25 イケメンと美少女。
「あ、ノブと幸ちゃん帰って来たんだ。おかえりー!」
「おい、なんか女の子が増えてる! あ……男も居る」
ゲストハウスのお風呂に入ってたのか、ジュンくんと大輔くんがあたし達の後ろから髪の毛が濡れたままメインハウスの入り口に来た。
兄弟とその嫁って事をのぶくんがまた説明する。
「なんだ。人のもんかー。残念。んで、なんで、ノブの兄貴が新倉に捕まってんだ?」
「……いや、殴ろうと思ったんだけど初対面だから、どうするか悩んでた」
「悩んでたって……剛くん、何やったの?」
大輔くんは、伸之くんと初対面ではなさそうだけど、やっぱり入れ替わってる事は知らないのかな?
「嫁いんのに幸に俺の名前使ってナンパさせて、なんでかは予想はつくけど幸のナイ胸触ったとかなんとかって」
「胸を触った?! それは、ユウくん悩んでる場合じゃないかと……」
「何ーっ! 幸ちゃんのおっぱい触ったーー?!」
そうそう、その反応を兄ちゃんにしてもらいたかった……ってジュンくんが、なんでそんなに反応すんの?!
兄ちゃんから伸之くんを奪い取って、今にも殴りそうになってる。
「俺なんか、肩抱いただけで殴られたんだぞ! お前、何やってんだよ! 俺は小さいの好きなんだよ!」
……怒ってくれたの、少し感謝しようと思ったあたしがバカでした。
「あーーーー!! もう、うっさい!!」
しずくちゃんが居ないと思ってたら、寝てたらしく部屋から出て来て一括。
一瞬でその場が静まり返る。
「なんで、剛くんと凛ちゃんが……あーノブくんが言ってた秘策か。で、うるさい原因は、ジュンくんと剛くん?」
「え? 俺、関係ないよ?」
「もう、なんでもいいよ! ちょっと2人共来なさい!」
「え? えっ?!」
混乱してるジュンくんと伸之くんの洋服を掴んで、メインハウスをしずくちゃんは出て行ってしまった。
「……しずくちゃんに任せとけばいいか。そんで、ノブと幸は遊んで来たの?」
「う、うん?」
わぁ……話が振り出しに戻ったぁぁあぁあ!
あたしとノブくんは顔を見合わせる。
ノブくんは伸之くんの登場で、なんとかなると思ってたみたいで予想外の展開にいなって少し戸惑ってる。
「凛さんはこっちの空いてる部屋、適当につかって下さい」
「あ、はい。ありがとうございます」
「幸はさっさと風呂入って来い。そしたら、今日は俺の部屋で寝ろよ」
「は、はい……」
怒られると思ったら、また話が変わった。
なんで、兄ちゃんの部屋で寝なきゃいけないんろうか……それは朝になってから分かった。
「何してるんだーーーーっ」
なんだ、この叫び声は……?!
ビックリして目を覚ますとドアの所で、ジュンくんと伸之くんが固まってるのを見てえる。
「きゃあっ!」
ジュンくんにスッピン見られるのはやばい!
急いで布団に潜り込みながら、隙間から様子を見てると不思議な話になってる。
「幸ちゃんが部屋に居ないから、おかしいと思ったら、幸ちゃんがなんでここに? しかも、なんで慌てるんだ? 幸ちゃん、もしかして服着てないとか?! 兄妹でそんな関係なの?!」
「は? 何言ってんの?」
寝ぼけながら、同じダブルベットで寝てた兄ちゃんが起き上がる。
ほんとに、何を言ってるんだ? いくら兄ちゃんの前だって、ちゃんと服は着てますど。
「この2人って兄妹なの?」
「そうだよ! わー! わー! なんで、新倉も服着てないの? 何したの?!」
「……何をどうしたらそんな想像になんだよ。寝間着、忘れたんだよ! そんで、お前らは何しに勝手に部屋に来たんだよ?」
「朝飯出来るから、ノブが起こしてこいって……」
「ん。分かった。……で、お前ら、いつまでそこにいんの? そこに居たら幸が着替えられないだろ」
「やっぱり……! 幸ちゃんも服着てないの? すいません。お邪魔しました……」
パタンとドアを静かに部屋を出てった2人。
2人が出てったのを確認してから、布団から出て起き上がって部屋についてる洗面台で顔を洗いながら兄ちゃんに聞く。
「兄ちゃん、なんでジュンくんあんなに騒いでたの?」
「……剛はニヤニヤして出てったけど」
「ニヤニヤ? なんでだろ」
「ま、勝手にさせとけばいいだろ。やっぱ、お前こっちに寝て正解だったな」
「正解?」
「なんだよ。ジュンの言ってたこと聞いてなかったのかよ。幸の部屋に行ったら、いなかったって言ってただろ」
兄ちゃんが居たから部屋の中まで入ってこなかったて事?
ジュンくんは、普通に飛びついてくるくらいだから……あたし一人だったら、寝てるとこに飛びついて来てたかもしれない。
あ、危ない。
顔見られて、ユキだってバレてたかもしんない。
「お前が暴れて、ジュンの顔に痣作ったらヤバいしなぁ」
って、だから、兄ちゃん! 間違ってます! 少しは妹の身も心配して!
