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夢見たっていいじゃん!!!!  作者: YUKARI
第三章 始動
24/27

23 ノブの始まり。

 それにしても、さっきあたしが発狂して逃げ出した原因が、ノブくんだと言うのに……この普通の感じが、なんかむかつく。


「しょっぱなから、飛ばすからなぁ」


 いや、普通でもないか。

 なんか、ノブくん……凄く輝いてるもん。

 騒がれるから、あんまり遊びに行けないって言ってたけ? 夜で暗いし少しは誤魔化しがきくのかな。


「夜だっちゅーのに、並んでるなぁ」


 とりあえず、3つは乗りたいと言ってるノブくん。


「あのっ! クリスタルのノブくんですか?」


 帽子とメガネで変装してるのに、早速バレたのかあたし達の後ろから女の子の声がする。


「ん? 君は、ノブのファン?」


 くるっと振り替えって、他人事の用に話を始めるノブくん。


「えっ、あ! はい」

「そっかーそっかー。じゃあ、俺に声掛けたの正解だなー? なぁ? 悠真くん」

「は?」


 悠真? 兄ちゃん? 何? あ、あたしの事?! なんで、あたしに振るんだ? しかも、自ら正体をバラしてないか?


「なんで、俺に振るんだよ! 剛が声掛けられたんだろ」

「……剛?」

「あー、俺はノブの身内だから。外れだったねー。あはは、何? 女の子2人なの? 一緒に遊ぶ?」


 話をふられたからには、兄ちゃんぽくしてみたものの……ナンパ?! ノブくんのファンだったら、ノブくんの身内だったら断れるわけないじゃん! 


「おい!」


 慌てて、ノブくんの足を蹴る。

 何も言うなって、言われてたけどナンパは見逃す訳にはいかん。


「いでっ! なんで、蹴るんだよ」

「何、ナンパしてるんだよ。しかも、ノブのファンに! ノブの顔汚すつもりかよ!」

「……だってさ? 遊んじゃダメみたい。ごめんね?」

 

 ノブくんにニコっと笑いかけられた女の子は、顔を真っ赤にしながら「いえ!」と言って走り去ってしまった。

 あれ? 女の子もこれに、乗るんじゃないの?


「何したの?」

「なんもしてねーよ? あ、0時過ぎに電話して、って言って適当に書いた番号渡した」

「剛……さいてーだ」

「別にいいじゃん。どっか行ったんだから」


 何食わぬ顔して、酷いことするのね。

 女の子も紙を開いたらビックリだろうな。


「お前も声かけられたらどうするか、考えといた方がいいよ。今後のために」

「そんなに、すぐには騒がれないでしょ?」

「ショーが終わったら、すぐに雑誌のインタビュー入ると思うけど」

「そ、そうなの?」


 でも、さっきノブくんがやったのは、本人じゃないから出来た事であって本人としては実践出来ない技だよね?


「それに、ノブもあんな感じだし」

「ノブくん?」

「お前の知らない方な。あ、ほら、順番! 乗るぞ」


 あたしの知らな方って事は、えっと弟の事?

 

 そんな事より、さっきから少しだけ気になってたんだけど……。


「そういや、男2人で遊園地ってどうなの?」

「……き、気にするな!」


 ノブくん……今、挙動不審になったよね?

 あたしに対しての認識はやっぱり男か……こんな状況でも少しは女の子として、見てくれてもいいと思うんだけど。




「んー! 絶叫はやっぱり楽しいねぇ!」

「俺、遊園地なんてガキの頃に来たっきりだったわ。あ、最後にあれ行っとくか?」


 いくつか絶叫に乗った後にノブくんが観覧車を指してる。


「男カップルに見られるんじゃ……」

「うん、まぁ……中身はアレだろ。ほら、行くぞ!」

「え? あ、ちょっと?!」


 ノブくんに背中を押されて、観覧車に向かう。

 

 まぁ確かに中身は(アレ)ですけども。

 ファンに「なんなの! この女!」って、言われるよりは、かなりましだとは思いますけど。

 

 ……ん? あ! そうか、ましか。

 逆に男同士で注目されるかもって思ったけど、この時間の観覧車カップルだらけで、自分達の世界に入ってるから、あたし達には目もくれてないし興味もなさそうだし、気にしすぎたかな? 

