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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
アリウム・コワニー

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道程

バハムートとショルシエからの戦いから数日後。3日間意識が無かった私を始め、大よその容体や意識が回復し、十分に集まれる状態になった私達は魔法少女協会、ではなく諸星のお屋敷の方へと集まっていた。


理由は簡単。最も重傷だった千草がまだ安静にしていなければいけないから。いくら治癒魔法があるとは言え、あれだけの大怪我はすぐには治らない。むしろ数日で身体を起こして喋ることが出来るようになっているんだから、十分過ぎるくらいには回復してるわ。


瓦礫に埋まった紫も松葉杖だし、クルボレレも頭に包帯を巻いている。碧もあちこちに包帯を巻いている。


私?私はこの中では比較的ピンピンしている方だ。バハムートのメモリーが3枚も体内に入ったらしいけど、レントゲンには写りもしないし、身体の方は小さいのは多数あっても、大きなケガは無い。


結構、色々な場所に絆創膏やら湿布やら張って、包帯で巻かれてるけどね。

科学も魔法も万能じゃないから治癒魔法も程々にしか基本は使われない。それは散々怪我してるから分かり切ったことだけど、この程度で済んだと割り切るしかないわね。


「皆、お疲れ様。……って言いたいけど、流石にそんな雰囲気でも無いわね。でも言わせて、貴女達はよくやった。今は胸を張れなくて良い。だけど、貴女達は街を守ったわ。ありがとう」


だけど、光さんの言う通り私達全体の雰囲気はお通夜みたいなどんよりとした重い雰囲気だった。特に紫が酷い。さっきからずっとぐすぐすと鼻を啜りながら泣いていた。


理由は簡単というか、明白過ぎる。この場にいない、真白の事が原因。


真白も、そしてパッシオもこの場にはいない。パッシオはまだ意識を取り戻していないからだけど、真白の方は完全に心の方がぽっきりと折れてしまっていた。


「私が、もっとちゃんと考えてれば……」


ここに集まる前に、部屋から一歩も出て来ないという真白を元気付けようと皆で向かったのだけど、私達のこの考えが甘かった。


カーテンまで閉め切られた部屋の中、目を覚まさないパッシオを傍らに、両親への懺悔をし続ける真白の姿は、あまりにも見るに堪えない姿だった。

いつもは自信満々でなんだかんだと頼りになる真白があそこまで弱って、ただただ泣いていたあの姿は私達に少なからずの衝撃を与えた。


「お前はちゃんと考えてたよ。真白の事については、時間をかけりゃ大丈夫さ。アイツは強い、お前もよく分かってるだろ?な?」


それに最もダメージを受けたのが、司令塔であり実際にあの戦いの中で指示を出していた紫だった。必死に宥める碧が大変そうだ。


こうなっているのは責任感の高さ、というのも当然あるけれど、特に紫はあの戦いで結果として判断を誤った。


強固で強力、私達にとっては未知であるバハムートに対して、中心的な戦力を集中させ、既に対処法や弱点などが分かりつつあったショルシエに対しては対処しきれる最低限の人員で臨んだ。


それが悪手だとは私も思わない。私が指示を出せるかどうかはさておき、きっと似たような采配を誰でもするんじゃないだろうか。

ただし、結果は伴わなかった。『魔女』と言われた相手に魔法で戦ってしまった。


きっと、ショルシエに誘われたと判断すべきなんだと思う。ショルシエは戦闘経験が豊富で、的確な指示を出す番長を私達から引き剥がすべく、カレジという妖精を恐らく私達にわざと捕えさせた。


生きて捕らえられたカレジは少なくとも街のどこかで自我を失うように仕込まれていたようだし、実際そうなっている。

幸い、本人の努力と事前の準備により大きく被害は出なかったけど、それでも現役魔法少女全員が出払っている中で、対処できるのは数少ない。


冷静に考えるとここでまず、私達は経験という武器を持っている大人達と分断されてしまっていた。

総合的な采配をする番長が欠け、雛森さんにバトンは渡されるものの、元々雛森さんはあくまで情報を扱う人。今まで魔法庁での経験はあるけれど、それでも番長には及ばない。


『千里眼の魔法少女』という超強力な助っ人の存在を知っていようといまいと、私達はショルシエに良いように誘導されていたのだと思う。


そうやって、私達はミスリードを導き出してしまった。その結果として、真白の家族の安否、彼女の生い立ちの謎。様々な事が不本意な形で明るみに出てしまった。


誰も悪くない。悪いとするのなら間違いなくショルシエただ一人。それでも、真白は深く傷つき、紫は仲間が傷付いたことを悔やんでいた。


私だって悔しい。もっとあの剣を早く引き出せていれば、何とかなったんじゃないかって思う。でもそんな妄想言ったってしょうがないもの。


そして雛森さん。ううん、『千里眼の魔法少女 ヴェルタ―』もバハムートという最大の脅威の為に自らの危険をもかなぐり捨てていた。

雛森さんが与えてくれた情報があったから、私は最後にバハムートの首を狙えた。継ぎ目を狙えと言う情報が無ければ、もしかしたら今ここに私達は誰一人いない可能性すらある。


現在、『千里眼の魔法少女 ヴェルター』は入院中だ。理由は、魔法を行使したことによる、脳への過剰な負荷。


そう、世界を救った11人目『千里眼の魔法少女』はもうずっと前に魔法を使えない身体になってしまっていたのだ。


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