表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見たっていいじゃん!!!!  作者: YUKARI
第三章 始動
20/27

19 撮影

「ふーっ! 疲れたぁっ!」


 湯浅さんに言われてスタッフさんも巻き込んで、バスケの練習……じゃなかった撮影が終わった。

 

「ユキ、少し時間が空くから、今のうちにしっかり休んでおけよ。午後からまだ撮影あるから」

「え? 終わりじゃないの? 淳美さんが帰ったから、もう終わりだと思った」

「午後からは、試合だって。淳美さんも事務関係の仕事やりに少し戻っただけだよ」

「練習したんだから、試合もないとねー」


 なんて、突っ込みを入れてみましたが、本気でここに居る理由を一瞬忘れそうになってたよ。


「試合って事は、他のモデルさんも来るの?」

「来れば分かるよ」


 スタッフさんが買って来てくれた、お弁当を頬ばりながら兄ちゃんに聞く。

 来れば分かるよって、質問の答えにはなってないけど、誰か来るって事は確かっぽいな。


「あー! 悠真くん、いたー! おはよー」


 あたしと兄ちゃんが、休憩してるロッカールームに一人の男の子が入って来た。


「来るの早くないか? (ホタル)

「うん。夏休みで、オレ暇なんだもん。あ、君が噂のユキちゃんー?」

「あっ! 初めまして、よろしくお願いします」

「よろしくねぇー」


 あたしと同じ位の身長のおっとりした、感じの男の子が来た。

 しかも、あたしの事を今「ユキちゃん」って呼んだけど、女って分かってるから呼んだわけじゃないよね? 

 心配になって、兄ちゃんの方を見ると「知らないよ」って口パクをしてきた。


 そういえば、兄ちゃんは来れば分かるって言ってたけど、この子は初対面だよね?


「うーん。ユキちゃん、その格好もカッコいいけど……もったいないねぇ」

「え? もったいない?」


 腕組みしながら、首を傾げてあたしをジッと見る蛍くん。


「だって、そんなにスタイルいいんだから、ミニスカートとかで足出しても素敵だと思うよー!」

「は?!」


 ミニスカート?! え、兄ちゃんさっき……知らないって言ったよね? どういう事?!

 兄ちゃんも驚いたのか、慌てて手に持ってた缶ジュースをガシャンと、床に落として中身が散らばる。


「な、な、何を蛍は口走ってんだよ?! スカートって、女が着るもんだろ?」


 兄ちゃんがこんなに慌ててるの、初めて見たよ!

 って事は、蛍くんは何も知らないはずだったって事だよね?!


「だって、ユキちゃんは女の子じゃん」

「蛍……何処をどう見たら、ユキが女に見えるんだよ! お前は」

「何処って、見れば誰だって分かるでしょー? ねぇー?」


 見れば分かるって……蛍くん。

 男の子の恰好してるのに、女の子って気付いてくれて……なんか、なんか、蛍くん、ありがとう!

 って、お礼を言ってる場合じゃない感じだよね?!


「えっと、蛍くん? 僕、流石にスカートとか着るのはちょっと嫌かな?」

「えー、もったいないなぁ……あ! もしかして、内緒だった?! あー、オレってばよく空気読めって、怒られるんだよなぁ。また、やっちゃったよぉ。うん! 誰にも言わないから、オレの言った事は忘れて! オレも忘れる!」

「……お? おう?」


 蛍くんの自己解決に、不思議そうな顔をした兄ちゃんとあたしは顔を見合わせる。


「じゃあ、改めて自己紹介ね! (ホタル)、中学3年で15才。ちなみに名前は芸名! 敬語はいらないよぉ」

「悠真の従弟のユキで、蛍くんと同じ年で……だよ」


 あたしの手を握って、ニコニコしながら自己紹介してくれたから、思わずあたしも自己紹介したけど……これでいいのか? 大丈夫なのか?!


「……蛍、誰にも言うなよ? 言ったら、秋香さんをお前の所に派遣するからな!」

「もう忘れたってばー! でも、秋香ちゃんがオレのとこに来たら、ご飯おごってもらうねー!」 


 秋香さんの事を秋香ちゃんって呼んで、秋香さんの名前にビビらないで、ご飯をおごってもらうって言ってる蛍くんって……何者?



