結ばれたい愛、望まれない結婚
フェンネルがアルニカの為に色々と用意している時間と同じくして、夜を迎えていたアルストロメリアの宿ではアルニカとシッサスがこれからの事のすり合わせを行っていた。
「まさか、グロリオサ姫がフェンネルを慕っていたとは…」
「だから言っただろう?フェンネルは少し感づいていて、今回の同行をシッサスに変えたんだ」
「それはそれで、息子は失礼です」
「うん…、でも僕は立場的にフェンネルの気持ちも分かるかな。一国の姫からの求愛だからさ…。僕がメリッサにしている事と同じだから…」
アルニカは自分がメリッサにしている事を重ね、少し胸が痛んだ。
「アルニカ様は、メリッサの気持ちを優先されている事までを伝えているではないですか」
「そうだけど…、シッサスは正直、フェンネルはどう答えると思う?」
アルニカは、フェンネルがするであろう答えを予想しつつ、シッサスの答えを待った。
「断るでしょう。あの子が私の後を継いだのは、相当な意思があると思います」
「やっぱりそう思うか…」
二人は同時に両手で顔を覆った。
「グロリオサ姫がどう心を収める事が出来るかどうかに掛かっているかな?
どこの国とも事を上手く運んでいきたいんだけどなぁ」
アルニカが色々と考え込んでいると、シッサスはもう一つの懸念事項を持ち出した。
「あとは、姫の所持していたあのタロットカードですが…」
「うん。あの件は戻り次第、真っ先に父上に報告しないと。
グロリオサ姫にタロットカードを渡した女性はさ…」
アルニカは更に困惑しながらも、確信をついた様にシッサスの言葉を待った。
「メリッサの母君でしょうね」
「…うん。しかもつい数年前の事だ、アルストロメリアに滞在していた」
テーブルに突っ伏しながらもアルニカはフェンネルの約束を思い出し、少し笑顔を向けるようにした。
「とりあえず、収穫祭…!戻ったら楽しみだなー」
シッサスはアルニカを自分の子供の様に見つめながら、肩を軽く叩いた。
「お祭りですから、戻ったら少しの間、アルニカ様も息抜きされて下さい」
「あと、帰る前に買いたいものがあるんだけど…!」
アルニカはその言葉に甘え、ついでの様にシッサスにおねだりをした。
「予算がありますからね、また本ですか?」
またかという顔をしたシッサスに、アルニカは首を横に振った。
「本だけじゃなくてさ。これ、グロリオサに教えてもらったんだけど…」
アルニカはある切り抜きをシッサスに見せた。
「…なるほど、いいのでは?」
シッサスはそれを見るとなるほど、という表情でアルニカの希望をすんなりと受け入れた