 

「なぁ、お前なんで、俺の年齢の事とか何も聞かないだ?」


 観覧車に乗り込んでから、ポツリとノブくんが口を開く。

 なんで、っていわれてもなぁ……。


「だって、芸能人ってそういうもんじゃないの? あたしは、まだ芸能人とかじゃないけど、女なのに男ってやってるくらいだし……」


 って思ってたから、あえて突っ込まなかったんだけど。でも、気にならないと言ったら嘘にはなる。


「単純だなぁ。ま、そういう風な考えの奴ばっかりなら楽だけど」

「単純って言われても、あたし芸能界の事わかんないもん」


 楽って……なんか、やっぱり色々と事情があるのかな?


「俺ン家、母さん居ないだわ」

「だから、料理とか出来るの?」


 ん? なんか、話が逸れた気がするけど、お母さん居ないのと年齢は関係ないよね?


「姉ちゃん、勉強ばっかで料理なんも出来ないからなぁ」


 ノブくん、お姉ちゃんも居るんだ。

 あれ? なんで、お母さん居ないの? ノブくんは剛くんだから……ノブくんも?


 え? もしかして……


「何、変な顔してんだよ。お前、すぐに顔に出るんだな。母さんもノブも生きてるよ」

「いてっ……いや、あははは」


 パシッとノブくんに叩かれる。

 そんなにあたし、すぐに顔に出るのかな。


「商売してんの、俺ん家。親父とノブが今は店やってる」

「商売?」

「そ。花屋だけどな」


 お花屋さん……なんか想像つかないけど――。



 ******



 これは、俺がノブになる前……15才の剛の時の話。


「起きろよ親父! 仕入れの日だろ!」

「んー。俺の代わりに、剛が行って来いよぉ……」

「年齢的に俺は無理だろ! それに車も運転出来ねぇ! 早く起きろ!」

「うぎゃ! 剛……父ちゃん蹴るなんて」


 だったら、早く起きろちゅうの。

 無駄に早起き……むしろ夜中に起こしてやってんだから。


「剛ぃー! 今日の味噌汁はなめこのがいいなぁ」

「はいはい、分かった。さっさと行って来い」


 最初の嵐がやっと終わった。

 さてと、今のうちに店の開店準備と、洗濯と掃除やって……親父が帰って来る前に朝飯を用意して。

 

 去年、母さんが居なくなってから、俺のやる事が多すぎる。

 そりゃあ、母さんも家出したくなるよな……まぁ、ばぁちゃんの世話もしないといけなかったから丁度よかったちゃ、よかったのか。


 ◇◆


「ねぇねぇ! 剛! なんか、これから俺モデルする事になったぁ」

「はぁ?」


 モデルって、あのモデル?

 夕飯の時に、ノブ……伸之がいきなり意味不明な事を言い出した。


「なんか、1っコ下の赤木っつたっけ? 代わりにやってって頼まれてやったら、賞? 取っちゃった」

「ふーん」


 ノブがモデルねぇ?


「俺には関係ないけど、他に迷惑かけんなよ」

「はいはーい」


 ……返事は一回。

 とは、ダルイから突っ込まない。

 

 俺とノブは見た目は親父似、姉ちゃんは母さん似。

 ノブなんか性格まで、親父に似たみたいでチャラチャラしてるんだよなぁ。


 チャラチャラ……親父の軽い性格のせいで、母さんが出てったのもあるんだっけ?

 だから、モデルみたいな仕事は、親父似のノブには合ってるのか? 人タラシって言うの?


