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下された答え

 グロリオサ姫の突然の発言に、その場にいた者全員が驚きの顔を上げた。


 グロリオサ姫はそのままフェンネルの方へ近づくと、まっすぐにその気持ちを伝えた。


「フェンネル騎士団長。私、貴方の力を借りてアルストロメリアを、もちろんこのシャトラナも共に更に豊かにしていきたいの。アルストロメリアにはあなたの様な芯の強い男性の力が必要なの…。私個人にも…」


 この部屋の沈黙は数秒だったが、グロリオサ姫にはフェンネルが口を開くまで、永遠の長さを感じた。


「……グロリオサ姫。私と貴女との面識は、学園へ通うアルニカ王子の送迎の時のみとなります」


「私は、その瞬間で貴方のまっすぐな忠誠心を感じ取りました」

 グロリオサ姫は、フェンネルへの評価をすぐ様伝えたが、フェンネルは表情一つ変える事がなかった。


「貴女は、あの時にアルニカ王子と私の立場を逆に見ました」


「…それは、第一印象で……」

 グロリオサ姫はフェンネルの冷たい態度に困惑し、思わず目を逸らした。


「第一印象で人を判断するのは、国の上に立つ者のする事ではない。私はそう思います」


 フェンネルのこの言葉はグロリオサ姫だけにではなく、グレコリ王へも向けて放った。


「…俺は、今はこの国の騎士団長となったが、それは将来アルニカがこの国の王となる事がほぼ確定されているからです。俺は多数がいる場で、あの日君主のアルニカに恥をかかせた貴女に怒りを覚えている…!」


 まさかのフェンネルのグロリオサ姫への返答に、慌ててアルニカが即座に間に入った。


「フェンネル!君の忠誠心は僕にとって、とても嬉しい事だよ。だけど…!」


「俺が人を信頼するのは国や身分じゃない。その人間自身が言った言葉と行動だけだ。現国王が俺を厄介扱いするなら、俺はこの職を今辞めても構わない。力仕事ならローズマリーの仕事の手伝いでも何でもできる。まだ、彼女の方が俺を信用してくれているからな」


 フェンネルの発言にグレコリ国王までもが驚いたが、父親のシッサスは

息子のフェンネルの言葉を黙って受けとめていた。


 そう言い放ち、そのまま外へ出て行こうとしたフェンネルだったが、

それを一人遮る者がいた。



「…メリッサ?」


 扉の前で両腕を広げ、ここからフェンネルが出ていくのを妨げたのは

メリッサだった。


「フェンネルさん、貴方の言っている事は正しい。…でも、間違えてる! 

グロリオサ姫が間違えた行動をした事と、貴方は今同じ事をしてる!」


 メリッサの指摘にフェンネルは我に返り、表情を歪めた。

今、自分も同じくこの場でグロリオサ姫の顔に泥を塗っている事に気付いた。


「ごめんなさい、アルニカ…。私はとても幼稚な心を持っていた…」


 グロリオサ姫は当時の記憶が頭をよぎり、今、身を以て恥ずべき行為を知らされその場に座り込んでしまった。


「あー! もうバカっ、フェンネル! ちょっとこっち来て!」

 この状況にローズマリーが我慢ならず叫びながらフェンネルを力一杯引っ張り、

そのまま外に連れ出して行ってしまった。


 メリッサは即座にグロリオサ姫のそばに駆け寄ると、泣き顔がローブで隠れる様にしてそっと抱きしめた。


 グロリオサ姫は涙で目の前の視界がにじむ中、メリッサの右の片耳飾りに

気が付いた。

「…そう、貴女がアルニカの……」


 そこに、シラー王妃が近づき、肩に手を添えた。


「グロリオサ姫…。少しここを離れましょう。そうね…庭園でお茶でもしましょうか。メリッサ、オレガノに事前にお茶の準備をさせているの。一緒に参りましょう。アルストロメリアのお付きのお二人も」


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