道程
その後も話し合いは行われた。【ノーブル】に対する対応もそうだけど、主だっては私達の体調や容体の改めての確認と、今回の戦いで実感したことへの反省点や改善点などの出し合いなどだ。
「チームとしてのバランスは確かに良い。チームで戦えれば、不完全とは言えバハムートを打倒するくらいは出来た筈だ」
「問題は個々の戦力ってとこか。ウチらはチーム前提で戦略組んでっから、普通の魔法少女と違って個人戦になると急に戦略の幅が減るんだよな」
「役割分担の弊害、ですね。纏まれば強いですけど、分断されると急に戦い辛くなるのは以前からありましたけど……」
「【ノーブル】やショルシエはその弱点を良く理解しているんだろう。ここ最近の戦闘はとにかくこちらの分断を狙っているものが多い。個別の能力が低い訳ではないが、一人一人の戦略幅が狭いのは確かだな」
千草、碧、紫、番長の年長、あるいは頭が回る面々が、総合的な私達の評価とその強みと弱点を改めて洗い出す。
私達の強みはチームであること。これは今まで散々認識にして来た事で、私達はこれを前提条件にして戦略を組んである。
連携や特定の敵への有効な対処法などなど、チームだからこそ時間や体力、魔力などを抑えて効率よく戦えるのが強さだったわけだ。
ただし、最近の【ノーブル】はそれを理解した上で、私達がその強みを活かしきれない状況を作り上げてから攻めてくるようになっている。
番長の言う通り、私達自身の個々の能力は別に低いわけじゃない。
ただ、他の街の一般的な魔法少女とは、育成目標が違う。
他の街の魔法少女達は基本的にスタンドプレー。つまり1人や少ない人数で味方グループを作り、そこで競い合っている。
これは魔法少女達が自分に高い評価を付けてもらい、給与や待遇の面で有利に立ちたいから。
一年前の私達もそうだったけど、その話は置いておいて。
少ない人数や、スタンドプレーをする為にはあらゆる状況に個人で対応する能力が必要になる。遠距離近距離などの単純な話も含めて、苦手な分野を潰して行き、オールマイティーに高水準で戦えるようにするのが一般的な魔法少女が求める強さだ。
それに対して私達はチームだ。個人ではなく大人数で戦う。
数で戦う以上、役割分担をした方が効率が良いのはさっきも言った通り。
近接戦闘を得意としている私、碧、千草、舞の中でも少しずつ役割が違う。
例えば、同じスピードタイプのアタッカーである私と舞。
舞が完全なスピード特化で攻撃方法は主に拳や蹴りと言った打撃技。
相手をスピードで圧倒して、手数で戦うタイプでそこに雷属性の魔法を乗せていく。シンプルだけど、それに特化してるだけあって同じ土俵で戦おうとしたら殆どの相手が負けるわね。
私は同じスピード型だけど、舞にはだいぶ劣る。代わりに小回りが効いて動きはよりトリッキーだ。
リオとのコンビネーションも含め、炎と斬撃と攻撃パターンは複数あるし、攻撃能力や突撃、突破能力は私の方が上。
こんな感じで微妙に役割が違う。この微妙な役割の違いを使い分けて戦うのが私達だ。
これは他の面々も同じ。被る部分もあるけど、担当している長所が違う。
後方で戦う4人が分かりやすいかもね。
紫は数で戦うけど攻撃向きで大砲役。
真白も数で戦うけど防御向きで支援役。
墨亜は弾数は少ないけど攻撃も支援も熟す狙撃役。
要はガチで弾数重視の機関銃役。
4人とも特色があって、得意分野も違う。詰まるところ、私達はチームとしては高い水準で万能の性能になるけど、個々の能力でみると一点特化ばかりが揃っている。
ここが他の街の魔法少女と大きく違うところ。オールマイティーか、エキスパートかってことね。
「かと言って、今更個々の戦略の練り直しなんて無理じゃない?」
「朱莉さんの言う通りだと思うっす。せっかくチームでめちゃくちゃ良くなったのに、そこでまた戦略練り直しは勿体ないっす」
「墨亜も、いきなり違う事して欲しいって言われても出来ないよ」
オールマイティーは万能な代わりに特化した能力が薄くて格上と戦いにくい。
エキスパートは特化している代わりにその土俵から引きずり下ろされると弱い。
一長一短で、私達はエキスパートを選んだ。今更それを変えろと言われても、墨亜の言う通り無理だ。
何か良い案があるのだろうか?
そこは1番の経験者である番長に良い案を期待したい。