 俺が花屋を継ぐつもりで、高校は行ってなかったけど決定だなぁ……でも、高校は行く暇が無かったって、言った方がいいか。

 

「そんで、お前、高校はどうすんの?」

「え? 高校? 剛は、俺が行ける高校あると思ってんの?」

「姉ちゃんに、今からだって教えてもらえばいいだろ」

「私?! ヤダよ。剛ならまだしも、ノブはもう手遅れだよ」

 

 ……手遅れ。

 そんなに勉強してなかったのかよ。


「モデルとかって、人気商売だろ? 一生それで食ってくつもり?」

「大丈夫、大丈夫! だめだったら、バイトでもなんでもするし」

「死ぬまでバイトってわけには、いかないだろ?」

「じゃあ、剛がこの店でかくして、俺を働かしてくれればいーじゃん! てか、剛はどっかの年寄りみたい。うるさいなぁ」

 

 年寄りって……当たり前の事を言っただけだし、母さんも居たら同じこと言うに決まってんじゃん。

 ノブに聞いた俺がバカだったわ。


「ノブなら、大丈夫だよ。無駄に世渡り上手いから」

「だろー? ほら、剛! 姉ちゃんが大丈夫だって!」


 姉ちゃんは、自分が勉強を教えるのが面倒なだけだと思うけど、確かに無駄に女だけじゃなくて、男にも好かれるからな。


「ま、頑張れ」

「うんうん。頑張るー! 俺が有名なったら、剛も声掛けられるかもねー!」

「はぁ? なんで、俺まで声掛けられるんだよ」

「だって、こないだ凛の兄ちゃんの高校の制服借りて、凛と遊び行ったら「剛?」って声掛けられたよ」

 

 凛は近所に住んでる、俺とタメの幼馴染で店番も時々だけど手伝ってくれる……一応、ノブと付き合ってるらしい。


「……何バカな事やってんだよ」

「だって、凛が中学の制服の俺と、歩くの恥ずかしいって言うからさ」

「凛が言い出しっぺか」

「そうそう。飯食ったし、じゃあ俺は凛のとこに行ってくるー。ごっそーさん」


 最近よく夜に、凛のとこに行ってるけど大丈夫か? 変な事にならなきゃいいけど。

 変な事……そこまで、節操がないやつじゃないよな?


 ◇◆


「凛……今、なんつった?」

「だから、妊娠したって……」


 ノブがモデルを始めて、少しだけ仕事が増えて春になろうとしてる頃。

 凛が店を手伝いに来た時に、何か聞いてはいけない言葉が聞こえた。


「えーっと、一応は聞いとくけど、その父親は……」

「……ノブ? みたいな?」

「あのバカヤロウ……俺、ヤツ探してくるから。客が来たら、部屋に親父が居るから叩き起こして!」

「あ、ちょっと、剛?!」


 何やってんだよ、あのバカ。

 マジで変な事になってんじゃんか!

 

 まだ、あいつは15になったばっかりだぞ?!

 結婚で責任取るとかも出来ないし、仕事だってモデルしてるっつったって、小遣い程度しか稼いでないじゃんか。

 モデルとバイトを掛け持ちさせて……いや、あいつの事だから、そんなん出来るわけない。


 店、あいつにやらせるか? 俺は今から夜間高校にでも通えば、あいつよりはまともな仕事に就けると思うし……夜間だったら、ノブに店の事を教えながら学校にも通えるはず。


「あれー? 剛こんなとこで何してんのー? 店はー?」

「のーぶーゆーきー! お前のモデルの事務所連れてけ!」

「なんで? 剛もモデルしたいの?」

「そんな訳あるか! いいから連れてけ!」

「痛いっ! なんで、そんなにキレてんの?」


 なんで、キレてるかって?

 中坊の制服を着たまんまの姿のお前に「凛が妊娠した」なんて、ここで言えるわけがないだろ! 


