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夢見たっていいじゃん!!!!  作者: YUKARI
第三章 始動
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26 お化け屋敷

「明日、午前中には帰るけど、いいよな? 午後から俺、やることあるんだわ」

「えー、俺ら明日もオフだから夕方に帰りたーい!」

「あ、私たちも午前中に帰らないといけないから、悠真さんもそれに乗っていく?」

「保護者が、いなくなる……」


 早く帰りたい兄ちゃん、帰りたくないジュンくん。

 そして、保護者がいなくなると言う兄ちゃん。


 ノブくんが一応は居るけど、兄ちゃん達はそれを知らないからなぁ。


「あのぉ……俺ってば一応、18で、もうすぐ19なんですけど」

「それは、きっと勘違いだと思うよ」


 大輔くんが冷たくジュンくんに言い放つ。


「保護者って、明日は夕方には帰るんだから居なくても大丈夫なんじゃないの?」

「あ、そうか。ならいいのか。じゃあ、明日、凛さん俺も一緒に頼んでいいっすか? なんなら、俺が運転するし」

「うん。じゃあ、お願いします!」


 ノブくんの一言に兄ちゃんは納得して、兄ちゃんは朝一で凛さんと伸之くんと先に帰ってた。



「やばい! どどどどどどっ、どうしようっ?!」


 朝が来ました。


 今日は兄ちゃんが朝早くに先に帰るって言うから、別に寝てたのはいい。

 だけど、兄ちゃんが帰っちゃったからメイクが出来ないー!


 部屋から出れない。

 しずくちゃんも普段からメイクしないから出来ないって言ってたし。


「と、とりあえず、落ち着いてメイクをやってみよう……って、だめだぁぁぁ! アイライン引けないし、アイシャドウしたら目が腫れてるみたいに見えるー!」

「……幸ちゃん? 朝から何を騒いでるの?」


 あたしが叫んでたのが部屋の外に響いてたのか、大輔くんが部屋のドアを叩いてる。


「大輔くん……」


 部屋の外に大輔くんしか居ない事を確認しながら、ドアを開ける。


「うわっ! 何その顔!」

「兄ちゃん居なくて、メイクがぁぁ……! 髪の毛のセットがぁあああ!」


 あたしのめちゃくちゃなメイクを見て驚いてる大輔くんに、すがるように説明する。


「わかったから、えっと、その部屋に取りあえず入れてくれる?」

「そうだよね?! う、うん。入って!」


 ドアを開けて叫んでたのが、ヤバい事に気付いて大輔くんを部屋に入れる。


「えっと、そのメイク……先に落そうか?」

「やっぱり、ダメだよね? あはは……」


 大輔くんに言われるまま、部屋の洗面台で顔を洗う。


「うん。ユキになったね」

「ユキになったって、ここにユキは居ない事になってるじゃん……」

「ジュンくん寝てるし、幸ちゃんも一緒に帰ったでいいんじゃない? そんで、朝一番でユキが来たで」

「でも、服が……」

「昨日、ノブが服を洗濯してたからなんかあるよ。電話してみる」

「うん」


 大輔くんがノブくんに電話してるのを黙って見てると、ノブくんが洋服を持って来てくれた。


「ほら、遊園地で着たやつ。洗濯したから、これでいいだろ。あーっと、ベルトも必要なんだっけ? ほら」

「ありがとう。でも、大丈夫かな?」

「大丈夫だろ。俺は昨日でジュンがかなりの鈍感って確信したし」

「鈍感って何のこと?」

「あ、いや、こっちの話。早く着替えれば? 何気にジュン早起きだしもう起きてるんじゃね?」


 大輔くんはノブくんの言った事に気づかないってことは、コンクールに出てたのが伸之くんって事も知らないのかな?


じゃあ、ジュンくんは……あっ、そうか。

ジュンくんと伸之くん、同じ年にコンクール出てるのに会っても伸之くんに気づかなかった。って、事を言いたいのかも。


「ちょっと、ノブ? ここに居たら、流石にユキだって言ったって着替えられないでしょ?!」

「あぁ……もう飯できてるから早くしろよ」

「う、うん。すぐ行くね」



******



「わーーーーーー!!」


なんだ、なんだ?! 昨日のデジャブか?! なんか、このパターンが昨日から多い気がする。

 

