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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
真実と暴虐と黒紫の魔力

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何処かでされてる何かの話

【ノーブル】の本拠地、その一室に呼び出された俺は終始ニヤニヤとしているショルシエを気持ち悪いと思いながら、集められた理由を語られるまで大人しくしていた。


大体こういう時はロクでもないことを思い付いた時だ。そのロクでもないことに今から付き合わされるのかと思うと心底うんざりもする。


「……いい加減話しなさいよ。私まで呼びつけて何がしたいわけ?」


「耐え性が無いな。まぁ良い、アイツらが時間通りに来ないのはいつもの事か」


同じように待たされているアフェットが痺れを切らしてショルシエに訴えかけると、やれやれと呆れたようにかぶりをふってからようやく話すつもりになったらしい。


その対応にアフェットの顔が引きつっているが藪蛇なのはわかっているからな。このまま放置させてもらう。


「なに、シンプルな話だ。いい加減あの街にいる厄介な魔法少女達との戦いを終わらせようと思ってね」


「こちらの計画は殆ど達成されている。後は時間をかければ問題ないのだろう?何故わざわざ労力をはらう?」


あの街の魔法少女達。とは十中八九アリウムフルールを始めとした8人の魔法少女達とそれをサポートする魔法少女協会、だったか。

その組織だったグループの事を指しているのだろう。


ただ、俺の言った通り既に目的の8割は達成され、後は時間を掛ければ【ノーブル】の悲願とやらは成就すると聞いている。


それさえ叶ってしまえば、魔法少女など取るに足らない存在。というのがショルシエや【ノーブル】のトップの意見であったはずだ。


特にショルシエは無駄と手間を嫌う。目的が達成出来る事が分かっている手前、わざわざあの街の魔法少女達を相手取る必要は無いと思うのだが……、どうやらそうではないようだ。


「あの街の魔法少女達にはこちらも辛酸を舐めさせられている。害虫も悪さをし過ぎれば駆除されるだろう?それだけの話さ」


「アンタが負けたことの腹いせじゃない。ダッサ」


つまるところそういうことらしい。プライドの高いショルシエらしいと言えば、らしいのか。


ただまぁ俺がいる場でバチバチと火花を散らすのは勘弁してもらいたい。なんで非戦闘員のアフェットまで呼んだんだ。こうなることは目に見えていただろう。


「ふんっ、まぁ良い。手筈は整っている以上はあとはやるだけだ」


「その手筈とやらを教えてくれ。付き合わせる以上は首尾を説明してもらわなきゃ動けん」


急かす俺にショルシエは仕方ないと肩を竦めてから、3枚のメモリーと2つのSlot Absorberに似ているが見覚えのない何かをテーブルに並べる。


なんだ、コレは。


「Slot Absorberの新型と、新しいメモリーだ。今回はコイツを使う」


「今更新型?デザインが変わっただけにしかおもえないけど」


「メモリーからの魔力抽出量を上げたのさ。これで魔法少女達とも魔法の撃ち合いでもそうそう負けないだろう」


Slot Absorberの新型だと言うそれに対して興味は無い。

俺がなんだ、と思っているのは3枚あるメモリーの方だ。


黒くくすんだ紫色のそれは、今までのメモリーとは明らかに違う異質とも言える雰囲気を放っている。


なんなんだこのメモリーは。


「へー、で?コレを私達にくれるってわけ?」


「お前には別の仕事だ」


「ハイハイ、裏方ね。仕事なら用意があるから手短に内容をおしえてくれると助かるんだけど」


俺が冷や汗をかく横で、アフェットが呑気に打ち合わせを進める。


コレはヤバい。どう考えても人が使って良い物じゃない。

何か、こちらを窺うような、隙あらば飲み込もうとしているような、そんな憎しみと嘲笑と傲慢さが混ぜこぜになったような、そんな気配を感じるのだ。


「どうしたんだいシャドウ?君になら問題なくあつかえるだろう代物だ、遠慮せず使うと良い」


「あ、あぁ……」


差し出された新型と禍々しさを感じるメモリーを差し出されて返事はするものの、受け取る気持ちにはどうにもなれない。


これを受け取ったら、自分がどうなってしまうのかやたらに不安を感じて仕方がなく、俺は手を伸ばせないままその場で立ち尽くす。


「使わないんだったら、俺に頂戴よ」


「妙案ね。残りのもう一つも私が貰って良いんでしょう?」


そんな俺の背後から手が伸びて来たかと思うと、ショルシエが差し出していた新型のSlot Absorberとメモリーを奪い取っていった。


驚く俺の視線の先には、やたらとベタベタと絡み合いながら笑みを浮かべる2人の男女の姿があった。


「やぁ、ドグマ、オブセス。いつも通りの遅刻だね」


「愛し合っていたら遅れちゃったわ、ごめんなさいね」


「で?俺らはコイツを使って何をすれば良いんだい?」


長身の男の方がドグマ、女の方がオブセス。


いつも抱き着いたり接吻をしたり、はたまたまぐわいながら施設の中を歩き回る公然猥褻ペアだ。


俺が死ぬほど嫌いな二人組でもある。なんというか、美しくない。

汚くてみすぼらしいモノを見せつけられるのは堪える。


数歩、露骨に離れた俺にドグマの方は何故か得意げだが、あんな物騒な物は触れたくもない、奴らが持って行くと言うならその方が良い。


「なんだいシャドウ、君は使わないのかい?」


「肌に合わなさそうだ。今のままでも遅れを取るつもりもないしな」


「そうかい。3枚目は私の方で使う予定だったし、君は今の手持ちで動いてもらおうかな。ーーさて、本題に入ろうか」


受け取りを拒否した俺に困ったものだとわざとらしく肩をすくめると、今回の目的とやらをようやく話し始める。


隣で乳繰り合ってるのが鬱陶しいが、アフェットがこちらに来て壁になってくれたのは精神的に楽だ。


少しでも早く終わらせて欲しいものだ。


「単純な話だ。真正面から街ごと潰せ。それだけの力がそれにはある」


幸いにもそれは非常に手短に終わった。ただし、耳を疑う内容で、だが。

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