4 ドレスと写真とお兄ちゃん
週一更新で10月中に終わるんでしょうか
放課後、私は渡辺さんと共に、家庭科室へと来ていた。
そして私は家庭科室に入るなり、家庭科部員の人たちに囲まれた。
「あなたが噂のアリスちゃんね!? 待ってたわ~」
「本当に綺麗な髪の色……」
「ぐへへへ……」
初めて見る人たちばかりなので、多分先輩なんだろうけど、この先輩たち……渡辺さんと同じ匂いがするわ……。
「先輩~アリスちゃん、困ってますよぉ。早く撮影の用意をしましょう?」
渡辺さんは、少し呆れ気味に言った。
「それもそうね。お洋服の準備してくるわ」
先輩方はそう言うと、家庭科室と隣接してる被服室へと向かっていった。
「ごめんねぇアリスちゃん。うちの先輩たち、可愛い女の子に目がなくって……」
「こういうの慣れてるから、気にしないで」
あなたでね。
「アリスちゃん可愛いものね~彼氏とかいないのが不思議だわ~」
「もう、やめてよ。私みたいな幼児体型、誰も興味なんてないんだから」
「そうかなぁ」
「そうよ。私は、真衣とかに彼氏がいない方が不思議だわ」
「うふふ~そうね~」
「真衣って、結構告白されるみたいだけど、全部振ってるみたいなの」
え? どうしてそんなこと知ってるのかって? 女子の連絡網を侮らない事ね。
「そうなんだ~」
「渡辺さんって、真衣と中学一緒だったよね? 真衣って中学の時から、あんな感じだったの?」
「うん……彼氏は……いなかったと思うよ」
渡辺さんは、少し考えながらそう言った。
「そうなんだ。真衣って本当に理想の美少女って感じなのに……あの性格がなければね……」
どんな人にも欠点はあるってことなのよねきっと。
「お~いアリスちゃーん。準備出来たわ~」
家庭科部の先輩が、大きく手を振りながら声をかけてきた。
「あ、準備できたみたい。いこう?」
「うん。だいたいどのくらいで終わるかな」
「きっと10分ぐらいで済むわ~。きっとね~」
「10分ぐらい、まぁ、そうよね」
今にして思えば、この時の私の考えは甘かった。
私は、重い足取りで手品部の部室へと向かった。
「ただいま……」
部室では、真衣がソファーの上で優雅に紅茶を飲んでいた。
「おかえりアリス。ずいぶんと時間がかかったわね」
「お陰様でね……」
「写真を撮るだけじゃなかったの?」
「まず着替えに20分かかったの」
「そんなに」
「……っていうか聞いてよ真衣! 私知らない先輩に裸見られたのよ!」
「アリスちゃん、一人でお着替えもできないのですか?」
「ちがーう! あんな複雑な衣装だとは思わなかったのよ! あとあれ! ヌーブラだっけ? あれ初めて付けたわ」
「貧乳なのにヌーブラを? もっと貧乳になるわよ」
真衣はケタケタと腹を抱えて笑いだした。
「うるさぁい! 別に付けたくて付けたわけではないわよ!」
「別に女同士なんだから、裸ぐら良いじゃない」
「……あの先輩たち、ちょっとレズっぽかったし……」
「あー……」
「それに着替えが終わっても色んなポーズで写真撮られまくって……」
私は、鞄から、印刷してもらった写真を取り出す。
「もう散々だったわよ!」
真衣は、私の写真を手に取る。
「わぁ、可愛いドレスだこと。アリスってばそんなこと言って、撮られてる時は結構ノリノリだったんじゃないの?」
「……違うし」
「……そういうことにしておきましょう」
言えない……撮られてるときは、ちょっとハイだったなんて……。
「そう言えば真衣、文化祭まであと三日だけど、当日って何時から出演するの?」
私は話を変えるべく、話題をふった。
「えっと、今日って火曜日よね」
「うん。明日の授業が終わったら、木曜金曜が準備日で、土曜日が生徒のみ参加日で、日曜日が校外の人も来る日」
私は自分で確認するように言った。
「私たちがお客さんの前に立つのは三回よ。土曜日のオープニングセレモニーと、土曜日のショー、それと日曜日のショー。ショーの時間はどっちも14時から」
「オープニングセレモニーってなに?」
「知らないのアリス? 土曜日の朝は各クラスと文化祭に参加する団体が、それぞれの自分たちのアピールポイントを紹介する時間があるのよ」
そう言えばそんなことを、クラス会議で言ってたような……
「うちのクラスも、伊藤君と椎名君が担当だったはずよ」
亮太はともかく椎名君もなんだ……。こういうの苦手そうなのに。
「私たちも、オープニングセレモニーで簡単なマジックを披露するわよ」
「もう考えてあるの?」
「当たり前。明日の放課後ちょっと練習するわよ」
「りょーかい」
その瞬間、ドアがガラガラと開いた。
入ってきたのはお兄ちゃんだった。
「ごきげんようお兄様」
「ああ。最近顔をみせてなくてすまない」
「そんな、気にしないでください」
「文化祭の準備日って、手品部では何をする予定なんだ?」
「ショーの流れを確認して、お兄様とアリスには、小道具の確認などをしてもらう予定ですわ」
「そうか。悪いんだが、準備日は中々忙しそうでな。あまり顔を出せそうにない」
え? お兄ちゃん今何て……
「ん? この写真……」
お兄ちゃんは、ドレスを着た私の写真を手に取る。
お兄ちゃんは、その写真を随分訝し気に見ていた。
「あ、それはね、家庭科部の友達に撮ってもらったの」
「友達ってことは、この学校の生徒か」
「う、うん。そりゃあそうでしょ」
「……それもそうだな。このドレス、昔お前が父さんに買ってもらった服か?」
「ううん、違うよ。私のクラスメイトが作ったの。渡辺さんって、確か何回か会ってるよね?」
お兄ちゃん、私がお父さんに買ってもらった服の事覚えてたんだ。
「ふーん。友達に撮ってもらったなら良いけど、その写真、あんまり外に出すんじゃないぞ」
「え、あぁ、うん」
恥ずかしいから出すつもりはもともとないけど……どうしてそんなことお兄ちゃんはわざわざ言ったんだろう……。
「それじゃあ俺はちょっと用があるから、失礼するよ」
お兄ちゃんはそう言ってそそくさと部室から出ていった。
「……ふーん」
真衣は、ニヤッと笑った(本当にそういう擬音が聞こえてきそうだった)。
「どうしたの真衣?」
「最近のお兄様の様子はどう? なにか変わったところとかない?」
「……そう言えばお兄ちゃん、最近家に帰ってくるのも遅いのよね」
いつもなら私よりも早く帰ってきてるのに……
「もしかしてお兄様、文化祭の準備とかで忙しいとか……」
「いや、そんなまさか。お兄ちゃんに限って……」
「……」
「……」
「お兄様のクラスってどこだったっけ?」
「2-4」
私と真衣は、お互いに小さく頷くと、すっと立ち上がった。
あの、本にしか興味ないお兄ちゃんが、本当に文化祭の準備を手伝っているのか……気になるじゃないのよ!
お兄ちゃん元気そうでよかったです。
次回更新は、10/14あたりです。きっと。多分。部分的にそう。




