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宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第三章
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一方その頃 その1 トウカ視点

遅れました……すいません。

「── えー、それではただ今より、第1回『お兄ちゃんを普通にしようの会』を開催します!」

「いぇーい!」

「ぱちぱちぱち。」


私の宣言に合わせて、ミリアさんとレオナさんも口を開く。


今私たちがいるのは、総合学園の寮にある私の部屋だ。学園の寮は男子寮と女子寮で分かれてるから、ここで私たちが話し合ってもその内容がお兄ちゃんに伝わることはよっぽどない。そして、今回の議題は、「お兄ちゃんに『普通』を知ってもらい、あわよくばお兄ちゃん自身に『普通』になってもらおう」だ。


「ということで、史上初の満点で首席合格したお兄ちゃんに、どうやったら『普通』になってもらえるかを考えていきましょう!」

「うーん……正直なところ、難しくない?」


私が元気よくそう言うと、少し悩んだ後、ミリアさんがいきなりこの会議を終わらせるような言葉を口にする。


「だって、改めて考えてみるとノア君ってどう足掻いても『普通』じゃないもん。だって、帝国の公爵家出身で、刀の扱いも上手くて、サブの魔法もその辺の魔法使いより使えて、知識も豊富で、人柄もよくて、見た目も可愛くて……。強いて欠点を挙げるとすれば、貴族の世界の人脈が弱いことだけど……。……正直Sランク冒険者っていう時点でそれもすぐに解消されそうな気がするんだよね。」

「同意。改めて羅列されると、その異常さが際立つ。」


そう言ってお兄ちゃんの持つ長所と短所を並べていくミリアさんの意見に、レオナさんも同意の言葉を口にする。


「それはそうだけどさ!そこをなんとかしようっていうのが今回の目的じゃん!早々に諦めないでよ!」


そんな2人の言葉にちょっとだけ同意しつつ、私は2人と一緒に、お兄ちゃんを普通にする方法を考え始める。


「まずはお兄ちゃんに『普通』を知ってもらわないとどうしようもないよね。」

「だね〜。」

「そもそも、ノアの自己評価が低いのが謎。何故あそこまで?」

「あー……それは……言ってもいいのかな……。……多分話しても大丈夫なレベルで言えば、昔色々あった、ってくらいかな。」


レオナさんが口にした疑問に、ミリアさんが答える。


「それだけ?」

「ごめんね。でも、ノア君の意見なしで勝手に伝えちゃうのは……。」

「……理解。過去の経験から必要以上に自分を卑下している、という事で良い?」

「そうだね。それで肝心のやり方だけど……一番手っ取り早いのは、お兄ちゃんに『普通』を体験してもらうことだけど……まあ無理だよね。」

「?学校に申請して封印結界を使えば……。」

「多分無理かな〜。ノア君、全状態異常無効のスキルを持ってた筈だし。」

「それにお兄ちゃんの強さはスキルやステータス以上に技術にあるからね。いくら制限をかけても、その辺の人じゃ相手にならないと思うよ。」


お兄ちゃん、もし天賦(ギフト)やスキル、ステータスが封印されても戦えるように、っていつも技術を高めるために訓練してるからね。少なくとも雷魔法は上級まで使えそうな感じだったし、近接戦に関しては多分ミリアさんといい勝負をすると思う。最近の実戦で使ってるところはあんまり見ないけど、糸の方も訓練してるからね。


「ノア君曰く、「補助に頼ってちゃ半人前。補助に頼ってるから、皆不意打ちに弱いんだよ。」ってことらしいけど……正直まだよく分かってないんだよね。一応ノア君の言う通りこれ(・・)を使った訓練もやってるけど……。」


そう言ってミリアさんは、どこからともなく一振りの木剣を取り出す。何かの加工がされているのか、その木剣は木目の全く見えない黒色をしていた。


「……ちょっと見せて。」


その木剣を見、レオナさんは小さく目を見開くとミリアとの距離を詰める。


「え?別にいいけど……。」

「感謝。」


ミリアさんから木剣を受け取ったレオナさんは、木剣を色々な角度から眺めたり軽く振ったりした後、一度頷く。


「間違いない。この剣、干渉を受け付けない。」

「?どういうこと?」


そして告げられた言葉に、私は首を傾げる。


「この剣に使われてる素材までは分からないけど、恐らくこの剣、常にこの状態に保たれるようになってる。魔力を流そうとしても弾かれるし、そもそも持った瞬間から魔力操作ができなくなる。多分スキルや天賦の一時的な封印。」

「えーっと、つまり?」

「この剣を使った訓練は、そうじゃない訓練に比べて効率が良い。それに、使う人によっては魔法を切ったりできる。」

「「……え?」」


その言葉に、私とミリアさんは一瞬フリーズする。魔法を切る?それって ──


「── この剣、国宝レベルの武器ってこと!?」


私が大声でそう言うと、レオナさんは頷く。


「ん。然るべきところに提出すれば、すぐに国宝認定される。」

「何でそんなヤバいものを渡すの、ノア君……!」


ミリアさんが珍しくノア君に恨み言を言うけど、それも仕方ないだろう。だって、まさか訓練で国宝を使ってるなんて思わないもん。


「……因みにこれを作ったのは?」

「お兄ちゃんだね。確かミリアさんの使ってた木剣を10秒くらいで加工して……。」


レオナさんの質問に、私は当時の状況を思い出しながら答える。だけど、途中であることに気付き、思わず言葉が止まる。


「……ということは、これはノアが片手間に作った、と。」

「……そうなるね。」

「……つまりノア君は、さっき挙げたことに加えて市販の訓練用の武器を国宝レベルに加工できるっていう強みも持ってることになるね。」

「しかも、多分量産可能。」

「……これ、やっぱりノア君を普通にするのって無理じゃない?」

「……反論できない……。」


そしてぽつりと呟かれたミリアさんの言葉に、私はそう答えることしかできなかった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

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