいない事も分かってる。他の皆にこんなことを言ったら失望されると思う。


それでも私がこの事実を受け入れられないんだ。辛くて悲しくて、それに耐えられそうにないから逃げ出したい。それが今の私だった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 何か、これまで溜め込んでた物が一気に全部溢れ出したような感じだな
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