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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第三章
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一方その頃 その2 ??? 視点

「── 悠真(ゆうま)、結果どうだった?」


総合学園にほど近い、創世教の神殿。その裏手にある小さな寮で、3人の男女が話していた。


「もちろん"特進"だ。2人もだろ?」


悠真、と呼ばれた黒目黒髪の顔立ちの整った少年がそう聞くと、残り2人の少女も頷く。


「まあ、そこに入るのはほぼ確定みたいな感じだったからね。」


焦茶色の髪に鳶色の瞳の、どこか軽い雰囲気の感じられる少女がそう答えると、


「普段通りにやれば問題はなかったよ。」


と、少年と同じ黒目黒髪の、ボーイッシュな少女も続く。しかし少年は、そんな2人の言葉に満足げに頷いた後、少し顔を曇らせる。


「だが……結果としては主席どころか上位5人にすら入れなかった……。」


そう言って歯を食いしばる少年に、2人の少女は気遣わしげな声をかける。


「それも仕方なくない?流石に2、3ヶ月でこっちの世界(・・・・・・)の地理やら歴史やらを覚えるなんて無理だもん。」

月見里(やまなし)の言う通りだ。変に気にすることはないと思うぞ?」

「駄目だ!」


しかし少年は、強い言葉で否定する。


「それじゃ駄目なんだよ……!……俺らは負けることが許されない。たとえそれが、目的(・・)とは関係ない事だとしても。」


そんな少年の、どこか異常なまでに鬼気迫った様子に、2人の少女は顔を見合わせ、小さな声で話し始める。


「なあ、悠真ってあそこまで"勝ち"にこだわるやつだったか?」

「いや?確かに負けん気は強かったけど……。」

「となると、やはり上が?」

「その可能性はあるね。……これは本格的に、どこか信頼できるところに逃げ込まないとダメかもね。」

「だな。……だがまずは、悠真を落ち着かせるところからだ。」


そう言ってボーイッシュ少女は、少年に声をかける。


「悠真、戦闘試験は満点だったんだから、それでいいじゃないか。」

「……他に満点のやつがいなければそれで良かったんだがな。」

「む?他にもいたのか?」

「ひーちゃん知らなかったの?割と噂になってたけど。何でも、全部の教科で満点を取った人がいるらしいよ。しかもその人、長い事行方不明になってたんだって。」

「……それは本当に本人なのか?」

「そこは何とも。でも、一つ確かなことはある。……あれは化け物。ちらっと実技試験を見たけど、あれに勝つのは無理だね。」

「それは悠真でもか?」

「うん。何なら私たち3人でかかっても無理だね。……だから、主席を取れなかったことはそんなに気にしないでいいと思うよ。それに、今は勝てなくても卒業までに勝てるようになればいいじゃん。」

「だが……。」

「しつこい!私たちにはそれ以上に大事な仕事があるでしょーが!」

「あだっ?!」


2人の言葉を聞いてなお試験結果を引きずる少年に流石に我慢ができなかったのか、月見里と呼ばれていた少女が勢いよく少年の頭を叩く。


「月見里の言う通りだ。私たちは魔王討伐のため、回復役と後衛、余裕があれば前衛を見つける必要があるからな。」


そんな2人の言葉を聞き、どこか不満げな様子ながら少年は気持ちを切り替えたようだった。


「分かってる分かってる。……つっても、勧誘する相手は決まってるようなもんだけどな。」


そう言って少年は、3人の名前を挙げる。


「"剣聖"ミリア=グリーツ、"聖女"トウカ=シスト、"真理の探究者"レオナ=トパズ。この3人を俺らの側に引き込めれば、魔王討伐の可能性は大きく上がる。」

「あれ?主席くんは?」

「彼なら前衛も後衛も兼任できると思うが……。」

「あいつは駄目だ。俺の勘がそう言ってる。」

「ふーん……?」


そんな少年の言葉に、感情の読めない目を向ける月見里。


「何だ?俺の勘を信じられないのか?」

「いや?別にそんなことはないよ?今まで悠真の勘が外れたことないもん。……ま、悠真が決めたなら従うよ。何てったって悠真は ──」


そんな彼女の言葉を遮る形で、部屋の扉がノックされる。


「誰だ?」

「私です。」

「ああ、カムラか。入っていいぞ。」

「失礼します。」


そう言って入ってきたのは、銀色の髪を後ろで纏めた、メイド服を身に纏った女性だった。その顔立ちは非常に整っており、何故か無表情だ。しかし、彼女の蒼い切れ長の瞳や髪色、彼女自身の纏う雰囲気は、冷たい月の光が自然と想起させる。


「上層部からの指令です。トウカ=シストを、パーティーに引き入れるように、と。」

「またこのパターンか。」


一切表情を変えないまま告げられた彼女の言葉に、どこか呆れの混じった声でボーイッシュ少女が小さく呟く。


「では、私はこれで。」


最後まで全く表情を変えなかった彼女は、部屋を出る直前、ほんの少しだけ口角を上げ、


「……貴方は、私達の希望です。頼みましたよ、"勇者"様。」


と言って、部屋を後にするのだった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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