「えーっと、なんでしょうか?」

「なんでしょうか? じゃなーい! 今日は新倉が先に帰って、幸ちゃんを口説くつもりがーーーー! なんで、俺に黙って幸ちゃん帰っちゃってるの?! しかも、なんでユッキーが普通に朝ごはん食べてるの?! 男だらけで、ここに残って遊んでも意味ないーー!!」


 口説くって……あたし、幸を先に帰ったことにしたの正解だったかも。

 くっ付いて歩かれたら、いつ自分がボロ出すかわかんないし。


「別にいいじゃん。僕だって遊びたいもん! それに女の子はしずくちゃんがいるでしょ?」

「しずくちゃんは、論外。バックに宏樹さん居るから無理!」


 バックが付いてなければいいのかい……。


「はいはい。パパが居なくても、ジュンくんはお断りだから安心して」

 

 飽きれた顔でバッサリ言い切るしずくちゃん。

 でも、あたしもキモイとか、かなりひどい事を言ったから人の事は言えないか。


「どうして、俺は損な役回りばっかりなんだぁーー!」

「……損な役回りって、なんも損してないじゃん」

「だって、幸ちゃん新倉がガードされてたし、新倉が近くに居ないと思って近づけば、幸ちゃんに全力で逃げられて近づけなかったし」          

「それは、自業自得でしょ」


 あたしが口出す所はなさそうだから、大輔くんがジュンくんをなだめてる……のか?

 とりあえず、黙って見とこう。

 

「自業自得って言ったら、ノブの方が夜に幸ちゃん連れ出して遊園地行ったじゃん。それなのに、新倉のガードはノブには甘かったし!」

「それは、ジュンの日ごろの行いだろ?」

「じゃあ、今からみんなで遊園地に行く? せっかくユッキーも一応は来たんだから、遊びたくね?」


 なぬ?! なんで、いきなり話が飛んで遊園地って話になる?

 普通に考えて無理でしょ。

 クリスタルのメンバーがバレたら、しずくちゃんが一緒にいたらファンの子達に何かされない?!


「このメンバーで行ったら騒ぎになるんじゃないの?!」

「ノブと幸ちゃんは大丈夫だったんでしょ? それに、俺には秘策がある!」

「大丈夫だったけど、あれとこれじゃあ訳が違うでしょ。いくら、しずくちゃんが宏樹さんの娘さんだからって、ファンには関係ないんだから大変な事にならない?」

「なんで、ユッキーがそれ知ってんの?」


 あ?! ヤバッ! 思わず答えちゃった!

 ジュンくんには幸だって、絶対にバレたくないのに墓穴掘ったー! ど、どうしよう?!


「朝、帰り際に幸が言ってたんだよ! うん」

「なぁ、お前……」

「は、はい?!」


 バレた? いや、どうしよう。

 ノブくん、大輔くん、しずくちゃんの顔を見ると「あぁ……」って顔をして視線を逸らされる。


「新倉とユキもそうだけど、お前らって3人って仲イイのか?」

「え?! あ、うん! 仲イイよ。あはは……」


 本当になんていうか……ジュンくん鈍感を通り越しておバカだよね……?

 この様子を見て、他の3人もクスクス笑ってる。


「じゃあさ、じゃあさ、ユッキーも幸ちゃんと仲イイんだよな?!」

「うん、まぁ、そうなるね?」

「じゃあ、俺と幸ちゃんの仲取り持って!」


 えーっと? 取り持つとは?

 あたしに、あたしとジュンくんとどうにかしてって頼んでる?

 

「ねぇ、ユッキーいいでしょ?」

「ありえない! 絶対にそれは、嫌!」

「嫌って、なんでだよー!」

「男だったら自分でなんとかしろし!」

「そうするから、幸ちゃんの電話番号とか色々と教えてって!」


 何を言っても食い下がらないジュンくんと言い争う。


 普通に考えて嫌に決まってるじゃんか!

 ここで、いいよって言ったらあたしがジュンくん好きみたいになるし、あのウザいのがこれからずっと続くなんてゴメンです。


 そんな様子を他のみんなはさっきと変わらず、クスクス笑ってる。

 ん。

 だけど、電話番号はあたしのだけどユキのとして教えとけば問題ない?