「着いたよ? な、なんで、剛は一言も話てくれないのかなぁ? みたいな?」

「みたいな? じゃねぇよ! 偉い人のとこ連れてけ」

「え、え? なんで?」

「いーいーかーらー、つーれーてーけー!」

「わ、分かったよ……」


 とにかく、ノブに凛の親御さんにちゃんと謝罪させて、こいつに真面目に店させるって言わなきゃ。

 だから、モデルと軽いこの性格もなんとかさせて。


 顔を引きつらせてるノブに無理矢理、偉い人の所に連れっててもらった。


「って事なので、店を継がせるので……ノブはモデル辞めさせます」

「剛?! 辞めさせるって……ちゅか、凛が妊娠っ?!」

「うっさい、俺はお前と今は話してない!」


 社長さんがたまたま居て、俺の話を聞いてくれてる事になった。


「年齢非公開だけど、ノブはまだ15じゃなかったけ?」

「はい。あと少しで、中学卒業ですね」

「お兄さん……剛くんだっけ? は、いくつなの?」

「俺ですか? ノブの一つ上で16です」

「そっか、そっか」


 うんうんと頷きながら、俺を見定めてるのかニコニコしながら、社長さんは何故か俺の事を見てる。

 

「じゃあ、剛くんがノブの代わりにモデルの仕事するかい?」

「……へ?」


 俺と同時にノブも声を上げる。

 何言ってんだこの人? なんで、俺がノブの代わりにモデルしないといけないんだ。 


「まだ、ノブとこないだ契約を更新したばかりだからねぇ。剛くんが、ノブの代わりをしてくれるだけでいいんだよ」


 そっか、契約とかそういう事情もあるなら、こっちの都合で勝手に辞めるって言うのは、筋が通らないか。

 契約期間中くらいは俺が……。


「って、俺?!」

「そうそう。ちょっと髪型と変えれば、ノブに見えない事もなさそうだしね。まだ、ノブも少ししかまだ仕事してないから、なんとかなるでしょ」

 

 えーっと? なんで、俺?

 

「宏樹さん? 剛はモデルとかするキャラじゃないっすよ? 俺がきちんと満期まで……」

「ダメだ! 結婚も出来ないのに、なんて言ってお前は凛の親に許してもらう気でいんだよ! だから、お前は店を継げよ」

「だから、その……凛の妊娠って本当なの?」

「お前には思い当たる事が無いって、言いきれるのかよ?!」

「そ、それは……」


 言い争う俺たちを黙って、社長さんは見てる。

 俺ん家の事情に流石に口は出せないもんなぁ……でも、契約があるならやっぱり俺がやるしかないか。


「分かりました。俺やります……」

「うんうん。それなら、契約違反にはしないでおくよ。これから5年間、よろしく頼むよ!」

「え?! 5年?!」


 半年やそこらだと思ってたんだけど、5年って長くね?!

 モデルの仕事だけなら、店の事をノブに教えながらやって契約期間が終わったら、夜間高校にも通えるって思ったけど……モデルもしながら、家の事も店の事も学校もって無理じゃね?!


「ちなみに、契約違反とかになったら……どうなります?」

「まだ、ノブは活躍とかしてないから大した金額ではないけど、150万の違約金払ってもらう事になるかなぁ?」


 払えない額でもないリアルな数字を……だけど、うちにはそんな金は今はないぃぃぃ!

 姉ちゃんは大学決まったし、花の冷蔵庫も1つ壊れかけてるから買い替えないといけないし……。


「契約が満期になったら、辞めていいんすよね?」

「そりゃ、剛くんが辞めたいって言うなら」

「ちなみに、満期になった後の事なんて……」

「そりゃあ、自分でなんとかしてもらうしかないでしょ」


 ですよねぇ……5年後、21歳から夜間に通うのか? もう、みんな大学卒業とかの年齢じゃんか。


「ちなみに、剛くん高校は?」

「親父の花屋を手伝ってたんで、高校には行ってないですけど」

「じゃあ、今年はもう受験は終わっちゃってるし、来年からなら高校行けるけど」

「え? 行けるんすか?」


 来年からなら、1年でなんとか店の仕事をノブに教え込めれば、20歳には卒業も出来てモデルも終わる。


 元々、何故か年齢を非公開でモデルをしてたノブのおかげで? 年齢を少しサバを読むことにはなったけど、高校を餌に俺はモデルをする事になった──。


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