Over take
新しく買ったキャリーケースに必要な荷物を出来るだけ詰め込むっす。
必要な荷物をは昨日の内にお母さんと相談して、足りないものも含めて全部揃えてもらったんっすよ。
キャリーケースもそうですけど、あっちで一人暮らしするためにはなにかと必要って事で。
「よしっ、コレでオッケーっすね」
詰め終わった荷物はキャリーケースとボストンバッグ。どちらもパンパンになってるっすけど、コレでも随分減らしたんすよ?
お母さんもお父さんも、弟も心配してあれもこれも持たせようとするから大変でした。
「舞、準備は出来た?」
「大丈夫。もう3回くらい確認してから詰めたから」
「そう。あ、ケーキ食べる?お母さん作ってあげるわよ。簡単なのだけど」
「食べる!!あっちに着く前にお腹空くと大変だし」
お母さんはケーキ屋で働いてるのもあって、お菓子作りが上手っす。
この街を少しの間の予定とは言え、離れる事にしたんすから食べておきたいっすね。
「あ、姉ちゃん。準備終わった?ゲームやろうぜ」
「良いよ。何する?」
弟もやって来てゲームをする事になると、リビングに置いてある据え置きと携帯を兼用出来る最新のゲーム機で遊ぶっす。
ボクのお給料で弟に誕生日プレゼントで買ってあげたんすけど、最近は一緒に遊ぶことの方が多いっすかね。
小学5年なのに、優しいので一緒に遊んでもケンカなんて滅多に無いんですよ。
「……姉ちゃん、いつ頃帰って来る?」
「ちょっとわからないなあ。出来るだけ早く戻って来ないといけないし」
「出来るだけ早くね。父ちゃん、一緒にゲームしてくれないから」
「分かってるよ」
一度街を離れるのは弟にも伝えてあるし、今日の夕方に出発することも伝えているから、弟はなんだか寂しそうっすね。
申し訳なくも思うっすけど、こればっかりは譲れないんすよね。ボクがやりたい事っすから。
……ちょっとシスコンの気があるから、それを治すにはちょうどいいかも知れないっすね。
「それにしても、いきなり福岡に行くなんて言い出すんだもん。ビックリしちゃった」
「あははは、ごめん。でも、今必要な事なんだ」
ケーキの生地の仕込みが終わったのか、お母さんがいつの間にか後ろにやって来て珍しく姉弟でゲームをやっているところを眺めてるっす。
言ってる通り、そんなに長くは福岡にいるつもりは無いし、心配することは無いと思うんすけどね。
普段は魔法少女なんて、もっと危ない事をしてるわけですし。
なんて、言うと怒られる気がするので何にも言わないっすけどね。
そもそも、福岡に行くのだって魔法少女として腕をあげる為っす。
今までも短期間で実力を付けたと思うっすけど、まだまだ実力不足。
今までよりも短い期間でもっと強くなるにはS級魔法少女のドンナ師匠に直接の指導を貰った方がいいと思ったんす。
一度皆とは離れ離れっすけど、絶対に強くなって帰って来るっす。
いつまでも、背中を追い掛けてるのは嫌っすから。
戦いのトップバッターはボクなのに、スピードばかりのボクは実力でみると皆よりずっと下っす。
ボクが凄いんじゃなくて、ボクが活躍出来るポイントを作ってくれる皆が凄い。
それじゃダメなんっす。もっと自分だけでも戦えるくらいに強くならなきゃ、対等に肩を並べて戦えない。
いつまで経っても新入り気分ではいられないのは、ここ最近の戦いで実感しました。
「短期留学?頑張ってね」
「勿論。必ず結果を出して来るよ」
弟には魔法少女の事はまだ伝えてないので、体面上は短期留学って形で福岡に向かうことになってるっす。
学校は協会の方が手を回してくれて、同じように短期の留学ってことで公欠扱いらしいっすね。
何にせよ、結果は出さなきゃならないんで緊張はしてるっすよ?




