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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
真実と暴虐と黒紫の魔力

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天幻魔竜

ギュンっと音を立ててパッシオが動き出す。私が体験したことのない速度で動き出したことに驚く声を上げる暇もなく、とにかく振り落とされないようにパッシオの背中にしがみつく。


「『ローズスパイカー』」


「ぬぅっ!?」


一瞬で背後を取ったパッシオが尻尾を束ね、紅の炎を纏わせ放つ。

スピードについて来れなかったバハムートも自らの長い尾を反射的に振り回してそれを迎撃している。


互いに尾に炎を纏わせ、ぶつかり合わせる様子はまるで剣の試合でも見ているかのような気分になった。


それに『ローズスパイカー』、私がロゼの姿で使う魔法と同名のそれはパッシオが使うとその威力も速度も段違い。

元々『繋がりの力』自体、他者からの魔力とその人が使う魔法や技術も真似られるという性質があるけど、パッシオからは他のメモリーとは違って、全ての魔力を受け取っている訳じゃない。


だからどうしても魔法や威力に関してはパッシオが使う本来のそれよりは数段威力が落ちたりするみたいなんだけど、それにしてもここまでの差が出るのかという驚きはある。


「これが、本物の炎魔法……」


「ボケっとしてねぇでウチらも動くぞ」


「うん」


同じ炎の魔法を使うルビーからすれば、これほどの教材は無い。息を呑む彼女にアズールが肩を叩いて動くように言う。

彼女達は彼女達でやれることをやるはずだ。私も、しがみついてるだけではいけない。


辺りに散らしたままだった障壁魔法を操作して、パッシオのサポートに入る。魔力の供給も忘れない。パッシオが魔力切れを起こしたらそれこそ私達の負けだからね。


「邪魔をするか小娘!!」


「生憎、それが戦いってものよ。泥臭くやらせてもらうわ」


パッシオとの怠慢を邪魔されてご立腹な様子のバハムートだが、そんなことを構っているほど私達は暇じゃない。

そちらは遊びかも知れないが、こちらは命を張っている。どんなに文句を言われても邪魔はさせてもらう。


小さな障壁をバハムートに固定し続ける。バハムートのパワーから考えれば身体を一ひねりさせれば余裕で破壊出来るようなそれであろうけれど、つもりつもれば集中力を削る鬱陶しさはある。


戦いなんて如何に相手の嫌がることをするかが勝利のカギだ。特に私みたいな搦め手タイプはね。


さらに空中に足場用の障壁をいくつも設置。バハムートを取り囲むように配置すれば、足場と妨害を両立出来る。味方の攻撃の動線の邪魔になり過ぎないようにするのがポイントだ。


「こざかしい!!」


そんな工夫もバハムートはそれらをノーチャージで放った黒紫の炎で焼き払って来る。足場用とは言え、自慢の障壁魔法を一瞬で焼かれる様は恐ろしさもある。

一切の溜め無しでその威力。掠っただけでもどうなるか。想像もつかない。


しかし、こちらも負けない。ただの魔法少女と侮っているのなら、その足元を一瞬で掬ってやろうと虎視眈々と狙い続けるのが私達だ。


【Memory Boost!!】


「『太陽が如き(サンライズ)獅子の威光(リオーネ)』ッ!!」


いかなるものだろうと焼き殺すだろう黒紫の炎の中を突っ切って、朱色の炎を纏ったバカが一人、炎を吐いた直後で口を開けているバハムートを狙う。


とんでもない奇襲方法に目を剥いたバハムートが首を逸らして避けるも、頭部にある角の一本、その端ではあるものの確かに堅いその身体の一部を斬り付けた。


「避けんじゃないわよ!!」


「無茶を言うな小娘。貴様、竜殺しの経験者だな?我が角に傷をつけるとは、小娘と侮っていた」


「そんな小娘、ゴロゴロいるわよ」


ニッと笑うルビーに、バハムートもようやく気付いたらしい。残り二人の魔法少女がいない事に。


「「『固有魔法(インヘアレントマギカ)』っ!!」」


二人の声がしたのは上だ。全く、無茶をする。さっき私がショルシエにした飛び蹴りを参考にしたんだろうけど、だからと言ってフェイツェイはともかくアズールまでそうすることは無いだろう。


「『WILD BLAST』!!」


「『蹴刃烈爪』(ハリケーンドロップ)!!」


水の魔力で巨大化させた戦斧と、大きな鷹の爪のような風の刃を足に生やした二人が一緒になって急降下して来る。

魔法と腕力だけでダメなら物理的な落下速度を使って強制的なダメージの底上げだ。


ズドゴンッと凄い音を立ててバハムートに直撃した二人は反動で吹き飛ばされるけど、すぐに身を翻して体勢を立て直す。流石にそのあたりはやはり手馴れている。


「ぐっ、おぉぉ……?!」


「へへっ、流石に効くだろ」


「これでダメージにならないと言われたらいよいよお手上げだ」


強い衝撃を加えられて、流石のバハムートも苦悶の声をあげる。外殻は堅いけど内側が柔らかいのは生き物の道理だ。

堅すぎて内に届かないなら、届くまで威力を上げろという単純明快過ぎるパワープレイには恐れ入る。


「ふ、ふふふふっ、真に良い。そうであったな、弱者と侮るのは戦いを愚弄しているも同然。あの女狐と我が同じでは話にならん。かつて我があの魔法少女どもに敗れた際もそうであった」


「来るよ!!」


魔力のチャージが速いっ、間に合えっ!!高まった魔力を感じ、身の毛がよだつ。

バハムートの咥内に溜まった膨大な魔力を前にパッシオが迎撃、私が防御、他の三人は回避に専念する。


そうして放たれたドラゴンブレスは、一瞬で周囲を焦土へと変えた。


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[一言] バハムートがちょっと油断が消えた
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