「じゃあ……これ番号」

「うわぁ! あんなに嫌がってたたのに本当にいいの?! じゃあ、さっそく……って、なんでこの部屋から携帯の音が?」


 もちろん教えた番号はあたしのなんだから、あたしのポケットに入ってる携帯が鳴る。


「はい、もしもし」

「って、ユッキーの携帯じゃんか!」

「誰も、幸の番号を教えるなんて言ってないし」

「ケチケチケチケチ!」

「もー! なんなの、さっきから同じことの繰り返し!」


 いい加減にあたしとジュンくんの言い争いを聞き飽きたのか、みんなの表情が呆れた顔になってる。

 そんな顔するなら、最初から助けてくれてもいいじゃん! もうっ!


「で、今日は結局なにして遊ぶの?」

「遊園地に行くんじゃないの?」

「だから、それも無理だって」

「いーじゃん。ノブは行ったかもしんないけど、俺ら行ってないし。お化け屋敷とかだけでも行こーよ」

「あー。確かにお化け屋敷ならありかもなぁ」


 ……お化け屋敷? いや、ありってジュンくんの味方して何をノブくん言ってるの?


 いや、お化け屋敷は無理でしょ! 女の子が普通にキャーキャー騒ぐ、虫とか雷そういうのは大丈夫なんだけど……お化けとか絶対無理!


「だから昼間から遊園地は、ヤバイんでしょ?」


あたしがビビッてるのがバレないように、まだ遊園地に行くことを諦めてないジュンくんに反論する。


「お化け屋敷なら、中に入っちゃえば大丈夫だって! 絶叫と違って落ちるときに写真撮られたりしないし。しずくちゃんも、そっちの方が好きでしよ?」

「うん。怖いのとかエグイのとか大好きだよ」

「えぇっ?! しずくちゃん好きなの?!」

「ん? もしかしてユキは怖いの無理なの?」

「そそ、そんなわけないじゃん!」


大輔くんに突っ込まれて、思わずうろたえる。


「じゃあ、うるさい新倉も居ないし行こうぜぃ!」

「ユキ諦めろ。ジュンがあぁなったら、悠真くんと秋香さんしか多分止められない」


ポンポンとあたしの肩を面白そうな顔をして、ノブくんが叩く。


ノブくん……あたしが怖がってるの気付いて、確実に面白がって言ってる!

なんか、悔しいけど今は男の子だから怖い怖いって騒いだら、ジュンくんに変に思われるかもしれないし。


「よーし! 決定! そしたら帰ろうぜぇい!」


 

 ******

 

「ぎゃーーーーっ!!」


 嫌だ! もう、本当に嫌だ! なんで、1人でお化け屋敷に入らないといけない事になった?!

 お土産を買うからって、お化け屋敷から逃げようと思ってたら……。

 

 ストップウォッチを持たされて1人づつ入って、出て来るの一番遅かった人がお土産買うとかルール!

 これなら、みんなで固まって移動しなくても……とか意味不明だから! みんなで遊園地に来る意味もないじゃん!


 しかもジャンケンで負けて1番手とか、まじでありえない!

 次に来るの誰? ジュンくん以外だったら、お土産のお金を全部持ちは痛いけど少し待って一緒に……って、肝心な事を忘れてた。

 バラバラにお化け屋敷に来たんだから他にも客さんが居るんだから、次に来るのがあたしの知ってる人とは限らない。


「っぎゃああああ!!」


 突然ガタンと現れたお化けに腰を抜かして、泣きそうなのを我慢してその場にしゃがみ込む。

 ヤダヤダもう、やだ!

 

「もう、やだぁ……」


 まじで本物が出そうな廃校の雰囲気に、しゃがみ込んでうずくまってるしか出来ない。


「うぅ……先に進まないと出れないのに、ここに居るのが怖くのに動けない」

「わっ! ん? ユッキー何してんのこんな所で。お化けよりビビったし」

「ぎゃあああ!」


 頭上から声がして思わず叫ぶ。

 

 ん? ユッキー……?


「うわっ! 何だよ。俺だし、ジュンだし!」

「だ、だ、だ、だって!」


 よりによって、他のお客さんでもなくジュンくんが来たーー?!


