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知ってくれていた人

日本の季節は夏に向かいますが、この物語の主人公たちの国「シャトラナ」の季節は秋から冬へ向かい主人公たちの旅立ちの準備期間に入ります。


 少しずつ木の葉が枝から枯れ落ち、木枯らしが少し吹き始める中

シャトラナ中心部の朝市で大勢の人々が賑わう広場の一角に、人並から隠れる様にある角の柱の横で小さな花束を手向けながらローズマリーがしゃがみ込んでいた。


「お父さん、お母さん。私の作った新作ジャムね、グロリオサ姫が帰国する前に気に入ってくれて大口の契約が結べちゃった! 朝市でも売れ筋なんだけど、思いがけない安定した収入になっちゃったよ。それとメリッサが提案してくれてた蜂蜜も来年にはねぇ~……」


 壁に向かって独り言を呟いている様に見える所に、通りすがりの男性が

ローズマリーに声を掛けた。


「こんな路地裏で、一人で何しているんだ?」


 聞き覚えのあるその声に反応しローズマリーがふと顔を上げると、

銀髪の良く知る男性が不思議そうに顔を覗き込んでいた。


「フェンネル? 朝市も手伝いに来てくれたの?」

「そうじゃなくて…、何で俺が所有する土地の一部でお前が花を手向けているんだ?」

「えっ?」


 ローズマリーの驚く顔を横目に、フェンネルは自分が持って来ていた花束をローズマリーが供えた花の横へ手向けながらその疑問に答えた。


「ここ一帯は、俺がこの国と主従関係を結ぶ契約で受け取っている土地だ」

「……じ、地主っ? ここ、シャトラナの一等地だよ…⁉」


 驚くローズマリーの口元から漏れる白い吐息に気付き、フェンネルは自分の肩に掛けていた羽織物をローズマリーの頭へ被せ、近くのカフェを指さした。


「立ち話していても寒いだろ、そこ入るぞ」




今回分から、WEB先行の更新となります。紙媒体も後追いで作成して参りますが宜しければ引き続きよろしくお願いいたします。

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