友達
【『光』っ!!】
【『兄弟』っ!!】
【『守護者』っ!!】
【『勝利』っ!!】
【『友情』っ!!】
5つの音声が鳴り響く。ピットお爺ちゃんに作ってもらった『思い出チェンジゃー』は5つ。これでようやく、全員分だ。
短い妖精界での冒険。その中で見つけた大切な友達と、その大事な思い出が私達の力になる。
「「「「「『思い出チェンジ』っ!!」」」」」
「光の力で闇を祓う!!『ルミナスメモリー』っ!!」
「自由の翼で悪を討つ!!『ブラザーメモリー』!!」
「守護の力で撥ね退ける!!『シルトメモリー』!!」
「信念と王道をこの剣で示す!! 『ブレーダーメモリー』!!」
「絆の力で友を救う!! 『メイトメモリー』!!」
まだまだいざこざもあるし立場も主張も性格もバラバラの急造デコボコチーム。でも、それでもここまでやって来た。今ここで共通の敵を倒すために集まった、大事な私の友達だ。
「5つの絆と5つの思いが、未来を拓く希望になる!!」
だからやれる。墨亜さんだって一緒だ。私達には倒せないって言われたショルシエだけど、もう逃げるなんて言ってられる状況でもない。
ここで倒す。ここで乗り越える。出来ないと言われたからってやらない理由にはならないから。
なるぞ、ヒーロー。私が憧れた魔法少女に負けない。ヒーローに私達はなってやる!!
「我ら、絆の戦士!!」
「「「「「『メモリースターズ』!!」」」」」
メモリーから供給された魔力で構成されたスーツとヘルメットに身を包んで、私達はもう一度変身する。
負ける気なんてしない。全員で戦えば、私達は勝てる。たった1人で戦っているショルシエなんかに、負けたりなんてするわけない。
私達の絆だって立派な『繋がりの力』なんだから。
「アガるよね、同時変身。それじゃ、プラスアルファもいかせてもらうかな。『開け、星の目。撃ち抜け流星の弾丸。――オープンガジェット』」
墨亜さんは少し笑いながら手に持っている狙撃銃を構えてその引き金を引く。放たれた魔法陣が墨亜さんの前方に展開されて、それに身を包まれるように変身する様子は私が想像する魔法少女の変身イメージによく似ている。
何気に魔法少女の返信するところってまじまじと見たことないしね。
「『綺羅星の魔法少女 ノワールエトワール』。任せて、全部撃ち落とす」
正直、私達の変身の数倍カッコいいと思う。軍服風のゴシックドレスに身を包んで、身体に見合わないサイズの対戦車ライフルは魔法少女の可愛さと戦うことを生業にするカッコよさの良いとこどりだ。
っと、しばらくはなりを潜めてた魔法少女オタク的な部分が顔を出しちゃったね。
それよりも、ショルシエだ。
「ふ、ふふふふ、ははははははははっ!!!!」
ピリアによって変身するだけの隙を作らされたショルシエは、のっそりと起き上がると天を仰ぐようにして笑い始める。
何がそんなにおかしいのかはわからない。むしろ目の前にいる個体は絶体絶命のピンチだ。私達に倒されるのは物凄く都合が悪いハズだ。
トドメを刺すのはブレーダーの『繋がりを断つ力』。それを使って倒されたら、『権能』が本体に返らなくなる可能性があるんだから、笑っている場合じゃないハズなのに。
「終わりだよ、貴様らは。まさに無駄な足掻きだ。この私相手に時間がかかっている時点で、貴様らに万に一つの可能性もない」
「それは分からないと思うけど?」
「いいや、分かるさ。今の今まで、私はただの一度も本気を出した時は無いのだからな!!」
そう叫んだ瞬間、ショルシエは突然現れた巨大な獣の口に飲み込まれた。牙に貫かれ、肉を引きちぎるようにしながら、巨大な獣の口に食われていくサマを見せ付けられて、私達は固まるしかなかった。
「せいぜい、足掻くがいい」
最後にニタリと笑いながら、頭も食いつぶされ、その巨大な獣の口ごとショルシエは姿を消した。
何が起こったのかはわからない。分からないけど、想像することは出来る。
「視えますか?」
「ちょっとまだブレてる感じ。色々不確定。一挙手一投足で変わる可能性があるから気を付けて」
未来を視れるノワールさんに聞いてみると、未来が不安定だって言葉が返って来た。ノワールさんが言うんだから、本当にどうなるか分からないんだろうな。
視えるって言っても好きなところ好きなように視れるわけじゃないっても聞いているしね。一挙手一投足で未来が大きく変わるかも知れない。
だからって何もしないのは無し。
「お城に戻ろう」
何かがあるとしたらお城の中でだ。私達6人は急いでお城へと戻って、事態の把握に努めることにした。




