友達
「無事か、大将!?」
「時間がかかってすまない。」
「ここから押し返すよ」
ブラザーメモリー、ブレーダーメモリー、『綺羅星の魔法少女 ノワールエトワール』。
お城の中での戦いの中で別れた3人が合流する。これで、私達は元々あった戦力が復活した形だ。
いや、メイトメモリーもいるから戦力自体はアップかな。あの3人は消耗も少ないだろうしね。
「貴様、その力は……!!」
「その様子だと、ただ斬るだけでも効果がありそうだね。大方、本体との繋がりが切れて『権能』が返還されないってところ、かな?」
「……!!」
戻って来た3人。特に帝王レクスの王弟のブレーダーに対してショルシエは憎たらし気な視線を向けていた。
ただの剣の一振りに顔色を変えて避けた辺り、私達の目的のひとつは達されたとみて良いかな。
でも、それが意味することはつまり……。
「ブレーダー」
「心配はいらないさ、リーダー。僕は役割を引き継いだ。必ずやり遂げなきゃいけない決意と使命を受け継いだ。だから、心の整理は後で付ける」
静かに努めて淡々とした口調でブレーダーは答えた。無理をしていないわけがない。だけど、冷静さはちゃんとある。流石は妖精界の王族だ。こういう心理的ストレスや圧力にはめっぽう強いってことなんだろうね。
だったら、私からは何も言わない。私には決して分からない領域の話だし、寄り添うのはノワールさんの役割だろうしさ。
「ショルシエ。いや、『獣の王』」
静かに剣を構える。ブレーダーの武器でもある装飾の施された剣が太陽の光を反射させながら刃をキラリと輝かせている。
それから感じ取る雰囲気は明らかに今までと変わっていた。ただの煌びやかな剣じゃない。明らかに鋭さが増していると感じる。
触れた物全てを断ち切るような危うさと、何か神々しさのようなものが発されているような、そんな感覚。
「お前は奪い過ぎた。あまりにも多くのモノをお前の私利私欲のために」
「だからどうした。簡単に奪われる弱者など、強者の餌にしかならない。貴様らもこの世界も私の狩場だ」
「そうか。なら世界を食い荒らす害獣を駆除するのが僕らの役割だ」
反省があればとっくの昔にしている。分かり切っていたことだ。私たちと『獣の王』は決して相容れない。
狩るか狩られるか。ただそれしかない。そこに理屈は存在しない。『獣の王』はそのスタンス以外持つことは無い。
だったら私達はそれを駆除するしかない。根本的な理屈の違う相手に話し合いは通じない。
「僕からの宣戦布告だ。受け取れよ、『獣の王』!!」
振り上げた剣が少しだけ太陽光の反射ではない別の輝きに包まれる。魔力でもない、別の何かを纏ったその剣を振り下ろすと、世界がズレた。
「わお」
「ひゅう」
それを見て私とブラザーの口からは思わず乾いた笑いにも近いリアクションが出た。世界がズレたという表現は決して比喩では無いからだ。
ブレーダーの剣の切っ先がなぞった通りに景色がズレたんだから。
それが意味するのが正確には分からない。なにせ規模が違い過ぎる。魔法だとか科学だとか、そんなものを遥かに超越した一撃に理解が追い付かなくて、笑うしかなかった。
「これが、『繋がりを断つ力』……」
「真白お姉ちゃんの『摂理を弾く倫理の盾』も馬鹿げてたけど、スタンの『万事を断ち斬る勝利の剣』も大概ね。王族しか使えないのも納得」
スタンの、ズワルド帝国の王族が持つ『繋がりの力』は『繋がりを断つ力』。あまりにも強力すぎて『神器』である剣とセットじゃないと発動しないらしいそれを手にしたスタンの力はあまりにも規格外。
私やブラザーと同じようにシルトとノワールさんも苦笑いをしてみている事しか出来ないくらいには馬鹿げている。
因みにメイトメモリーは私の中で半分くらい気絶してる。感性が限りなく一般人のそれであるメイトには刺激が強すぎる光景だったらしい。
「あぁ、本当に憎たらしい力だ……!!」
「恨むなら早々にこれを破壊しなかった自分を恨んでくれよ。私利私欲で命を消費する盤上遊戯に講じたのはお前だ!!」
恨み節を口にするショルシエに二の太刀を放ち、再び世界がズレる。それもかなり大きく避けたショルシエ。
まぁ当たり前だよね、あんなの当たったら一撃でお終いだ。
むしろ、太古の時代にこれを相手にして逃げ切った『獣の王』の逃げ足を評価するレベルだよ。ショルシエにとってはまさに天敵。そりゃ、真っ先に潰しにかかるよね。
でもさ、天敵は1人じゃないんだよね。




