友達
「私を目の前にして随分と余裕だ。よほど死に急ぎたいらしい」
ピリアと2人でうんうん言っているのを見せ付けられているショルシエは苛立ちそのままの低い声をぶつけて来る。
殺すつもりで放った魔法を対処されたのも面白くないんだろうね。正直、私もあそこまで都合よくいくとは思っていなかった。
これが、メモリーが持つ更なる力。【同調】の力ってことだよね。
「冗談言わないで。死なないための擦り合わせだよ」
【ホントよ。説明なしにこんな風になったんだから】
それに関しては私も予想外だから。そもそも、ピリアがちょっと日和ったのが原因なんじゃないの?
さっき私の考えていたことがピリアに分かったように私もピリアの考えていることを知ろうと思ったら知ることが出来る。
その中にはピリアも『思い出チェンジャー』を渡されているってことを知れる内容のものもあった。
真広さんから受け取ったそれで、私達と一緒に戦えばこうならなかったのに、直前でやっぱり自分が仲間だなんて言えないなんて思った結果がコレだよ。
見かねた『友情』のメモリーことスクィー君がピリアを押し込んで一緒に戦わせようとしたからこうなったんだから。
そのことについては後でしっかり文句を言わせてもらうからね、と頭の中で思ったらピリアの方は知らんぷりを決め込んで黙った。
この、ホントに素直じゃないんだから……。
「ルミナス、で良いんですよね?」
「あー、うん。まぁそうなるかな」
隙を見て改めて変身してから状況を確認しに来たシルトに一応そうだと返す。合体してるようなものだけど、便宜上は私ってことで良いのかな? なんて言えばいいんだろうね。
【主導権はルミナスよ。私はサブ。シルトメモリーで良かったわね?】
「はい。そちらはメイトメモリーと呼びましょうか?」
【……そっちがそれで良ければ】
まだまだぎこちないやり取りの2人に間に挟まれた私は苦笑いするしか無いけど、喧嘩をする気が無いなら上々かな。
さて、そろそろ怒りのボルテージが爆発して噴火しそうな人がいるからそっちに気を付けないとね。
【シルト!! 盾を構えてちょうだい!!】
「言われなくてもやりますよ!!」
【ルミナスはシルトの盾に手を当てて!!】
怒り過ぎて無言でぶっ放された魔法を目の前にシルトが身の丈もある盾を地面に突き立てる。ピリア、もといメイトメモリーの指示を受けて私はシルトの盾に手を触れさせると、手の平から魔力が放出される。
何をする気なのかと思っているうちに目の前で変化が起きる。シルトが構えていた盾が更に巨大化したのだ。
何が起こったのかを理解する前に魔法が盾に直撃して、とてつもない衝撃が加わる。
一瞬浮きかけた盾を2人がかりで地面に押さえつけていると更に魔力が盾に注がれて、その重量を増させる。
結果として、ショルシエが放った魔法を真正面から耐えきって見せる。いや、耐えただけじゃない。これは……。
【必殺!!】
シルトの『思い出チェンジャー』から大技を放つ時に出る音声が鳴り響く。シルトの必殺技は受けたダメージの一部を自分の魔力を上乗せして跳ね返すという技。
当然、その威力は受けたダメージの大きさに比例する。
「『チャージバニッシュ』っ!!」
巨大化した盾を押し返すようにして放たれた魔法は道に敷き詰められたレンガを捲り上げながらショルシエのいたところに着弾する。
威力が私達の知っているそれじゃない。ショルシエの魔法が強力だからだけじゃない。明らかに『チャージバニッシュ』によって上乗せする威力の方も上がっている。
「これは……!?」
「感心してる場合じゃないよ!!」
突然強化された自分の盾に驚いているシルトに鋭く声を飛ばして、その場から離れる。それと入れ替わるように跳び込んで来たショルシエが振るった腕の通りに石畳がバターのように斬られてから吹き飛んで行く。
殺せると、今度こそ殺すと思って撃った攻撃が何度も何度も無効化されているんだ。ショルシエの怒りのボルテージは上がる一方。
「――ッ!!」
声も出さないまま、ギロリとこちらを睨みつけた瞬間にこっちに飛び込んで来ることを勘だけで判断して銃の引き金を引いて魔力弾を発射する。
その一撃もしっかりとショルシエを捉え、『浄化の光』が『獣の王』の身体を焼いた。




