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アリスとお兄ちゃんとシリーズ  作者: ピシコ
アリスとお兄ちゃんと文化祭症候群
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28/41

5 兄妹関係とお兄ちゃんのクラス

久しぶりですね(萎縮)

うちの高校の校舎は全五階建てで、五階が一年生の教室、四階が二年生の教室、一つ飛ばしてて二階が三年生の教室になっている。なので基本的に先輩たちとは顔を合わすことはほとんどない。

少し緊張しながら一つ下の階に降りる。

同じ校内のなのになんでこんなにもいけないことをしている気分になるのかしら……。

ふと、隣にいる真衣の顔をみるけど、真衣はいつも通りの顔をしていた。真衣って、本当に肝が据わっていると思うわ……。

二年生のどのクラスにも放課後なのに文化祭の作業をしている生徒がいた。

なんとなくだけど、中学校と高校の大きな違いってここだと思うのよね。

中学校のイベントって、まぁ、楽しくないわけじゃないけど、先生に命じられるままに取り組んでるって感じだったけど、高校の文化祭は自分たちで作り上げていくって感じがするのよ。

そんなことを考えていると、気付いたら、2-4のクラスの前に来ていた。

教室内を覗くと、数人の生徒が机を囲んで話し合っていた。

その中にはお兄ちゃんの姿もあった。

「……ほんとにお兄ちゃんが文化祭の準備を」

「そこまで驚くこと?」

「今までのお兄ちゃんだったら、絶対参加してないわよ」

本にしか興味のない人間だったのに……。

「お兄様のクラスって文化祭、何をするのだっけ」

「確か、謎解きラリーをするって前に言ってたよ」

机の上には沢山の紙が広がっている。あれに問題とかが書いてあるのかな。

もしかして、謎解きラリーの発案者もお兄ちゃんだったりして……まさかね。

「あっ」

刹那、お兄ちゃんの視線が私とぶつかってしまった。

「まずっ」

お兄ちゃんが面倒くさそうにこちらに近づいてくる。

「どうした? なにか用か?」

「あっ、えっと……」

お兄ちゃんだけじゃなく、先輩たちの視線も痛い。

どうしよう……お兄ちゃんが本当に文化祭の手伝いしてるか気になって来たなんて言えるわけもないし……。

「お兄様は、文化祭当日のオープニングセレモニーは手品部の方に出席は出来ますか?」

真衣がとっさに機転を利かせてくれた。助かったわ!

「あぁ、オープニングセレモニーか……そう言えばうちのクラスはまだ決めてなかったような」

「予定が未定なら、私とアリスだけでも十分ですわ」

「力になれなくて悪いな」

「気にしないでください。お兄様のクラスにご迷惑はかけれませんから」

「あの、お兄ちゃん」

「なんだ?」

「今日の帰りは、遅くなりそう?」

「……あぁ。恐らくな」

「そう。お母さんに言っておくね」

「あぁ、頼む」

「文化祭の準備、頑張ってね」

「おう」

私は、クラスの中にいる先輩たちに軽く会釈をした。

「いこ、真衣」

真衣は、一瞬きょとんとした顔をしていたが、微笑したのちに

「えぇ。失礼しますわ。お兄様」

と言って、いつもの顔に戻った。



私と真衣は、お兄ちゃんのクラスに寄った後、部室に戻ってきていた。

真衣は、ポッドで紅茶を淹れてくれている。

「会話だけを聞いてるとね?」

「うん?」

「アリスとお兄様って、あんまり仲良くなさそうだなって思うの」

「そうかしら」

「でも、私はアリスとお兄様って本当に仲が良いなって思ってるわ」

「……」

「さっきのお兄様との会話……口数は少なかったけど……お互いが思いあっているというか」

「別にそんなんじゃないわよ」

「ふふっ、そういうことにしておいてあげるわ」

私は、真衣の淹れてくれた紅茶を一口含む。

相変わらず、真衣の淹れてくれたお茶は、美味しかった。



一方その頃、お兄ちゃんのクラスでは……


アリスたちが帰ってからほどなくして、隣に座っていたクラスメイトの田口が

「なぁ小山内。さっきの二人組、お前の妹なのか?」

少し興奮気味に話しかけてきた。

「背が低い方がうちの妹だ。もう一人は部活の……まぁ、後輩かな」

「どっちもめちゃくちゃ可愛いじゃねーかよ! っていうか妹じゃないなら、なんでお兄様なんて呼ばれてるんだ?」

言われてみれば確かに……真衣さんはなんで俺の事を様づけで呼ぶんだろう?

