友達
「あっがあぁぁぁぁぁっ!?」
初めて芯を捉えた攻撃だった。確かな手ごたえとショルシエの反応を見るに、その感覚は正しい。
ショルシエのわき腹を直撃した光の弾丸は、その身体を抉り消し飛ばしていた。『光』のメモリーが持つらしい『浄化の光』という特殊な光属性の攻撃はショルシエに回復不能の攻撃を与えることは今までの戦いの中で理解している。
だからこそ、ショルシエは私と真っ向から勝負して来なかった。常に自分の有利な状況を作って、私の攻撃が決して致命的なダメージにならないように気を付けていた。
それの代表的な行動が『淫蕩』の権能を使ったスライム状の身体での面での制圧だ。
これは核的な部分を引きずり出して上手く対処した。だから次はそれ以外の手段で来る。今度はシンプルに暴力的な力と、魔法を弱体化させる『権能』。さらには私の『能力』を奪うというやり方で徹底的な『浄化の光』の無力化を試みていた。
これもピリアの登場で失敗したけどね。だから、ショルシエはブチギレている。自分の思い通りに事が動かないことが、アレにとっては最もストレスだっていうのは3年前から共通している性質らしいから。
「ルミナスメモリーぃぃっ!! 貴様は絶対に許さんぞ!! この私を、ここまでコケにしたことをなぁ?!」
怒りのあまりに、ショルシエは人の形を維持できなくなっている様子だった。両腕を地面につけてまるで動物みたいな姿勢で、髪の毛や衣服が逆立っている。
溢れ出ている魔力とかも今までの比じゃない。ビリビリと来る威圧感だけで地面が揺れてるかと思うくらいにはヤバいキレ方をしている。
【来るわよ!!】
ピリア、じゃなくてメイトメモリーの声と同時にショルシエの姿が消える。速い?!
ショルシエの姿が消えたことを認知した時には後ろから鈍い金属音が聞こえて、それでシルトが盾で殴るようにしながらショルシエからの攻撃を防御していたことに気が付く。
流石はシルトと思うと同時に、この速度に私達が付いて行けていないことに危機感を覚える。
こんな速度、クルボレレさんじゃないと対応できない。メイトメモリーと『同調』して更に『光』と『友情』のメモリー2本挿しまでしている強化変身なのにそれでも対処できないスピードをショルシエが隠し持っていたなんて。
驚きと対処法について頭をフル回転させながら、今までの勝負勘を頼りにここに来るという勘だけで弾丸を放つ。
もはや置き撃ちだ。こんなのゲームでしか通用しない技術だし、よっぽど勘の鋭い人か、未来が分かっているような人じゃないと止められない。
シルトの盾、メイトの変形する障壁魔法、私の弾丸と光の壁をフル活用して可能な限り全方位に対処する。
「っう!!」
ただし、敵が見えていない防御には限界が来る。あっという間に盾の反応速度が間に合わず、障壁魔法はズタボロにされて、弾丸は当たらず、光の壁は粉々に砕かれる。
マズイ、と頭に過るけど対処が物理的に間に合わない。スペック差の力押しで負けることを確信できるまで早々に来てしまったところに耳に届いたのは流れ星のように煌めきながら超高速で飛んで来た魔力の弾丸だった。
「っ?!」
それがショルシエを的確に捉え、吹き飛ばした上で時間差で爆発する。榴弾タイプでの星属性の狙撃。ってことは――。
「ふんっ!!」
誰が来てくれたのかを理解したと同時に吹き飛び、榴弾による爆発を受けたショルシエに空から振り下ろされた拳が突き刺さる。
続けざまに攻撃を受けたショルシエはそのまま地面にめり込んでいる。空中からのスピードを乗せた拳の威力は相当なものだろうね。
「有象無象の雑魚共が、どれだけ群がろうと――」
「へぇ。じゃあ僕の攻撃もまともに受けてくれるかい?」
「……っ!!」
それでも素早く立ち上がるショルシエ。その背後にはもう1人。剣を構え、振りかぶっただけの攻撃だけど、ショルシエはその攻撃に過剰な反応を見せて避けて見せた。




