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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 IF:血月の黙示録  作者:
第一章:血月の黙示録

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第八話:違和感

時計塔。


重苦しい沈黙。


セレナの視線は鋭い。


ノクスは静か。


レグルスは露骨に不機嫌。


そして。


クロエだけが、状況を理解していなかった。


「始祖って、そんなに危ないの?」


その言葉に。


教会側の空気が、一瞬で凍る。


セレナ

「……何だと?」


クロエは首を傾げた。


「だって、名前聞いただけで怖い顔するし」


「そんなヤバい人なの?」


ノクスが静かに目を閉じる。


レグルスは頭を抱えた。


「クロエ」


「余計な事を聞くな」


「えぇー……」


ノクティスは、黙ってクロエを見つめていた。


違う。


こんな空気ではない。


始祖はもっと、恐ろしく、禍々しい存在のはずだ。


なのに。


目の前の少女から感じるのは。


妙な安心感。


「……妙だな」


無意識に漏れた声。


セレナが振り返る。


「何がだ」


ノクティスは少し迷い、小さく首を振った。


「……いえ」


言える訳がない。


始祖反応の中心にいる少女を見て、安心しているなど。


一方。


エルは静かに端末を操作していた。


「対象周辺にて、異常数値を継続確認」


「始祖波長が、少女の周囲で安定しています」


セレナの目が細くなる。


「つまり」


「現段階では断定不可」


エルは淡々と続ける。


「ですが」


「彼女を中心として、波長変動が発生しています」


クロエは、完全に話についていけていなかった。


「……?」


「なんか難しい話してる?」


レグルスが、小さく吹き出しそうになる。


ノクスは静かにため息をついた。


その時だった。


グゥ……


沈黙。


クロエの顔が固まる。


数秒遅れて。


「…………」


腹の音だった。


レグルスが顔を逸らす。


ノクスは目を閉じる。


セレナは無表情。


エルは反応なし。


ノクティスだけが、少し目を丸くした。


クロエは真っ赤になる。


「ち、違っ……!」


「これはその、タイミングが……!」


セレナが静かに呟く。


「……始祖とは思えんな」


ノクスのこめかみが痛くなる。


クロエは慌てて話題を逸らした。


「そ、そうだ!」


「お茶飲む!?」


全員が止まる。


「……は?」


セレナですら、珍しく固まった。


クロエは普通に続ける。


「来たばっかりだし!」


「ノクス様、お茶どこだっけ?」


その瞬間。


レグルスの眉が、ぴくりと動く。


ノクスは静かに目を伏せた。


そして。


無意識だった。


「……Yes, my lord.」


空気が止まる。


クロエ

「?」


「またそれ?」


セレナが眉をひそめる。


ノクティスの瞳が揺れる。


だが。


最も反応したのは、エルだった。


「……確認」


端末へ、新たな反応が表示される。


「高位眷属服従反応」


「対象ノクス・R・アンリタ・ミラージュ」


エルの視線が、ゆっくりクロエへ向く。


「……興味深い」


その呟きだけが、静かに響いた。

読んでいただきありがとうございます!


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引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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