表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
真実と暴虐と黒紫の魔力

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

632/1883

白日

街と皆を守る様に作られた障壁の城が黒紫の焔を受け止める。表面を焼くどころか溶かして来るかのような暴力的な熱量。


分かってはいたけどとてもマトモな障壁では一瞬で焼かれる。『幾千年紡ぎ紡いだ王家の城』の特別強固な障壁ですら、気を抜いた瞬間には焼かれてしまいそうなくらいだ。


「ふっぐうぅぅっ!!」


中心の玉座を模した椅子に腰かけ、両手を上げてひたすらに魔力を込め続ける。最も不安だったブレスの直撃直後を耐えられた時点で『幾千年紡ぎ紡いだ王家の城』でバハムートのブレスを耐えられるのは分かった。


あとは魔力の勝負だ。『幾千年紡ぎ紡いだ王家の城』を維持する魔力が持つか、バハムートのブレスの魔力が持つか。


いくら私の魔力が他の魔法少女よりもずっと多いとはいえ、無尽蔵にある訳じゃない。バハムートのブレスは再三言っている通り超高火力。

数秒耐えるだけで削られていく魔力は尋常な量ではない。


「絶対っ、火の粉のひとかけらも……っ!!」


元栓でも壊れたのかと思うくらいに身体から吐き出されていく魔力。それでも維持しなければ何十万人もの人を含めた命が焼かれる。


それだけは、絶対にさせないっ!!絶対に、絶対に!!


「通さないっ!!」


最後のひと踏ん張り。何十秒だったのか、何分だったのか。それともたったの数秒の出来事だったのかは分からない。


少なくとも私の体感では一瞬でありながら数時間分の疲労がどっと身体を襲い、思わず両膝を地面について倒れ込みそうになる。


「ぜぇっ、ぜぇっ」


マラソンをした時みたいに呼吸が苦しい。汗と疲労感で思考も視界もグラグラする。でも、守れた。何とかなった。

一息で国を焼いたとも言われていたバハムートのブレスを防ぎ切った。その達成感が心身を包み込む。


流石にバハムートのブレスをしのぎ切られるとは思わなかっただろう。

私の魔力はすっからかんだけど、まだ他の魔法少女は戦える子も多い。如何にバハムート言えども、あんなものを二度も三度も連続で撃てるとは思わない。


これで仕切り直しだと、そう思っていた私の耳に届いたのはショルシエの高笑いだった。


「――ふふふふっ、ははは、はーっはっははっ!!まさかな!!まさかこんなところで、むふふふ、ハハハハハハハハハハハッ!!!!」


まるで愉快過ぎて感情が抑えきれないという雰囲気の笑い方に私達は顔を顰める。一体、何がそんなにおかしいのか。

切り札をダメにされて頭がとうとうイカれたのだろうか。元々ネジの締まってない頭からネジが外れたらそうなるのも頷けるが、そうではないだろう。


何か、何かがショルシエにとって愉快で好都合だったのだ。でなければ、あんな風に笑ったりはしない。


「勇者はあっさり通り貴様らの手に落ち、副団長殿が執心するわけだ。まさかあの女王に娘がいたとはな」


「……?」


「一体、何の話をしている」


脈絡のない話に私が首を傾げ、フェイツェイが問いただす。女王に、娘?カレジとパッシオに関係があるってことはミルディース王国の女王様?


妖精の国の女王様、そしてその娘となれば間違いなく妖精のハズだ。でも、この場に妖精はパッシオしかいない。

でもパッシオは男の人だし、娘と呼ばれるような存在はこの場にいない。一体、ショルシエは何の話をしているんだ。


「なんだ、副団長殿。何も伝えていないのか?」


「黙れっ!!貴様のような者の口から憶測を語るな!!」


「憶測?冗談は止せ。お前だって分かっているからそうやっているのだろう?何せ貴様の生来から義務付けられた王家を守るという職務だ。貴様からすれば、罪滅ぼしには都合のいい居場所じゃないか」


何の話をしているのか分からないまま、激昂したパッシオがショルシエに飛びかかる。


あんな怒りの感情に身を任せたパッシオは初めて見た。ショルシエと最初に会った時ですらまだ理性的に対応していた。そんなパッシオが、怒りの感情のままに行動することにも驚き、それを涼しい顔で防ぎきるショルシエの余裕にもうすら寒さを感じる。


「余計な事を言ってみろ。焼き殺してやるっ」


「おぉ、怖い怖い。何かされる前に、邪魔なお前には黙っておいてもらうか」


炎をまき散らすパッシオを嘲笑うショルシエに炎は更に苛烈さを増すが、その勢いは一瞬のうちに収まることになる。


「かっ、は……っ?!」


「――パッシオっ?!?!」


魔力で出来た槍が、パッシオの身体を何か所も刺し貫き、その傷口からは大量の魔力が漏れ出す。

苦し気に息を吐きだすパッシオの声と、私の絶叫が辺りに響き、急いで駆け寄ろうとする私をフェイツェイが羽交い絞めにする。


「離してフェイツェイ!!」


「ダメだ!!ショルシエの思うつぼだ!!アイツの狙いは恐らく――」


「そんなの知らない!!パッシオが死んじゃう!!」


暴れる私を必死に抑えるフェイツェイだけど、そんなの構っていられない。あんなの、あんな傷を受けたら妖精だってあっという間に死んでしまう。

既にパッシオは戦いの中で消耗が激しかった。残っている魔力は普段よりも少ない。それで、あんな大怪我は……っ!!


パッシオの容体を気に掛ける私を他所に、ショルシエはパッシオを足で押し退けてこちらへと歩み寄って来る。

その行為に私の沸点も限界を迎える。残り少ない魔力を練り上げ、攻撃をするためだけの形状をした障壁をいくつも作り上げる。


「そう殺気立つなよお姫様。私はお前に真実を伝えてやろうと思っているんだ」


「聞く気はないわ」


「まぁ待て、何も知らないだろう?お前自身の身の上の事さ」


贔屓目なしの100%の殺意を前にしてもヘラヘラと薄気味悪い笑みを浮かべ続けるショルシエ。そんな奴の話を聞くつもりは毛頭ない。一つも信用するつもりもなかった。


「お前の両親とお前自身の真実を」


それでも、一瞬だけその殺意を緩めてしまった。


父と母。そして私自身の話。それは私が今、探し求めている内容だったのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] さて、どうなるのか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