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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
真実と暴虐と黒紫の魔力

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天幻魔竜

そんな圧倒的不利の中で先に動いたのは意外にも私達。


当然、というよりも冷静かつ大胆、そして正解な判断だと思う。何せ相手が相手だ。攻められたその時には一瞬で戦況が最悪になる可能性すらある。

そう、私達は守りに入ったら負ける。圧倒的な暴力を振るわれる前に、こちらから殴りかからなければならない。


その先陣を切った、その一人は私達の中でも2番手に魔法少女歴が短いだろうクルボレレだった。


「むっ……!!」


「ちっ!!」


紫電を奔らせ、飛び込んで行ったクルボレレにバハムートは目を丸く、ショルシエは舌打ちで応える。


如何に強靭で強大な力言えども、発揮するまでに攻撃を当てれば良いというシンプルな回答を出せるスピード特化のクルボレレはやはりあの二人に対しても脅威だということなのだろう。


「――っ!!」


雷属性の魔力を乗せて放たれた拳はバハムートの顔面目掛けて放たれるが、その攻撃は堅い外殻に阻まれて終わる。


恐らく、クライスや前に戦った翼の無いドラゴンの比では無いはず。ただ魔力を乗せた程度の攻撃はバハムートにとって羽虫にたかられているのと変わらないに違いない。


すぐに鋭い牙の並んだ顎を開き、クルボレレに襲い掛かったバハムートだが、そちらも自慢の速さで事なきを得たクルボレレがこちらに戻って来る。


「合わせろっ!!」


「言われなくとも」


「分かってるわ!!」


その隙に動かない私達じゃない。残りの前衛組が息を合わせてバハムート目掛け、それぞれの得物を振りかざし、一点目掛けて一撃を叩き込む。


並の魔獣なら胴体を真っ二つにされているだろうそれですら、バハムートの外殻は弾く。


メモリーで強化され、私達の中でも屈指の攻撃能力を持つアズール、フェイツェイ、ルビーの攻撃を以てしてもだ。

この光景には舌打ちしか出ない。馬鹿げた外殻だ。アレをかつての魔法少女達はどうにかしたというのだから恐れ入る。


「雛森さん、あの外殻を無効化した手立ては何ですか?」


【トドメの一撃は私達の中でも屈指の貫通攻撃能力を持った『轟雷の魔法少女 アストラペー』が放った渾身の固有魔法でです。勿論、それだけじゃあの外殻は抜けませんでした。動きを封じて、ひたすら全員で一点集中の攻撃をし続けて、ようやくです】


「参考にならないって事だけは分かったから良し、ね」


「全く良くないけどね」


良いのよ。やり方次第では倒せるって事にはなるんだから。物事はポジティブに考えなさいな。


そんな会話をしながら、私達はしれっとショルシエの放つ大量の魔法の中を防ぎ、避け、掻い潜っている。

人の事は言えないけど、魔力量にモノ言わせたその戦術。荒っぽくて美しくないと私はおもうけど、ねっ!!


合間を縫って発動させた障壁が空中に浮いていたショルシエの足裏を上へと持ち上げる。

人型の手前、そんなことをやられたらバランスを崩す。


「小癪な!!」


「こんなのに引っ掛かるのが悪いのよ!!」


憎まれ口を叩くショルシエの下にアメティアの魔法が殺到し、一撃を狙う。これも魔力に物を言わせた障壁を張って防いだショルシエはもう一度大量の魔法を放ち始める。


フェイツェイの言っていた通り、彼女にはやはり戦闘そのものの経験値があまりないようだ。魔力は大きいが引き出しは少ないのだろう。

それを他の追随を許さないような大量の魔力でカバーしていた。それが妖精界で魔女と恐れられていたショルシエの正体、ということか。


「対ショルシエの戦いは君たちの方が上手だね」


「妖精の魔法って魔力量が重視されてるから妖精同士だと魔力量で勝負が決まるものね。私達だって、あれでパッシィ並みに訓練されてたらそれこそ手も足も出ないわ」


ショルシエに対してだけで言えば、まだ私達でも戦える。膨大な魔力量とそれに伴う強力無比な魔法が彼女の最大の強みであり、最大の戦術。

それらを小手先でいなすことが出来るだけの高い技術を持った魔法少女達がある程度いれば戦えるのは分かって来ていた。


あくまでもショルシエは裏方の立場が向いているのだ。やはり、問題はバハムートの方か。


「ハハハハハハ!!貧弱な魔力ばかりだと思っていたが中々やりよるではないか!!かつて我を倒したあの魔法少女どもとはまた違った強みよ!!」


「そりゃ、どうもっ!!」


戦斧を振り下ろしたアズールだが、火花をまき散らしながらその強烈な一撃は外殻に阻まれている。


近接組を中心に、バハムートを取り囲み波状攻撃を仕掛けているけれど、完全に遊ばれている。

こちらの攻撃は届かないのに、あちらの攻撃は必殺。手助けをしたいところだけれど、ショルシエを放置すればそれはそれで魔法への対処が遅れる。


にっちもさっちも行かないとはこの事だ。打開策を、せめて一方に戦力を集中することが出来れば良いのだけど、それが出来ないようにショルシエは動いているのだろう。


「小手先だけか?小娘ども。ゲームはまだ始まったばかりだが、出し惜しみは良くないと思うが」


「ホント、性格最悪ね」


「魔女というより悪女ですね」


「誑かすというよりは性悪のほうだけどね」


軽口を叩いてメンタルを保たないとやってられない。雛森さんの準備、とやらを待つのがまずは良いのだろう。

千里眼の魔法少女を頼るくらいしか、今のところは何も出来ないというのが私の本音だった。


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[一言] バハムートが遊んでるのが救いかな
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