「昨日は、遊園地では何もなかった?」
「ん? 一回だけ声掛けられたけど、あたしノブくんの服着てたしなんもなかったよ。絶叫乗って、観覧車乗って帰って来たよ?」
「ふーん。観覧車ねぇ? 今日はプール入るんだっけ?」
「うん! 入る!」
「じゃあ、お団子のウイッグ付けるかな……」
兄ちゃんにメイクと髪の毛をセットしてもらって、朝ご飯を食べにリビングに向かう。
「おはよー! 幸ちゃん!」
「おはよっ!」
しずくちゃんと大輔くんが、ご飯を食べながら挨拶してくれる。
「…………」
チラッとあたしの顔を見て、目が合った瞬間にあからさまに目を逸らされ黙々とご飯を食べるジュンくん。
「な、なんだ?」
「ユウくんと一緒に寝てた事に、ショックをうけてるらしいよ?」
「ショックって……ジュンくん達が入って来た瞬間、スッピン隠すのに布団に潜っただけなんだけど」
「あー、だからか」
大輔くんと話してたら、ノブくんもよそってくれたご飯を置きながら、話に加わって来た。
「だから?」
「だから、それだろ? いくら中学生でもわかるだろ」
「幸ちゃん……それは、鈍感過ぎるでしょ」
中学生でもわかるって?
服がどうのこうのって、言ってた気もしないでもないけど……服?!
「え?! 兄ちゃんだよ?!」
「ジュンくんの考えそうなことでしょ……」
「そんな事しか頭に無いからな」
「はぁ。いつまでも、こうされてんのウザイな」
兄ちゃんがジュンくんを見て溜息を吐く。
「わーーーーーーっ!!」
ご飯を食べ終わったジュンくんが、叫びながらガタンと立ち上がる。
「うっさいなぁ」
「うるさいって、なんだよ! 新倉のバカ! イケメンと美少女の兄妹がそんな関係になるから、俺みたいのが余るんだよー!」
ジュンくん、仮にもアイドルが余るってそれは……ないでしょ。
「妹に手出すほど飢えてないし、それに俺、彼女いるし」
「彼女っ?!」
みんなが同時に声を上げる。
「兄ちゃん、彼女いたの?!」
「なんだよ。いちゃ悪いかよ」
「彼女も居て、妹も?!」
「……もう、このうるさいのどうにかしろよ」
「はいはーい! 俺がなんとかしまーす!」
何故か張り切ってる伸之くんが、ジュンくんを外に連れてってしまった。
「で、彼女って?」
「…………」
兄ちゃんはここに居るメンバーを見渡して、溜息をついて部屋に戻ってしまった。
「そんな事より、プール行こうよ!」
「うん。あれ? でも、凛さんは?」
「凛は寝てる。いつも朝早いから、寝かせといてやって」
なるほど、ママにお花屋さんに大変なのかな? 昨日も都内からここまで、夜に運転して来たんだから疲れてるよね。
部屋に戻って水着に着替えて来ようっと。
「なんで、幸ちゃんラッシュガード着てるのーー!!」
ジュンくんのテンションが戻ってる?!
プールに着くと高いテンションのまま、ジュンくんが走ってあたしに近づいてくる。
「ぎゃあっ」
「はいはい、ストーップ!」
あたしに飛びつこうとしたジュンくんを、伸之くんがジュンくんのおでこを抑えて止めてくれる。
「いいじゃんか、ちょっとくらい」
「ダメだって!」
なんで、伸之くんが止めてくれたんだろう?
「なんだ?」
「いいのいいの、あの2人……本当は気が合うみたいだから」
「わっ! 凛さん!」
まだ寝てると思ってた凛さんが、後ろに居て少し驚く。
「本当は、って?」
「あの組み合わせの方が、先に会ってるからねぇ」
「……組み合わせねぇ」
「わっ! 悠真さん!」
いつの間にいる兄ちゃんに凛さんが驚く。
なんか、さっき凛さんに驚いたあたしとデジャブ。
「やっぱり、ノブより剛の方がジュンと先に会ってるんだ」
「わわわっ! そんな事あるわけないですよ?」
凛さんがうろたえて、あたしの顔を見る。
いや、あたしの顔を見られても、何も言ってあげられませんよ?!
「コンクールのノブじゃないだろ?」
「おー。悠真くんすごいねぇ? それ気付いたの、悠真くんで2人目ぇ」
「ふーん。それは、内緒にしてんだろ? 俺に気付かれていいの?」
「うん。だけど、お互いさまでしょ? それにノブも悠真くんなら、大丈夫って言うと思うし。ね? 幸ちゃん」
ジュンくんと遊んでたと思ってた伸之くんが、ヒョイと現れて、チラッとあたしを見て話し出す。
「なんで、あたしに聞くの?」
「なんとなくだよっ。ん? うわっ!」
バシャンと音を立てて伸之くんがプールに投げ込まれた。
「余計な事、言ってんじゃねーよ」
「ぶはっ! いいじゃん、少しくらい」
「で、他には?」
「もう、なんもないよ。たまには悠真くんも遊んだら?」
「ちょっと待て! 俺、水着じゃ……うわあっ!」
ノブくんに兄ちゃんが押されてプールに突っ込んだ。
ありゃりゃ、洋服のままんまで。
兄ちゃん、着替え無いってって言ってなかったけ?
「ほら、幸ちゃんもっ!」
「きゃあっ!」
凛さんに背中を押されて、プールに突っ込まれてそのまま大輔くんも来てみんなで遊んだ。




