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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
真実と暴虐と黒紫の魔力

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侵攻

数秒後、番長の言う通り倉庫街であるはずの地域が突然広い更地になる。


更地と言っても丁寧に均された物ではない。

本来あったはずの倉庫などの建物をとてつもない力で吹き飛ばして出来上がった、まるで爆発事故の現場のような惨事が目の前に広がっていた。


「随分派手にやったな」


「コソコソやってるわけでもなく、数で目を引くでもなく、奇襲でもなく、真正面から乗り込んで来る。よっぽど自信がありそうですね」


「ついこの間それで捕まった奴いるけどね」


茶化さないの。カレジに対しては同じ妖精だからなのか、少し当たりが強いパッシオの頭を小突いて静かにさせる。


それにしても相当な火力だ。半径300mの広範囲を更地にしてしまう魔法なんてそうそう見る物じゃない。


一体何を連れて来たのか。更地の向こう側、まだもうもうと煙が上がるその向こう側を見ていると、突然瓦礫が吹き飛ばされて来た。


「っ?!」


「おっと?!」


「みんな動かないで!!」


飛んで来た瓦礫を障壁で防ぎ、アズールやフェイツェイ、クルボレレが視界を拒む大きな物を砕く。


その向こう側から見えて来たのは、異形の3人だった。


「何すかあれ!?」


「人間……?」


「とは思えんな」


見えた姿は5つだが、そのうち3つに視線が集まる。


大型の毛むくじゃらの身体を持つのはクライスなのだろうけど、その腕は再び変化し、身体に不釣り合いな強靭で巨大な爪の付いた両腕を歩く際の補助に使いながら歩行している。


残る2つは人間大だが明らかに人のそれとは違う。1人は異形の頭。まるでトカゲのような爬虫類めいた頭に牙の並んだ大きな口。


もう1人は女性だがやはり目が黄色で瞳孔が縦だ。その背後には太く筋肉質な長い尻尾が付いている。


どれもまるで身体の一部を恐竜と交換したのかのような見た目だ。

近くで見れば鱗もあるのだろう。


奇妙で奇天烈で、気味の悪くて出来の悪いCGみたいな見た目だ。

率直に言うとキモい。


「やぁ、魔法少女諸君。待っていたよ」


そんな3人と言うべきか、3体と言うべきか悩む異形の姿を見て息を呑む私達に、クライスの肩に乗るショルシエが声を掛けて来る。


待っていた、とは随分と余裕がある物言いだ。先日おめおめと尻尾を巻いて逃げ帰った事をすっかり忘れているらしい。


「余裕じゃないか。この前私達に負けたクセに」


「あの時は手ぶらだったからね。丸腰相手に武器を振りかざす野蛮な猿とは同じ舞台にすら立ってない」


「はっ、物は言いようってか。足元掬われてるだけじゃねぇか」


あぁ言えばこう言う、口先は達者だとは言ったものだ。

しかし実際問題、あの時のショルシエは油断していた。今回は戦力を揃えた堂々と侵入して来ている辺りは本当に自信があるのだろう。


負けるつもりはない、ということだ。


こちらも勿論無いが、得体の知れない敵戦力には要注意しなくてはならない。


あのショルシエが用意したものだ。ロクでもないのは間違いない。


「開戦と行こうじゃないか魔法少女。精々足掻いて死ね」


「そっくりそのまま返してあげるわ。行くわよリオ!!」


「ーーガオォォォォッ!!!!」


いつも通りのニタリと貼り付けたような笑みと、リオ君の咆哮により戦いの火蓋は切って落とされる。


初撃、真っ先に動いたのいつも通りクルボレレ。

バチリと稲妻が奔ると同時に、ショルシエに狙いを定めて最も死角になる後頭部目掛けてかかと落としを決めに行く。


「?!」


「貴様の厄介なそのスピードにも対応済みだ」


目にも止まらぬそのスピードに、女性型の異形がその特徴的な尻尾を動かしてクルボレレの脚を絡め取っていた。


クルボレレにとって脚は間違いなく生命線だ。焦りの色を浮かべた彼女だが、その尾を寸分の狂いも無く撃ち抜いた魔法弾によりクルボレレは何とか解放される。


「助かったっす!!」


【クルボレレお姉ちゃんの援護をするね。あの尻尾の人、クルボレレお姉ちゃんと私なら対応出来ると思う】


「おっけーっす!!」


クルボレレのスピードに間に合うともなれば、私達では対応し切れない可能性もある。


必然的に尻尾のある女性の異形にはクルボレレとノワールがタッグを組んで戦う事になる。


「デカいのはウチと」


「援護として私が」


「トカゲヅラは私とリオがやるわ」


「がうっ」


「グレースア!!」


【よっしゃぁ!!リベンジマッチだよ!!】


そして素早く役割が分担される。


クライスにはアズールとアメティアが、トカゲ頭の異形にはルビーとリオ君が、ショルシエにはフェイツェイとグレースアだ。


「久しぶりね。随分顔を見なかったけど?」


「こちらも仕事というやつだ」


「その勤勉さでなんでそっちにいるのか、妖精の僕としても疑問だよ」


「さぁな。そういう運命だったんだろ」


残る私とパッシオは久しぶりに姿を見せたシャドウと相対する。


軽口を叩き合っているけど、お互い集中力を高めているのが分かる。


【Slot Absorber!! Earth Drake!!】


「Blossom Engage!! 『情熱(パッシオーネ)』!!」


どちらともなくメモリーを使用して、シャドウの拳と私のキックがぶつかり合った。




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