自分の事が分からない
「コリス急便、郵便事業部でーす! メリッサさんに特急郵便です!」
収穫祭のお祭り騒ぎの余韻も落ち着き、しばらくした時に各関係者に報告会議の日時の連絡が届いた。
「明後日、丁度休診日の日ね」
メリッサは手紙を何度か読み返し、予定表カレンダーにマークを記載した。
先日の悪夢の内容、アルストロメリアと母親の関係、色々な事が頭の中を駆け巡り、メリッサは思わず顔を覆った。
「メリッサは母ちゃんに会いたくないのか?」
その様子を見て心配そうに、マンドレイクがメリッサに声を掛けた。
「そうじゃないけど、私って一体何者なんだろうって…」
「メリッサは俺の家族で、ここで人の身体を良くする仕事をしている人だぞ?
それで、メリッサの母ちゃんがここに帰って来たら家族が一人増えるから、食器とか家具をまた買わないといけないぞ?」
マンドレイクの朗らかな答えに、メリッサはマンドレイクにおでこを当てた。
「ふふ、そうだね。そうしたら、ここも手狭になるから増築しないとね」
「アルニカのお嫁さんになったら、きっと簡単に広くしてくれるぞ?」
マンドレイクの言葉に、メリッサは驚き顔を赤くしながら俯いた。
「メリッサはアルニカの事好きじゃないのか?この間、殆ど寝ずにメリッサを看病してくれていたぞ?」
俯くメリッサを覗き込み、マンドレイクは様子を伺う様に見つめていた。
「マンドレちゃん…。もしも私がアルニカと共に同じ人生を歩むとしたら、沢山の方に私をアルニカにふさわしい人間だと認めてもらわなければならないの。
沢山の方の信頼を得なければならないの。私はその器のある人間にはなれていないわ。特に、国王陛下からはまだ私を信用されていないのが分かるの…」
落ち込むメリッサを見て、マンドレイクは少し不満そうに口をとがらせぼやいた。
「でも、メリッサを好きなのはアルニカだ。国王陛下じゃない」
マンドレイクの励ましに、メリッサは穏やかに微笑んだ。
「マンドレちゃん有難う、私が出来る事は頑張ってみるよ。せめてこの国の人間としてアルニカの期待と力に応えたい気持ちはあるの」
そう自分に言い聞かすと、メリッサはアルニカからプレゼントされたネックレスをそっと握りしめた。




