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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 IF:血月の黙示録  作者:
第三章:血月戦争前夜

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第二話:黒薔薇

昼下がりだった。


珍しく、


空気が穏やかだった。


教会の動きはまだ無い。


結界も正常。


だからこそ。


クロエは、


少しだけ落ち着かなかった。


ソファの上で、


もぞもぞ動く。


ノクスが、


書類から視線を上げた。


「……どうしました」


クロエは、


少し考えてから言う。


「そと、いきたい」


レグルスが、


横から笑う。


「またおでかけか?」


「ちがう」


クロエは、


窓の外を指差した。


庭園。


屋敷の奥に広がる、


広大な薔薇園。


その中でも。


黒薔薇だけが咲く一角。


クロエのお気に入りだった。


「くろいおはな、


みにいきたい」


ノクスは、


少しだけ黙る。


危険は無い。


結界内。


監視範囲。


問題ない。


「……少しだけですよ」


クロエの顔が、


ぱっと明るくなった。


「ほんと!?」


レグルスが、


苦笑する。


「お前ほんと甘ぇな」


ノクス


「貴方は黙っていてください」


庭園は静かだった。


風が吹く度、


黒薔薇が揺れる。


まるで夜みたいな花。


クロエは、


その中を楽しそうに歩いていた。


「……きれい」


レグルスは、


後ろで腕を組む。


「まぁ、


お前ん家みたいなもんだしなここ」


「わたしの?」


「ノクスがそういう勢いで管理してる」


遠くで、


ノクスの視線が冷たい。


クロエは、


一輪の黒薔薇へ近づいた。


大きい。


深い黒。


光を吸い込むみたいな花弁。


クロエは、


そっと触れようとして。


ちく。


「いたっ」


小さな指へ、


赤い血が滲む。


クロエが、


びっくりした顔で固まった。


レグルスが、


反射的に手を取る。


「おい大丈夫か――」


そして。


無意識だった。


ぺろ。


血を舐め取る。


沈黙。


クロエ、


ぽかん。


レグルス、


数秒後に固まる。


「……あ」


後ろ。


ぞわり。


空気が死んだ。


ノクスが、


無言で立っている。


笑っていない。


完全に笑っていない。


レグルスが、


冷や汗を流した。


「いや待て」


「違うこれは反射で――」


ノクス


「ほう」


「幼体始祖へ、


無許可吸血を」


「なるほど」


レグルス


「言い方ァ!!」


クロエは、


まだよく分かっていない。


ただ。


二人を見比べて。


「……?」


って顔をしていた。


数分後。


庭園の奥から。


「待っ……!!」


「ノクスお前本気で殴――」


ドゴォッ!!!


という、


凄い音が響いた。

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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