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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
真実と暴虐と黒紫の魔力

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侵攻

人間という生き物を新しい視点で見るようになって早いもので半月程が経った。


以前の俺が抱いていた人間への印象というものは雑なもので、魔法が多少は使えるこの世界の生き物、程度の認知だった。


率先して近付いていたわけでもなかったし、分かり合える相手だとも思っていなかった。


何処かで格下に見ていたのかも知れない。取るに足らないとまではいかないが、わざわざコミュニケーションを取る相手でもないし、有用なものなど魔法少女達から漏れ出す魔力程度。


割と早い段階で【ノーブル】に属して、人間との関わりから遠ざかっていたというのもあるかも知れない。


勿論、【ノーブル】にも人間はいたが、碌でもない組織に集まる人間なんてやはり碌でも無い。


金と暴力に目が眩んだ馬鹿か、信奉心で何も疑わなくなった信者か、未知の研究に魅了された研究者か。


何にせよ、碌でもない。マトモに会話をする気のある奴の方が少なかった。勿論、俺もその類だ。


「カレジさん、これ持っていただいても」


「お安いご用です。しかし、美弥子さんお1人でいつもこれだけの量を?」


そんな俺も真白姫様に拾われ、救われ。今はそんな認識はまるで無い。

むしろ文化や文明といった点では妖精よりも人間の方が遥かに優れているのでは無いだろうか?


王国でも田舎に住んでいた俺から見ても、人間の街にある見上げる程高い建物や、自由自在に動き回る車や鉄道などは無かった。


「今回は特別です。もうじき墨亜様と玄太郎様のお誕生日でして。その準備を兼ねているので」


「ふむふむ、人間特有の文化ですね。パッシオから話は聞いています。良い文化ですね」


そんな人間の営みを観察しながら、受け取った荷物をしっかりと抱える。


今日は真白姫様お付きの侍女である美弥子殿の買い出しに荷物持ちとして付いて来ている。

受け取った荷物には食材が詰まっている。コレがあの美味しい料理になるのかと思うと楽しみでならない。


料理という文化もまた人間が妖精よりも遥かに優れている物の1つ。


少なくとも俺はもう三食おやつ付きの今の生活から離れようとは思わない。


それだけ甘美なものだ。先日いただいたイチゴという果実も大変に美味しかった。

人間界にはまだまだ美味しいものが沢山あるというし、期待しかない。


「つまみ食いをしたらいけませんからね」


「も、勿論です。これらは姫様達の物なのですから」


食材をジッと見つめていた俺は、美弥子さんに鼻先を突かれ、つまみ食いをしないようにと釘を刺される。


するつもりは無いが、美味しい物だと分かっている手前ついつい見てしまった。


美弥子さんは俺に人間界のルールや過ごし方等も指導して下さっているいわば俺の先生でもある。

既に頭が上がらない相手の1人だ。パッシオーネも言っていたが、普段は温厚だが怒ったら激烈に怖いのは俺も何となく分かる。


優しい人程怒った時は苛烈なのだ。そもそも、そんな人を怒らせた時点で大体怒らせた側に問題がある。


姫様も定期的お叱りを受けており、ついでにパッシオーネも怒られている。


まぁ、人の世の中が分からない私は注意のしようが無いが、パッシオーネは既に人間の生活に馴染んでる以上、主君とはいえ小言の1つ言うくらいが良い臣下というものなのだろう。


「どうですか、こちらの生活は」


「毎日が新鮮です。仕えるべき主人に巡り会えたのもありますが、曇りのない視野でみるこの世界がここまで美しいとは。田んぼ、でしたか?あの水の張った畑が一面に広がる光景は故郷にも通じるものがありました」


「それは良かったです」


慈母のような微笑みを浮かべた美弥子さんに伴われ、諸星家の自家用車へと荷物を積み込むと次の店へと向かう。


今日は買い込むと言っていた通り、あちこちへと出向くそうだからこの大きなクルマにも荷物が沢山積まれるのだろう。


「シートベルトはお締めになられましたか?」


「問題ない。すまないがよろしくお願いします、田所さん」


このクルマを運転する、運転手という仕事をするのが田所さんという方だ。

俺にはてんで分からないこの金属の塊をまるで手足のように動かすプロだ。


少し憧れる。いつかご教示願いたいものだ。


「はっはっはっ、仕事ですからね。仕事といえば、新人の君の仕事ぶりには皆期待していますよ」


「えぇ、真面目でらっしゃいますから。パッシオ様はお屋敷のお手伝いには無頓着ですし」


「彼は真白様しか見てませんからねぇ」


3人で笑い声を上げながらクルマを発進させる。


パッシオーネは護衛騎士とあって、基本的に四六時中真白姫様の側にいるのだが、真白姫様に関わる事以外には確かに興味を示していない。


かく言う俺も、周りの人達に日々の生活について教わっているだけなので、何も言われなければ動かないだろう。


この辺は人と妖精の違い、らしい。


そんな事を思いながらクルマが駐車場を出ようとしたところで、ズンっという重い振動の後に街中からけたたましいサイレンの音が鳴り響く。


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― 新着の感想 ―
[一言] 馴染んできてるなぁ
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