 ******



 兄ちゃんが言ってた通り、バスケ……撮影に来たメンバーは蛍くん以外は、知ってるメンバーでした。


「じゃあ、このメンバーで3on3やれ。チームは、ジュン、ノブ、ダイ。もう一つは……仁志、蛍、ユキ。コートは半面で好きにやってくれ。ユキは相手チームの3人を蹴散らす勢いで本気でやれよ。あ、撮影中に俺にぶつかってカメラ壊れたら弁償してもらうから、それだけは頭に入れとけ」


 蹴散らせって言われてもこの中で、一番あたしが背低いのに無理じゃね? 


「ユキちゃん、ジュンちゃんがそっち行ったよ!」

「わかった!」

「ボールは貰う!」


 蛍くんの声に反応してみたものの、ジュンくんさんよ……カッコいい事を言ってるけど、ジュンくんはなんか腰が引けてる。

 ドリブルしながらジュンくんを観察してると、ボールを叩いてカットしようとしてるけど、タイミングが合わないのか全く、あたしの持ってるボールを触れる気配がない。


 湯浅さんは本気でやれって言ったけど……中身はクソガキだけど、一応は先輩だし手加減した方がいいのかな……。


「ユキー! ジュンくん、実は……ってか、運動音痴だから先輩とか気にしないで、遠慮しなくていいーよ!」

「俺も、気にしなくていいと思う」


 悩みながらドリブルをしてると、何故か敵チームの大輔くんの意見に同意した仁志くんの声。

 いいのかな? と思いながらジュンくんを簡単に抜いて、ゴール下からシュート。


「ナイス、ユキ!」

「ユキちゃん、ナーイス!」


 仁志くんと蛍くんと、ハイタッチ。


 そういえば、仁志くんはあたしの顔を見た時「あっ」って顔をしたけど、すぐに空気を読んでくれて初めましての挨拶をしてくれた。

 ちなみに、仁志くんは「HITOSHI」って芸名は書くらしい。


 それにしても、少し思ったんだけど。

 仁志くんもあたしの事に気付いたのに、ジュンくんが気付いてないって、ある意味凄いよね。

 まぁ、ジュンくんには、このまま男だと思われてた方が楽そうだから、いいんだけど。


「ダイ! ジュン使えないから、あんまりジュンにボール回すな」

「いや、それじゃあ撮影にならないから!」


 ノブくんが痺れ切らして少しイラっとした表情になる。

 そりゃ、ジュンくんにボールが回った瞬間に仁志くんも蛍くんも、ボール取ってるもんね……。


 点数計算はしてないから、点数差は分からないけど確実にあたしのチームの方が、点数を入れてるのは確実。

 そんな試合を湯浅さんも、あたし達に動きを合わせて動き回って写真を撮ってる。

 

