高嶺
魔法少女達に休養が設けられて数日が経った。各自、それぞれの考えなどで既に行動を開始しているのが大半であって、何も行動を起こしていない。まぁ、正確に言うと起こせないのが数名いるくらいだ。
碧と朱莉は2人でアレコレと情報交換をしているらしい。碧は朱莉に魔力の暴走の時の心構えや対処法を、朱莉は碧にメモリーの能力を上手く引き出すコツを教えているんだとか。
朱莉はバハムートのメモリーを体内に取り込んだ以上、自分の身に何が起こってもおかしくないと考えるべきだろうし、それの事前策を用意しておくのに越したことは無い。
碧は優しさのメモリーを使えば、自身の魔法で暴走することは無くなったが、逆を言えばそれ以上が無かった。メモリーから能力を引き出すのが上手いのは贔屓目に見ても恐らく朱莉が一番だろう。
本人は気が付いている様子は無いが、朱莉の強みの一つに息を合わせるのが上手いというのがある。その強みはメモリーとの相性にも適用されているようだ。
私が普段使っている『鷹』のメモリーを以前使った時も、あの時の私よりよっぽど使いこなしていた。
そんな朱莉からヒントが得られれば、碧は更に力を伸ばすことが出来るはずだ。お互い、必要なモノを持っている者同士の情報の共有ってところだな。
紫の方は、自らの戦い方の型のようなモノが明確に見つかったようだ。以前よりも随分熱心に実践的な訓練を始めたそうで、番長曰く、私達全員の魔法をスケールダウンして一人に集約させたような感じらしい。
字面だけでも恐ろしく厄介なのが分かる。だが、あの捻くれ者の紫のことだ、それだけでは終わらないだろうな。
舞は驚くことに街を離れ、師と仰いでいたS級魔法少女『雷鳴の魔法少女 ドンナ』のお膝下である福岡に向かったそうだ。
アイツも強くなって帰って来るだろう。もう一度、全員と肩を並べて戦う時が来るのが楽しみだ。
「どうしたの、千草お姉ちゃん?」
「いや、なんでもない。墨亜はどうだ?駐屯地の方に勉強しに行ってるって聞いてるが」
「うん!!おじさん達に色々教えてもらってる!!」
「……あんまりおじさんって言ってやるなよ。多分教えてくれてる人、偉い人だろうからな」
私はというと未だ怪我の療養中だ。肩からバッサリと斬られた手前、流石に完治までは遠い。
おかげさまで皆が動く中で私だけがベッドの上だ。
墨亜ですら自衛隊の駐屯地に赴いて、銃器の扱いや知識を本格的に勉強しているというのに、なんとも情けない話だ。
「???」
「うん、まぁ小学生に言ってもしょうがないよな」
自衛隊のおじ様達には申し訳ないが、子供のすることという事で勘弁してもらおう。礼節に関しては問題は無いはずだから、そこまで失礼はしてないハズだし十三さんがついて行っていると聞いてるしな。
「やっほー千草。暇してる?」
「嫌味かお前。暇だが」
墨亜と喋っていると、要がやって来て早速茶々を入れて来る。要の方も訓練に力を入れているらしい。
要は魔法少女の歴が一番短いというのもあって、今も基礎的な訓練を中心に魔法を連射するだけではない新しい使い方の模索や、単独でも戦える方法も探っているとか。
本人談なので何処まで進んでいるのかは分からないけどな。
「いやー、十三さん達の訓練ガチ過ぎて身体中筋肉痛だよ~」
「最近は真白だって同じようなメニューを熟してたぞ。うかうかしてると身体能力で抜かれるかも知れんぞ」
「マジで真白ちゃんならやられかねないから油断できないのがホントに困る」
真白はストイックだからな。必要なら身体をアスリートレベルまで鍛えるだろう。
ただ真白にとってそこまで身体スペックの強化に力を入れていないし、体力増強の方が真白的には重要だからな。
と言っても、今の真白にその気力は無いがな。パッシオは目が覚めたが、代わりに真白が眠ったままだ。
以前から真白の体調や精神面での診療をしてくれていた新田先生が言うに、精神的に過大なストレスが掛かった結果、脳を休ませている可能性があるらしい。
死んでいる訳では無いというが、二日も眠ったままだとなると心配にもなる。
それに、私自身のことについても未だに進展が無い。正直、煮詰まっているのが本音だな。
所用で遅くなりました




