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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 IF:血月の黙示録  作者:
第二章:黒翼幼年記

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第十二話:遭遇

馬車が揺れる。


夜道。


森を抜ける旧街道は、

人通りも少ない。


レグルスは、

御者台で欠伸をしていた。


「ねみぃ……」


ノクスは、

無言で周囲を警戒している。


その後ろ。


馬車の中から、

小さく声がした。


「……れぐるす」


「ん?」


窓から、

クロエが顔を出している。


月明かりに照らされた赤い瞳。


どこか、

楽しそうだった。


「そと、いっぱいある」


「当たり前だろ」


「……すごい」


その反応が、

あまりにも子供で。


レグルスは、

少しだけ黙る。


本当に。


何も知らないんだな、

と思った。


その時。


ノクスの視線が、

鋭く細まる。


止まった。


空気が。


「……来ます」


低い声。


次の瞬間。


ガァンッ!!


前方へ、

巨大な光槍が突き刺さった。


馬が暴れる。


クロエが、

びくっと肩を震わせた。


「……っ」


レグルスが即座に立つ。


「敵か」


森の奥。


白銀の外套。


複数。


教会騎士。


その中央。


白髪の女が、

静かに前へ出る。


異端管理局、

執行官。


冷たい金色の瞳が、

真っ直ぐクロエを見た。


「……確認しました」


「始祖反応一致」


空気が凍る。


クロエは、

状況が分かっていない。


ただ。


本能だけが、

警告していた。


怖い。


白髪の女が、

静かに告げる。


「監視者ノクス」


「その個体を引き渡しなさい」


ノクスは、

一歩前へ出た。


「断ります」


即答。


女の目が細まる。


「貴方は理解しているはずです」

「それは災厄です」


「世界を滅ぼす、

黒翼の始祖」


クロエが、

小さく震える。


“災厄”。


“始祖”。


知らない言葉。


でも。


自分へ向けられている事だけは、

分かった。


レグルスが、

前へ出る。


「言い方ってもんがあんだろ」


「ガキびびってんぞ」


女は、

僅かに眉を顰めた。


「……情を抱いたのですね」


「だから監視者は信用できない」


空気が軋む。


騎士達が、

一斉に武器を構えた。


対始祖兵装。


その瞬間。


クロエの瞳が、

僅かに揺れる。


赤から。


より深い、

血色へ。


ノクスが、

即座に振り返った。


「クロエ様」


その声だけが、

唯一柔らかかった。


「大丈夫です」


だが。


クロエの耳には、

もう半分も届いていなかった。


怖い。


怖い。


怖い。


黒い羽根が、

一枚。


夜へ舞い落ちた。

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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