「……よし、ひとまず、休憩。30分後にユキ、仁志、蛍で普通に3ショット撮るから。その後とクリスタルには、他のスタッフが指示出すからそれに従って」

「はい!」


 湯浅さんの声に、返事をして休憩。


「ユキくん、お疲れさま。メイクと髪の毛を、直すからそのまま休憩しててねぇ」


 休憩しにロッカールームに行くと、淳美さんがメイクを直してくれる。


「淳美さん、偉い人なのにあたしのメイクしてていいんですか?」


 兄ちゃんは淳美さん担当のクリスタルのメンバーの、アシスタントしてるって言ってたけど、あたしなんかの所に居ていいのだろうか……。


「いいの、いいの! 今日は動くって聞いてたから、きちんとメイクしてるのユキくんだけだから。直しは悠真でも出来るから悠真がそっち行ってるわ」

「僕だけ?」

「そうそう。だって、ユキくんはアレだからね」


 アレって、あたしが女って事を言いたいんだね。


「わー、もう暑いー! 淳美ちゃん、オレもメイク直してぇ」

「……こら、蛍。ノックしないで入るなよ! すいません。失礼しまーす」

「あ! ごめん。入りましたー。えへへ」


 仁志くんの怒られてえへへって、笑う蛍くんなんか可愛い。

 このロッカールームはあたし達3人の控室兼、メイク室みたい。


「ねぇ、淳美さん。今日の撮影って何の撮影か聞いてる?」

「あ、オレもそれ今日の聞いてない! ユキちゃんは?」

「え?! 僕も、聞いてないよ?!」


 撮影って、本当は最初に何の撮影か普通は聞いてるもんなんだね。

 初めてだから、気にはなってたけど2人も知らないとなると気になる。


「今日の撮影? あら? 何も聞いてなかったの? アイドル雑誌に載るやつよ」

「……俺、アイドルじゃないんすけど」

「何言ってるんだよぉ。仁志ちんはCMも出てるんだから、アイドルっぽいじゃん! オレの方こそ、モデルしかしてないもん!」


 そんな事を言ったら、あたしは何もまだしてませんけども。


「あー。勉強したいから、仕事を減らしてって言ってんのに。あの、クソばばぁ……」

「へぇ、仁志ちん、偉いねぇ! もう大学の勉強してんのー?」

「違う。翠玉から違う学校に編入したいの!」

「えぇ?! 仁志ちん、オレの先輩じゃなくなるの?!」

「モデルでは蛍の方が、先輩だろ」


 若干、2人の話が噛み合ってない気がするけど、確か仁志くんはモデルとかしたくないから、秋香さんから逃げ回ってたんだよね。

 聞いた話によると、あたしと同じくらいのおバカさんだから、行く高校なくてモデルやってるんだよねぇ……。

 一応は嫌々ではないけどあたしも、似たようなもんか。


「ねぇ、ユキはなんでこの事務所に入った?」

「え?! あたし?!」


 正に考えてた事を聞かれて、驚いて「あたし」って言っちゃって一瞬、仁志くんが「あっ」って顔をしたものの、蛍くんを見たらニコニコしてたから仁志くんもまぁいいかと言う顔になる。

 そうだ、今ここに居るメンバーはあたしが女だって分かってたんだ。

 だけど、これからは気をつけないと……。


「いや、まぁ……建前上は、悠真兄ちゃんの学校のモデルを、頼まれたからなんだけど。結論的には、仁志くんと理由は似てると思う」

「あぁ、そ、そっか……はは」

「オレはねぇ、たまたま……小学生の時に、秋香ちんの家の前で、泣いてたら拾われたのー。あ! オレも学校のモデルの今年は出るよー」


 そりゃ、仁志くんは苦笑いにもなりますよねー! 流石にバカなので、事務所入りましたとは言いにくい。

 仁志くんのメイクをしながら話を聞いてる淳美さんは、仁志くんの話を知ってるのか、あたしの話を知ってるのか、クスクス笑って聞いてる……あはは、お恥ずかしい限りです。


 それにしても、不思議ちゃん全開の蛍くんもショーに出るんだ。

 知ってる人も一緒のショーに出るって、少し安心感あるけど賞があるって言ってたけど、蛍くんもなんか関係あるのかな?

 マイペースな感じからして、何か考えるって気はしないけど、どうなんだろ?


 だけど、何より1番は……蛍くんの、泣いてる所を秋香さんに拾われたが1番気になります。


 「なぁ、蛍とユキはどっちのが背高いんだ?」


 控室に突然入って来た湯浅さんが、あたしに驚かせる暇もなく話し出す。


「わかんない! ユキちゃん背比べしよー!」

「う、うん?」


 ──結果。


「ユキのがデカいな」

「えぇっ! オレ成長期だもん! まだ伸びるもん」


 ……男の子に身長勝っても嬉しくない。

 

「じゃあ、センターは蛍だな。じゃ、撮影始めるから出て」

「はいっ」


 撮影を始めるって湯浅さん言われて返事はしたけど、まだ休憩時間10分は残ってるよ!

 とは、あたしも含め仁志くんも蛍くんも、言い返さない所を見ると、これが湯浅さんスタイルなんだと思う。


 黙って言う事を聞いて、控室と言う名のロッカールームから出ると、兄ちゃん家の一階のスタジオで見た傘みたいなライトなどがセッティングされてる。


「俺からの指示は、蛍は屈んで仁志とユキは後ろに立って3人でふざけろ。以上!」


 ふざけろ?! 何を言ってるのだ?

 一緒にバスケしたからって、そこまでまだ打ち解けてないよ?


