表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 IF:血月の黙示録  作者:
第一章:血月の黙示録

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/52

第三十話:夜の始祖

静寂。


崩壊した時計塔に、赤月の光だけが降り注いでいた。


ノクティスは、まだクロエを見つめている。


「……綺麗」


クロエの顔が、みるみる赤くなる。


「え、えぇ!?」


「い、今それ言うの!?」


レグルスが、腹を抱えて笑い始めた。


「ははっ!!」


「お前、そういうタイプだったのかよ!!」


「……?」


本人は、あまり分かっていない。


ただ、ずっと思っていた事を、そのまま口にしただけだった。


セレナは、なぜか少し気まずそうに咳払いする。


「……とりあえず、助かったのなら何よりだ」


エルは静かに端末を見る。


「対象ノクティス、生命反応安定」


「始祖因子の暴走停止を確認」


クロエの肩から、ようやく力が抜けた。


「……よかった」


安心した瞬間。


ふらっ――


クロエの身体が傾く。


ノクスが即座に支えた。


「クロエ」


「血を与えすぎです」


「うぅ……」


レグルスが呆れる。


「お前も毎回倒れかけんのやめろ」


「だってぇ……」


ノクティスは、その光景をぼんやり見ていた。


胸の奥が暖かい。


ずっと、独りだった。


失敗作。

半端者。

捨てられた存在。


でも今は違う。


ここに居ていいと、思えた。


その時。


ドクン――


ノクティスの身体から、再び魔力が漏れる。


ノクスが反応する。


「……まだ残っていましたか」


黒銀の翼が、ゆっくり広がった。


だが、今度は暴走じゃない。


静かだ。


そして。


翼の羽根が、赤月の光を反射して淡く輝く。


エルが、珍しく僅かに目を見開いた。


「……変質しています」


「何がだ」


「始祖因子の性質です」


エルは、ノクティスを見る。


「通常の始祖とは異なる」


「極めて特殊な、新規血統へ変化しています」


レグルスが眉をひそめる。


「新規血統?」


エルは静かに頷いた。


「既存始祖と一致しない」


「ですが、危険性は確認できません」


クロエが、不安そうにノクティスを見る。


「ティス……?」


ノクティスは、ゆっくり彼女へ手を伸ばした。


「……怖く、ないですか」


その声は、少し震えていた。


自分は、もう人間じゃない。


始祖でもない。


“何か別のもの”へ、変わってしまった。


クロエは、その手を両手で包む。


そして。


泣きそうな顔で笑った。


「ティスは、ティスだよ」


その言葉に。


ノクティスの瞳が、静かに揺れる。


ノクスは、その姿を見つめながら。


小さく呟いた。


「……夜の始祖」


「は?」


レグルスが間の抜けた声を漏らす。


ノクスは、赤月を見上げる。


「始祖でもなく、人でもない」


「夜と血月の狭間に立つ存在」


そして。


静かに、ノクティスを見る。


「貴方に相応しい名です」

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