友達
不思議な感覚だった。自分の身体、だとは思う。でもどこかふわふわしているというかイマイチ実感が無い。
自分で自分をコントロールしてる感覚が薄いって言えば良いのか。夢の中で動き回っている感覚が一番近いと思う。
【な、な……、何よコレ―!!】
戸惑いながら自分の両手を眺める私と同じ口からピリアの声出て来ることにびっくりする。何がどうなっているのかさっぱりわからない。
えっと、確か『同調』は……。
「2人とも!! 魔法が来てますよ!!」
変身する時に『思い出チェンジャー』から鳴っていた音声の事を思い出していると焦ったようにシルトの声が聞こえて、はっとする。
目前に迫る魔法にやっばと顔が引きつる。自分達の身に何が起こったのかに気を盗られ過ぎてショルシエが放った魔法が迫っていることをすっかり忘れていた。
これを間抜けって言わずに何と言うのやら。
とにかく、腰に下がっている銃を抜いて引き金を引くと、ズドンッと今まで以上の重い音と一緒に光の魔力の弾丸が放たれる。
今までの一発より確実に重い一撃。指の太さ程の弾丸に今まで以上に魔力が乗っているのを肌感覚で理解した私は。
「爆ぜろ!!」
咄嗟にそこからイメージを膨らませて、ショルシエの魔法に着弾する寸前に弾丸を爆発させた。
『浄化の光』という対『獣の王』に有効な光属性の魔法が大きく爆発して、ショルシエの魔法を誘爆していった。
魔法の誘爆で巻き起こった爆風を顔を覆いながら踏ん張って耐える。
それが晴れてからようやく私達は自分達がどんな状態なのかを理解することが出来た。
【ちょっとスバル!! 説明して!! なんで私がスバルの中にいるのよ!!】
「頭の中で大声で喋らないでよ。『同調』ってメモリーを使った戦闘技法なのは知っているけど、私もよく知らないんだよ」
Slot Absorberメモリーを使って戦う魔法少女はアズールさん、シャイニールビーさん、フェイツェイさんの3人。
それと真広さんことシャドウさんか。真白さんも使えるらしいけど、真白さんは『繋がりの力』があるからそっちで良いらしい。
私達メモリスターズも『思い出チェンジャー』とメモリーを使って戦うけど、その能力を引き出すための方法の引き出しの多さは当たり前に先人の魔法少女の人達の方が多い。
その中で特筆すべきなのが『同調』、『進化』、『融合』という更なるメモリーの強化方法だ。
ハッキリ言って、これがどんな原理で発動しているのかはさっぱりわからないらしい。
魔法技術研究所の所長、東堂さんが言うには『繋がりの力』という神から与えられた異能力を模倣して造られたSlot Absorberが所有者の強い意志によってメモリーの力を最大限に引き出そうとしているんじゃないか。
って仮説があるくらい。つまりほとんど何もわかっていないってこと。
分かっているのはこの3つの能力がどういう条件でどれが発動するのか、ってことだけ。
『進化』は単純で持っているメモリーが1枚で、そのメモリーと所有者が一緒に強くなろうって意思が強い時。メモリーの力で使用者の潜在能力を引き出して戦う。これはアズールさんが使っているやつだね。
『融合』は逆にメモリーを複数枚持っている時にメモリーの力を1枚にまとめ上げて、その能力を何倍にも跳ね上げる。でも属性や種族なんかを統一しないと難しいらしい。
つまりドラゴンと獅子を1枚にしているシャイニールビーさんはちょっとよく分からないことをしているってこと。
そして私達とフェイツェイさんとグレースアさんが使っているのが『同調』という方法。
これは片方の人が実体を無くしても大丈夫な種族なのが条件。例えば妖精みたいな魔力で身体を構成している種族や、ゴースト系の種族。
こういう人達と魔力の波長をリンクさせて、もう1人の身体に憑依のような事をする、らしい。
そうすることで本来肉体を持つ人が持っていない属性や魔法を憑依した側の人が1つの身体で操ることが出来るようになる。
つまり、身体は剣を振り回しながら憑依した人が魔法を発動するということが出来るようになる。なんて言うかな、脳みそと腕が増えた的な?
【その例え止めて欲しいんだけど。想像したイメージが全部こっちにも来たわ】
「考えてることは筒抜けかぁ」
デメリットは1人の身体に2人いるから、どうやら考えたことがそのままピリアに伝わっているらしいことだね。
うーん、頭がふたつで腕が4本あるバケモノを想像したのは悪手だったか。




