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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
アリウム・コワニー

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真白

また逃げるのか、というのは私がさっき考えていたことを指しているんだと思う。

全部忘れてしまいたい、そんな弱音を吐いた私に彼は怒っていた。


「人生まるっとやり直しておいて、あれだけ大事な仲間を得て、その結果が全部を忘れたいとか、どういう神経してんだお前」


「だって、私のせいで皆が傷付いて、私のせいでお父さんもお母さんも死んじゃって、結局何にも守れてない。それどころか、ただの疫病神だよ。いるだけで周りを不幸にするくらいなら、いなくなった方が――」


「それを本心で言ってるなら、お前は正真正銘のクズだな」


直球ストレート過ぎるもの言いに、私は尻込みをして言い返すことも出来ない。怒りを通り越して呆れすら感じている雰囲気だ。

でも、もう私は私のせいで誰かが傷付くのに耐えられない。


救いたいと願った人々が、私が原因で傷付いているのだとしたら、それはもう疫病神だ。そうとしか、思えなかった。


「そもそも自分のせいで周囲が傷付いてるとか自意識過剰にもほどがある。自分が加害者じゃなくて被害者ヅラしてんじゃねぇよ」


「でも、実際私がいなければ……」


「真白って人間がいなかったら、ここまで事態が進むことも無かっただろうが。良くも悪くも、【ノーブル】の戦いの中で中心にいたの真白って人間だ。それがいなかったら、きっとここまで行く前にこの世界は滅茶苦茶になってただろうよ」


これこそ自意識過剰かも知れないけどな、と鼻で笑いながらも彼は堂々と発言した。私がいなければ、真白という人間の存在が事態をここまで進めた。


それが良いことか悪いことなのかはまだ分からない。結末としては【ノーブル】が勝つか、私達が勝つかの差だと思うけど、確かに私がいたことで色々な事が丸く収まり、物事が円滑に進んでいると言われたことは多々あった。


最も身近で言えば、この街の魔法少女達の関係。敵対とまではいかないにしろ、明確な味方でも無かった二つあったグループを一つにまとめる要因になったの私なんだと思う。


【ノーブル】の活動を見抜いたのも、舞ちゃんの才能を発掘したのも、委員長が無事に戻って来れたのも、うぬぼれなのかも知れないけど私の存在が大きかったかも知れない。


「俺たちが色んなものを繋いだんだ。きっとな。母さんがくれたその力が所以なのか、単なる偶然なのかは分からないが、それでも確かに真白が色んなものを繋げた。おかげで、色んな事が分かって、多くの進展があった」


「うん」


彼の言うことをまずは素直に受け止めてみる。少なくとも、間違ってはいない。受け入れるかの判断は私が後でするけれど、彼の言い分に理不尽は無くてむしろ道理は通っている。


それでも、私は私が許せない。私がいなければとどうしても思ってしまう。


「……父さんと母さんの事については、俺も衝撃的だったよ。まさか母さんが妖精で、しかも女王だっただなんて全く知らなかったし、多分父さんも詳しい事は知らなかったんだろう。知ってたとしてもどうしようもない。俺に真実を告げても、嘘っぱちにしか聞こえないしな」


「だったら、思わなかったの?私が生まれなかったら、お父さんもお母さんも死ななかったのにって」


「思わないね。いや、思っちゃいけない、だな」


ハッキリとした口調で彼は答えた。私が抱えている罪悪感を当たり前のように否定して、彼は自分の意見を主張する。

同じ人間のハズなのにここまで違うなんてちょっとびっくりする。それだけ、変わったという事なのかな。


「親の役割ってのは子を育てて、独り立ちするまで守る事。やり方に問題があるならそれは考えもんだけど、改めて考えてみると母さんと父さんのしてたことはそういう事だったと思う」


「私に何も伝えない事が?」


「だってそうだろ?母さんが別の世界から来た異世界人で、俺は何故か出来てしまった子供。真っ当な方法では何年生きられるかもわからないなんて言われてみろ」


「……その日から夜も寝られなくなりそう」


そんな信じがたい話を本当の話だと言い聞かせられた日には考え込み過ぎてノイローゼになるかもしれない。


魔力というエネルギーが当時は無い以上、いつ死ぬかもわからない。末恐ろしい話だ、大人だってそんな話を聞かされたら気が気ではないのに、子供がそれを聞かされたら精神的に強いダメージを受けそうだ。


「母さんがこっちの世界に来たのも偶然だったし、そこで子供が出来る事もとんでもない確率の奇跡だった。母さんだって魔力が無いならいつ死ぬかもわからない、頼れる人なんて父さんくらいしかいなかった。その中で産まれた子供が何も知らずに、ただの人間として生活することが出来るだけの魔力の供給方法なんて間違いなく一つしかない」


「……命を削って、魔力を注ぐ」


「あぁ、母さんはそうしてくれた。俺が人間として当たり前に生きていけるように。半分妖精だとしても、何不自由することなく『人間』として生きていくために、母さんは魔力を俺にくれた」


当時のお母さんからすれば、10数年後に世界の壁が破られ、魔力がこちらに流入してくることなんて考えもしなかったんだと思う。

こっちに来ること自体が奇跡みたいなことで、そこでお父さんに出会う確率だって奇跡みたいな確率。そして、二人の間に子供が出来たことだって予想だにしていない出来事だったハズ。


そんな奇跡づくめの中でもう一度あり得ない事が起きるなんて思う訳もない。奇跡はそんな簡単に起こらないから奇跡なんだから。



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― 新着の感想 ―
[一言] 前話では、あまいう?て思ったけど 何か、大人って感じするな
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