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アリスとお兄ちゃんとシリーズ  作者: ピシコ
アリスとお兄ちゃんと来るべき将来
16/41

クロス(マイ)ハート

前日譚その①です。

クロスハート


 

 彼女と初めて出会ったのは、小学校三年生の時。

 私と彼女は、一つの共通点があった。

 それのおかげで、すぐ仲良しになれた。

 彼女は、魅力的だった。

 彼女は、決して誰かに流されず、自分の意思を貫ける女の子だった。

 勇ましくもあり、我儘でもあった。

 だからか、敵も作りやすかった。

 でも、彼女は決して誰かを嫌うことはなかった。

 私は怯えながらも、彼女のそばを離れることはなかった。

 彼女には、この当時から既に一つの夢を抱いていた。

 憧れのあの人みたいなマジシャンになりたい。

 ヒマワリのような笑顔で、いつも私にそう言ってくれた。

 私は、あぁ、この子は私たちクラスメートの事を、観客の様にとらえているのかなぁ。と思い始めた。

 成長するにつれ、彼女は、他の女生徒よりも早く、体つきが大人になっていった。

 私は、そんな彼女を見ていると、胸の中がチリチリと熱くなっていくのを感じるようになっていった。

 この感情は、自分よりもずっと上に行ってしまった彼女を見て、未だ成長が来ない自分への焦りとか悲しみの感情と、純粋な彼女への憧れから出来た、不安定な感情だったと思う。


 中学校に上がっても、彼女は、私と仲良くしてくれた。

 一緒に登下校もした。

 一緒にお弁当も食べた。

 一緒に修学旅行も回った。

 ずっと一緒にいた。

 中学校に上がってからは、彼女が私にとるスキンシップも中々過剰で、はたから見れば、気色悪がられていたかもしれない。

 そうそう、彼女は中学校に上がってから、男子生徒に何回も告白された。

 中学生離れしたスタイルの彼女は、もちろん学校一の美少女だった。

 でも、彼女は全てそれを振った。

 振った回数が20を超えて、学校でも有名なイケメンの先輩をも振ったあたりから、学校中で噂が立ち始めた。

 彼女はレズビアンなんだ、って。

 ある朝、彼女の机がペンキでラクガキされていた。

 それでも、彼女は笑っていた。

 気付くと、彼女の隣にいたのは、私だけだった。



 私は、彼女が好きだ。

 彼女の飄々とした態度が。

 マジックをするときの瞳が。

 その大げさな身振り手振りが。

 狂気すら感じるその態度が。

 私は彼女が恐ろしくって恐ろしくって、好きになっていた。

 そんな恐ろしい彼女が、私をただ一人の友達として横においてくれていることに感謝していた。

 


 でも私は、彼女の恋人になりたかった。

 友達でも友人でもない……。

 ねぇ、知ってるんだよ? あなたが先輩からの告白を振った時、レイプまがいの事されたって。

 なのにどうしてそんなに笑顔なの?

 どうして私に見せる笑顔はそんなに素敵なの?

 私には分からない……。

 こんなにも好きな人の事が、全然……。






桜が舞う四月。私は彼女と肩を並べて校門の前に立っていた。

「なべ子、今日から同じ高校だね」

「うん……」

「なべ子、私と同じ高校で嬉しい?」

「えっとぉ……うれしぃ……よぉ?」

「ふふっ、私もよ。高校でもお世話になるわ」

 真衣ちゃんは、おそろいの制服を風になびかせる。

「これからもよろしくね。なべ子」

「うん。よろしくね~」

 私はこの時、涙を堪えるのに必死だった。

 どうして、真衣ちゃんは、真衣ちゃんの大切なものを奪った私にまだ、優しくしてくれるんだろうって……。

 ねぇ、教えて真衣ちゃん。

 お願いだから……。

 また、名前を呼んで欲しいの……。

 風に吹かれて散る桜が、私にはとても儚げに見えた。

出来れば明日!(多分無理)

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