表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/31

魔法都市「アルストロメリア」グロリオサ姫の元へ。

「……へっくしっ…!」

「大丈夫ですか?アルニカ様。まだ冬はもう少し先ですよ」

「……んー?フェンネル辺りが、何か言っているのかな?」


 アルニカはシッサスとシャトラナ騎士団の数名を連れ、

魔法都市「アルストロメリア」へ到着し、宿で食事を取っていた。


「それにしても、変わらずこの国は容姿端麗で煌びやかな人が多いな…」


 アルニカ達は隅の席で静かに食事をしながら、周りを見渡していた。


「この国は魔法使いの女王が統べる国ですからね。その名と力の元に様々な魔法使いが入り乱れています。宝石に魔力を宿らせたりしますから、皆が外見を着飾っている訳ではありませんし。

シャトラナはどちらかというと剣術の国ですから、こことは真逆の国ですね」


 シッサスは帯同している部下が初めてアルストロメリアに入国している為、説明を加えて話した。


「明日は女王への謁見も控えておりますから、早めに切り上げましょう。

アルニカ様、ここの食事はあまりお口に合わない様ですか?この国は食材を

主にシャトラナから調達してくれているので今回は大丈夫かと思ったのですが…」


 シッサスはアルニカが食事を残しているのを見て、心配そうに伺いを立てた。


「…いや、食事は合っているよ。

ただ、明日あのグロリオサ姫に会う事を考えると…」

「グロリオサ姫はアルニカ様のご学友ではないですか?」


 シッサスが何も知らなそうな為、アルニカは天井を見上げながら話を続けた。


「…そうか、シッサスはグロリオサ姫とは初見になるんだな。

フェンネルからも何も聞いてなさそうだね」

「フェンネルから?」

「まあ、明日になれば分かるよ。フェンネルが何も報告しなかったのも、分かるかな」






 

 翌日、アルニカは帯同している騎士たちには休みを取らせ、シッサスと二人で

アルストロメリア女王の謁見へと向かった。


 アルストロメリアの王宮はシャトラナと違い、魔法使いの細身の男性陣を中心に護衛が付いていた。


 誘導されるまま謁見の間に着くと扉が開き、正面にはアルストロメリア女王、

そして横にはブロンドウェーブの髪、燃えるようなルビー色の大きな瞳を向けた

グロリオサ姫が二人を出迎えた。


「ようこそ、アルストロメリアへ。お二人とも旅の疲れは取れているでしょうか?」


 アルニカ、シッサスはアルストロメリア女王と簡単な挨拶を交わし

女王に促されるまま案内され席についた。


「久しぶりね、アルニカ。元気そうで何よりよ」

「…グロリオサこそ、元気そうだね」


 一瞬の沈黙があり、グロリオサ姫は周囲を見渡すと、アルニカに即座に尋ねた。


「フェンネルは帯同していないの?」


 グロリオサ姫の質問にアルニカはやっぱりという様なため息をつき、

シッサスは不思議そうな顔をして尋ねた。


「息子は今回シャトラナの騎士団長になったばかりで、他の仕事があり今回は同行しておりませんが」


 そのシッサスの言葉にグロリオサ姫は興奮して立ち上がった。


「まあ!フェンネルのお父様…? そして騎士団長に⁉ 

アルニカ、何故早く教えて下さらないの?」


 グロリオサ姫の興奮する姿に、アルストロメリア女王も軽くため息をつき、

シッサスに困った表情を向け説明した。


「この子は、アルニカ王子と学園に同時入学をした際、アルニカ王子に同行していた方に一目ぼれをしておりまして…。まさか、貴方がその方のお父様とは…」


「だって、入学の時に一緒にいたアルニカとフェンネル、どう見ても最初

シャトラナの王子がフェンネルでアルニカが同行者に見えたのよ」

 興奮したままのグロリオサ姫の言葉に、その当時の事を思い出したアルニカは深く沈み込んだ。


「グロリオサ! アルニカ王子に失礼でしょう⁉」

アルストロメリア女王は手にしていた杖の先を床に叩きつけ叱咤した。


「……まあ、確かに入学の時とか、最初の頃は帰りの迎えの時、フェンネルが

シャトラナの王子だと勘違いされたんだ。グロリオサにだけじゃなくて…」


 当時を思い出し落ち込むアルニカに、アルストロメリア女王とシッサスは

これ以上掛ける言葉が見つからなくなった。


「…でもアルニカ、貴方誰か大切な人ができたんじゃないの? 

あの頃の弱気なアルニカとは今、雰囲気もだいぶ違うわ?」


 グロリオサ姫は、アルニカの表情を伺いながら

アルニカが左耳に掛ける耳飾りを指さした。


「え…?この耳飾り?」

「アルニカ、貴方仮にも騎士団を連ねる国の王子でしょう?」


 グロリオサ姫が呆れた顔をした為、シッサスが苦笑いをしながら

アルニカに説明をした。


「騎士が左耳に耳飾りを付けるのは、守るべき者がいるという証ですよ。

アルニカ様」

「⁉」


 その事を聞いた途端、アルニカはシャトラナを出発する際、

見送りに来ていたフェンネルのにやついた表情と言葉を思い出した。


『……ふーん、それ。メリッサが付けていた耳飾りじゃないか?』


「その耳飾り、対の右に付ける人は、守られたい者なんだけど…」

 グロリオサ姫はアルニカを更にからかうように言った。


 アルニカが顔を真っ赤にし、ややパニックになった状態のまま

グロリオサ姫はアルニカが付ける耳飾りに手を伸ばした


その瞬間…


「!?」


 グロリオサ姫は近づけた手を引っ込め、険しい顔に変わった。


「え…?…何この感覚、何か覚えが…」


 グロリオサ姫が瞬時に真剣な表情に変わった為、

アルニカも何かを察し険しい表情になった。


「え…?どうした、グロリオサ?」


「この感じ、何か覚えがあって…」


 グロリオサ姫はしばらく考え込んだ後、

思い出した様にポケットから一枚のカードを取り出した。


「!」


 アルニカとシッサスが同時に目を見開いた。が、

同時に何も知らないかの様な表情と態度に変えた。


 テーブルに、グロリオサ姫が置いたのは

『「魔術師」のタロットカード』だった。


「…これ、私が学生時代に一時期スランプで魔法が使えなくなった時期があって、

人のいない森の中で練習していた事があったの…その時…、

ある人にいただいたカードよ」


グロリオサ姫は少しバツが悪そうに、ポツリポツリとその話を始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