試験結果
試験を受けてから3日後。僕たちは試験の結果を確認するため、再び総合学園を訪れていた。
「いよいよだね……!」
「ん。流石にちょっと緊張する。」
ミリアとレオナさんがどこかそわそわしながらそう口にする中、僕は一人考え事をしていた。
── うーん、どうしよう……。ノア=シストと|"新星"ノア《僕》が同一人物ってバレるリスクを避けるためにも、人前で声を出すのは極力避けようと思ってたけど……あれを断るわけにもいかないし……。
「お兄ちゃん、大丈夫?何か考え事?」
すると、僕が難しい顔をしていることに気付いたのか、トウカがそう声をかけてくる。
「あ、うん。まあそんなところかな。」
「もしかして試験結果について考えてたの?お兄ちゃんなら心配はいらないと思うけどなぁ。」
僕が軽く頬を掻きながらそう答えると、トウカはそう言って僕の肩を叩いてくる。
「あ、来た!」
そんなミリアの声に結果の張り出される予定になっている掲示板の方を見れば、結果を張り出すためだろうか、学園の教員と思しき男性が掲示板の前に向け歩いていた。
「── あー、あー。聞こえてるか?」
そしてそのまま掲示板の前に立った彼は、拡声の魔道具を起動し、結果を見に来た受験者達に声をかける。
「よし、問題なそうだな。えー、試験の結果についてなんだが……今までのシステムだと毎年毎年怪我人が出たり喧嘩に発展するような問題が起きたりしてたんで、今年からシステムが変わったんだ。……まあ、実際に見た方が早いか。」
彼はそう言うと、校舎の方に手で合図をする。すると、僕たちの目の前に、水色がかった透明の板が出現する。その板には"結果表示"という文字のみが書かれている。
「その文字を押すと結果が出るようになってるから各自確認しといてくれ。……あ、そうそう。一部合格者は指示に従ってくれな。じゃ。」
そう言って、男性は校舎へと戻っていく。
「そうだ!試験結果、皆で同時に見ない?」
周囲から悲喜交々のざわめきが起こる中、四人が集まったところでミリアがそう提案してくる。
── まあ結果の確認って言っても実質的には点数の確認だし、特に問題はないかな。
「「いいよ。」」
「ん。」
「それじゃあ行くよ?せーの ── !」
ミリアの合図で、僕たちは同時に"結果表示"の文字を押す。
「── いやー、流石に8割は行かなかったか〜。」
「うぐっ……やっぱり実技が足を引っ張っちゃってる……。」
「……成程。」
画面に表示された点数に3人が三者三様の反応を見せる中、僕は若干遠い目をしながら空を眺めていた。
── 予め知ってはいたけど、やっぱり何度見ても現実味ないよね、この点数……。
「ノア君はどうだった?」
「うーん……。……まあ、予想通りだったよ。」
「本当?ちょっと見せて!」
「あっ!」
マリアの問いかけに僕が答えると、隣で結果を見ていたトウカが僕の画面を覗き込んでくる。
「どれどれ……ってえ?満て ──」
「ストップストップ!」
そして目を見開き、僕の試験結果を漏らしそうになったトウカの口を、僕は慌てて手で塞ぐ。
「え?何何?」
「ノアの結果、変?」
そんな僕たちの行動に興味を惹かれたのかミリアとレオナさんも僕の結果を見、トウカと同じような反応を見せる。
「── こほん。えー、僕の結果は一旦無かったことにして……結果はどうだった?」
やがて3人が落ち着いたところで、僕は空気を変えるべくそう口にする。
「ノア君の後だと微妙な点数になっちゃうけど……私は1,003点だったよ。どの教科も満遍なく取れてはいたけど、やっぱり魔法関係の教科はあんまり点を取れてなかったんだよね……。」
「私は1,084点。やっぱり魔法じゃない方の実技で点が取れなかったのが痛かったかな。」
「1,142点。トウカと同じで、実技で取れてない。」
「3人ともちゃんと1,000点以上取れたんだね。これなら"特進"入りに文句を言う人はいないでしょ。」
僕がそう言うと、3人揃って僕にジト目を向けてくる。
「……そう言うお兄ちゃんこそ、とんでもない点数取ってるじゃん。何?満点って。この試験、満点取れるものだっけ……?」
「……少なくとも、今まで聞いたことはないね……。」
「それぞれの試験問題は、その道の専門家じゃないと満点を取るのは難しい。多分"特進"の生徒でも自分の得意分野で取るのが限界。つまり、満点を取ったノアは異常。」
「3人とも酷くない?別に、これくらいだったら頑張ればできると思うけど……。」
3人の言葉に、僕は首の後ろを小さく掻きながらそう答える。すると、3人は声を合わせ
「「「それはない!」」」
と強く否定してくる。
「えぇ……?僕が満点を取れたのも、頭がいいってよりは物事を忘れにくいからなんだけど……。」
「それがおかしいの!普通の人は、10年以上前に覚えてそれきりだったことなんて忘れてるよ!」
「ミリアの言うとおり。そんなことまで覚えてたら、脳の容量が足りなくなる。」
「私も驚いたもん。まさか、いなくなる前に教えられてたことを全部覚えてるなんて思ってなかったし。……まあ、お兄ちゃんが規格外なのは分かってたし、今は皆がちゃんといい点を取れたことを喜ぼうよ。」
「だね。」
「ん。」
呆れたような顔でトウカの言った言葉に同意する2人。
「……まあ、それもそうだね。それじゃあ、帰ってパーティーでもしよっか。」
「いいね!」
「やろうやろう!」
「賛成。」
そんな3人の様子に若干傷つきつつ僕がそう口にすると、3人は笑顔を浮かべ提案に同意する。
「それじゃ、行こっか。」
そんな僕の言葉を最後に、僕たちは下宿先に向け歩き出すのだった。
作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。