「もしかして、お前、血もつながっていない女の子にそういう風に呼ばせる性癖でも持ってるのか!?」

「いや、あれは勝手に呼ばれてるだけで……」

「くっそー、やっぱりハーフだからか? この青い目が良いのか!?」

「もう! 田口くんうるさいよ! 文化祭までもう三日しかないんだから! まだ全然準備終わってないんだよ!」

田口の反対側に座っていた鳥居さんが声を荒げた。

「へいへい」

「全く……そういえばあんた、この前印刷しそびれた部分、持ってきたの?」

「あぁ、確か鞄に……っていうか俺は印刷しそびれたわけじゃねーんだよな」

「どういうことよ?」

「誰かが、俺が印刷した紙を一部持ってっただけだと思うぜ」

「持って言った? 田口君があの紙を失くしたわけじゃないの?」

鳥居さんの隣に座っていた小野寺が不意に声をあげた。(小野寺については、アリスとお兄ちゃんと本の虫を読むとどんな人物なのか分かるかもしれない)

今、この教室にいるのはこの四人だ。

「ちょっと考えれば簡単な事よ小野寺ちゃん」

田口は、フッとキザな笑い方をして

「あの時のことをもう一度振り返ってみると、俺が印刷していたパソコン室は、俺たちをふくめ多くの学生がいた。学校で印刷が出来るのはあそこだけだからね」

うちの高校のパソコン室は、基本的に授業以外では生徒の立ち入りは禁止だが、文化祭時期の放課後には4時半から6時までの間だけ、文化祭のポスター、チラシ作りのためという条件で解放されている。

「で、俺はみんなが作ってくれたデータをせっせと印刷してたわけ。それで、さっきも言った通り、パソコン室には、俺以外にも印刷してる生徒が他にもいたんだよ。だから、印刷機から印刷される紙の順番が結構バラバラでさ。だから、他の生徒とも混ざっちゃったと思うんだよね。だから、誰かが間違えて今も持ってるかもな。まぁ捨ててるかもしれないが」

「なるほどね。でもさ、それってあんたがしっかり確認してればもう一度印刷することなかったんじゃない?」

鳥居さんの言うとおりだ。

「えっと……まぁ……」

「それで、誰かが持ってちゃったかもしれない紙ってどこの部分? もし、それが問題の答えがある紙だったら大変だよ」

小野寺は不安そうに尋ねた。

「それなら心配いらないぜ。誰かに持ってかれた部分は、問題の部分とかじゃなくて」

田口は鞄から、数枚の紙を取り出す。

「これだからな! ハッハッハ別にこの部分は見られても大丈夫だろ!」

田口が取り出した紙には、赤黒いおどろおどろしいフォントで

「また一人、生徒たちの悲鳴がこだまする……!」

「次の犠牲者はお前だ……!」

など、物騒な言葉がたくさん書かれていた。

「まぁ、この部分なら、見られても関係なさそうだけど」

「見た人は何事かとは思うかもね……」

鳥居さんと小野寺は苦笑した。

「こういうのは雰囲気が大切だからな。ゲームにも緊張感が必要なのと一緒だぜ」

「謎解きラリーに雰囲気って必要かしらね?」

「必要だろ! な! 小山内! 謎解きラリー発案者のお前もそう思うだろ!?」

「……」

「小山内?」

田口が印刷した一枚の紙を俺はじっと見つめていた。

「どうした? ぼーっとして」

「世の中には、思い込みの激しい人がいる」

「は? どういう意味だ?」

「いや……まぁ、多分大丈夫だと思うんだけど」

俺がじっと見つめていた紙には

「爆破予告! 文化祭当日、学校は火に包まれる……!」

と書かれていた。

明日も明後日も更新します(強い決意)

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