「ビビって動けねーの? あはは!」

「ち、ち、ち、ちっがっ……っぎゃあああ!」


 違うと言おうとしたらガタンと音がなって、ジュンくんの服を掴んで思わず叫ぶ。


「……そんなびびってんのに、一番だったんだから出口んとこで待ってればズル出来たのに。バカ正直だなぁ。ぷぷぷ」

「…………」


 ズル……そこまで考えて無かったよ。

 それにこの場所が怖いのと、ジュンくんに怖がってる事がバレて何も言えなくなる。


「とりあえず、立てば?」


 バカにはしないものの、ニヤリと笑ったジュンくんがあたしの腕を掴んで立たせてくれる。


「あ、ありがとう……」

「さてと」


 あたしを立たせてくれたジュンくんは、キョロキョロした後に進行方向と違う方に歩いて行く。


「じゅ、ジュンくん?!」

「何? 俺、男のおてて握ってお化け屋敷で遊ぶ趣味ないよ? 早く来いよ」

「でも、そっち……」

「こっちは脱出口あんの。上に書いてあんじゃん」


 ……さっきまで、怖いものが目に入らないようにしてたから周りを見る余裕なんかなかったけど、知ってる人が居るって事に何故か安心してジュンくんが言う所を見ると看板みたいなものに、緊急脱出口と書いてあるのがみえる。


「出るだろ? 一緒には行ってやるから」

「で、でも……」

「なんだよ?」

「待って! あっ、ぎゃあっ!」


 先に行くジュンくんを追い掛けようとすると、豪快にあたしは転ぶ。


「げっ! 何やってんの?」

「コケたの!」

「そりゃ、コケるの見たから分かってるよ」

「足だか腰に力が……」

「入らないの?!」


 そこまでビビってんの、女の子でも珍しいしっとかなんとかブツブツ言いながらあたしの所に戻って来る。


「お前、男だしなぁ……うーん」


 そう言いながら、あたしの目の前で止まってジッと見ながら頬っぺたをつねる。


「い、痛い(イダイ)……です」

「抱っこ……ないな。おんぶ……も、ないよなぁ。よいしょっと」

「うわっ! ジュンくん?!」


 ジュンくんがあたしの頬っぺたから手を離して、荷物みたいにあたしを担ぐ。


「暴れんなよ?」

「あ、ヤダ! 後ろからお化け来てる! ぎゃあああっ!」

「……あれ?」

「な、何? 早く先に……!」


 あたしが忠告を無視して暴れたからか、ジュンくんの動きが止まる。


「あ、いや」

「何?! 本物が居たとか言わないでよ?!」

「ユッキー男なんだから少しは黙ってろよー! 流石の俺でも煩いって思うよ」

「だ、だって……うわぁ! お化けが来たっ! ジュンくん早く走って!」

「痛っ! だから、暴れるなって!」


 そんなやり取りをしながら、脱出口から出たあたし達ですがまだジュンくんは下ろしてくれません。


「もう、大丈夫だよ?! 降ろして!」

「ほら、トイレで顔洗ってこいよ」


 そう言って、お化け屋敷から一番近いトイレの前で降ろしてくれた。 

 

「あ、ありがとう……」


 外に出たからか、ちゃんと立って歩けるようになって走って男子便所に向かう。


「バレてはなかったけどさぁ」


 なんか悔しい。

 あんな失態をジュンくんに見られるなんて。

 

「はぁ……ん。あっ!」


 顔を洗ってトイレを出ると、トイレから少し離れた所でジュンくんは女の子に囲まれてる。


「ジュン様! 今日はなんでこんな所にいるんですかー?」

「こんな所で会えるなんて思ってなかったから、感動です!」

「キャーキャー! かっこいいっ!」


 ジュンくんが騒がれてる。

 どうでもいい扱いをするのは、あたし達だけでやっぱりジュンくんはアイドルでカッコイイのか。


 でも、あたしはこれをどうすればいんだろ。

 

 新聞とテレビにちょっとしか載ってないあたしでも、ジュンくんと一緒に居れば本当のファンにはクリスタル加入候補ってバレるだろうし……。


 そんな事を考えてると、ジュンくんと目が合ってスッと逸らされる。


「ん?」


 なんで、逸らされたんだろ。

 あたしは逃げていいのかなぁ?  


「ごめんね。俺もう行かないと」


 一人の女の子の手をそっと握ってキスをする振りをして、キャーと騒ぐ女の子を無視してあたしの所にの走って来るジュンくん。

 

 え?! あたしの所にの走って来る?!


「ほら、ユッキー走れ!」


 立ち止まってたあたしの腕を掴んで、走るスピードを上げるジュンくん。


「え、あ? ちょっと?!」

「ここ寮じゃないんだから、逃げないといつまでも帰れないから!」

「……って、またお化け屋敷ぃ?!」

「ここが一番、安全じゃん」


 もう、あたし泣いてもいいですか?


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