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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
真実と暴虐と黒紫の魔力

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天幻魔竜

ただし、それを待っているだけでは勝機は見えない。


そして、雛森さんが持って来れるのはあくまで情報だけだ。それを戦術に組み込み、実行するのは私達。


ショルシエと同じように、いやそれ以上に雛森さんは徹底した裏方の人。活路を見出さなければならないのは私達なのだ、何処まで行っても。


「どこもかしこもカチンコチンで腹立って来るっすね!!」


「ホントそれ。地竜の外殻だってもっと柔らかかったわよ」


堅過ぎる外殻に文句を言っているクルボレレとルビー。

それぞれ高い防御力を持つ相手と戦った経験がある手前、今まで以上のその防御力には文句を付けたくなるのも仕方ない。


現時点でざっくりと判断出来るバハムートの脅威は、やはりその高過ぎる攻撃能力と防御力。戦闘にも慣れており、会話をするほどの知性も持ち合わせているため隙が無い。


唯一欠点があるとすれば機動能力の低さだろう。ドラゴン種故のその巨体は、パワフルではあるけどスピード感は無い。

翼こそあるが、翼膜という時点で飛ぶこと自体には優れていないはずだ。鳥のように素早く飛び立つことは恐らく不可能で助走か数回の羽ばたきをしてから、ようやく身体が浮き始める程度と推測できる。


魔法少女達が攻撃を避けられていて、バハムートが今のところ飛んでいないのが証拠だ。突くならそこを活かすべきだろう。


対してショルシエの脅威は再三言う通り、その膨大な魔力量。そして狡猾な性格だ。


魔力量にモノを言わせた魔法は高い攻撃力はさることながら、とにかく数が多い。

脚を止めて防ごうものなら蜂の巣にされてしまう。


そして、狡猾なその性格は用心深さと用意周到さをもたらす。

未だ手の内に幾つのカードを握っているのか分からない相手だ。用心をするに越したことはない。


欠点はそのプライドの高さ。格下に良いようにされれば冷静さを欠くため、相手の思い通りにさせないことが大事になる。


「私的にはこんなとこだと思うけど、どうする?」


「ありがとうございます。だいぶ考えが纏まりました。少し人員を交代します」


「OK。頼むわよ、司令塔」


私の考えるバハムートとショルシエに対する所感や個人的に感じる弱点などをアメティアに伝えると、彼女なりに考えがまとまったらしい。


最初は成り行きでバラけた人員を交代し、適正化するようだ。

流石は私達の司令塔、と肩を叩いて激励しておく。


「クルボレレさんとアリウムさんを交代します!!ノワールさんは狙いをショルシエへ!!」


「バトンタッチよ、クルボレレ」


「お願いっす!!」


【了解】


バハムートを相手していたクルボレレと、ショルシエを相手にしていた私を交代。

ノワールの狙いをショルシエに集中するように指示が出る。


人員としてはバハムートに対する人数が微妙に減るけれど、司令塔であるアメティアが出した判断に異を唱える程の暇も無いし不満もない。


やって来たクルボレレと手を叩いて入れ替わり、パッシオと共にバハムートの前へと躍り出る。


「来たな、紅炎の主よ」


「あぁ、相手になるよバハムート。さっきは名乗れずに申し訳なかったね」


「良い、あの時は我も急いていた。今一度、名を聞こう」


バハムートはズラリと並ぶ牙を見せつけ、笑うようにしている。実際、笑っているのだろう。その雰囲気からは楽しみだ、という様子がありありと受け取れる。


同時にその口端からは黒紫の炎が漏れ出す。漏れ出した炎だけで空気が揺らめいている。

一体、どれだけの熱量があるのだろうか。


「パッシオーネ・ノブル・グラナーデ。ただの妖精だよ」


「笑止。それだけの炎で『ただの』などと語るな」


私を背に乗せ、パッシオはバハムートと短い会話を交わす。淡々と話すパッシオと、愉快そうに笑うバハムートが対象的だ。


ジッと睨み合いを続ける二人と、それを固唾を飲んで見守る私達。一触即発、何処で戦いが再び始まるのかは彼らにゆだねられていた。


「皆、悪いけど僕のサポートに回って欲しい。さっきと言ってる事が別でごめんよ」


少し離れたところでショルシエと激しい攻防を続けているだろうあちらに対して、不自然に静まり返った中でパッシオが唐突に口を開く。


突然のことに皆が目を丸くしながら、無言で頷く。それに関しては構わない。状況に応じて作戦や行動が変化するのは当然の事だ。

それ自体は構わないのだけれど、そのパッシオの雰囲気がいつもと違い過ぎるのが、皆が静かになっている原因の一つだと思う。


「アリウム。絶対に僕から離れないように」


「う、うん。分かった」


そして、私には個別のお願いをして来る。離れるな、ということは絶対にパッシオから降りるな、振り落とされるな、ということで良いのだろうか。


障壁で固定して良いものなのか悩むけど、絶対にと言うからには固定した方が良いだろう。

私はパッシオの胴体と自分の腰回りを障壁で結び付けて、振り落とされないようにする。


これでパッシオの言う通りにした。後は彼が何をするのか。


「ちょっと本気を出す」


豪ッと紅の炎が吹き上がる。過去にショルシエと直接戦った時と同じ規模、いやそれ以上の火力を持つ炎。

恐らくは魔力残量の採算を度外視した、パッシオの本気の炎。


熱くて熱くてとてもじゃないけど触れそうにもない、でも何処か安心できる炎だなと、私は何の偏見も無くそう感じる。

この炎は誰かを焼き殺すための炎じゃない。それだけは伝わって来た。


「ふふふふ……、ハハハハハハッ!!良い!!良い!!良い!!まごう事無く我が紫焔と並ぶ劫火!!このような相手を待っていた!!――来いッ!!紅炎の!!」


対峙するは全てを焼き殺す黒紫の炎。炎と炎のぶつかり合いが始まった。


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― 新着の感想 ―
[一言] パッシオが、かっこいい、だと⁉
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