「……はぁ。めんどくせっ」


 仁志くんから、聞いてはいけない台詞が聞こえたと思ったら、仁志くんの態度がガラッと豹変した。


「なぁ? ユキは好きなやつとかいねぇの?」

「はっ?」


 いやらしい感じではなく、仁志くんがあたしの肩に腕を回して聞いてきた。

 

 ……あたしの好きな人?

 あ、いや。えぇぇっ?!


 ──こないだのキス思い出しちゃった。もう一回しようか?


 脳裏にノブくんの台詞が、頭に響いた。


「ユキちゃん、どーしたの? もしかして、好きな人の事でも考えてたのー?」


 な、なんで、ノブくんの事を今、思い出したの? そりゃあ、なんかあのキスは事故ではなかったポイけど、あたしがノブくんの事を好きとは関係はない。

 じゃあ、なんでノブくんはあたしにキスしたの? あたしの事が……。


「いや、違うし!」

「違うって……じゃあ、なんでユキは顔真っ赤にしてんだよ。あはは」

「あ、本当だぁ! 顔真っ赤だぁ」  

「えぇっ?! ま、真っ赤?!」


 この後、2人にかなりからかわれ続けられてたら、いつの間にか撮影は終わった。

 と思ったら、蛍くんのからかいはまだ終わって無かったらしく、小声であたしに話しかけて来た。


「ねぇ、ユキちゃんの好きな人って男の子? 女の子?」

「お、男の子だよ!」

「あはは。やっぱり好きな人いるんじゃんー!」


 はめられた。

 って、思ったけど、聞かれて今はっきりとあたしは男の子って答えた……。

 これが、あたしの本音?


 あたしは、ノブくんの事が好き──?



 撮影が終わってから、用があるからヘアメイクの事務所に来てと淳美さんに言われた。


 事務所に行ってからシャワーでもよかったんだけど、慣れないメイクと汗で気持ち悪くて体育館のシャワー室に向かった。


「なんか、疲れた……」

「おい、こら! こんな所でシャワー浴びようとしてんなよ」

 

 ブツブツ言いながら、シャツを脱ごうとしたら腕を誰かに掴まれた。


「だ、誰?!」

「誰? じゃねーよ。少しは自覚しろよなぁ、ここ男子の共同シャワー室だろ。俺と一緒にシャワー浴びる気かよ」

「え? 共同……あれ? あ! いや、あ! あれっ? あああああああっ?!」


 共同シャワー室もそうだけど、あたしはノブくんの事が好きなのか? って事を考えてたら、腕を掴んでるのもノブくんで余計に慌てる。


「何にも考えないで、シャワー浴びるつもりだったのかよ……。いくら、俺がユキの事を分かってるからって、分かってるからこそって事も考えろよ」

「あ、いや、メイクと汗がだから、そのあれで、えっと、あれ?!」

「じゃあ、まじで一緒に浴びる?」


 グイッと壁際に追い込まれる。


「い、一緒?!」

「そっ、一緒に」


 ニヤリと笑って、あたしのシャツにノブくんが手にやった瞬間……救いの神の声がした。


「あれ? ノブとユキ……何やってるの?」

「あ、ダイか。このバカがここでシャワー浴びようとしてから、止めてた」


 何事もなかったように、あたしから自然と離れて大輔くんに返答するノブくん。

 ……た、助かった。

 

「ユキ……少しは気にした方がいいよ。それに、ジュンくんもすぐに来るよ?」

「あー、そりゃあヤバいねぇ。ユキちゃん、どうすんの? それでも入る?」

「あ、いや、その……」


 ユキちゃんって……これは、確実にあたしの事をノブくんはおちょくってる。

 もう入らないよ!

 おちょくられて、ここから立ち去るタイミングも何故か無いんだもん! 早くここから、立ち去ればいいんでしょ?!


「俺らこれから、まだ仕事あるから事務所に帰って、シャワー浴びる時間ないしなぁ……」

「あっれー? 3人で何やってんのー? シャワー浴びないの?」


 そこにジュンくんが、登場。


「ほら、ユキどーすんの?」

「ど、どうせ……どうせ……、どうせ、僕のはちっちゃいよーーーーー!! わーー!!」


 もう、なんであたしがこんな恥ずかしい事を叫んで、ここから逃げなきゃいけないんだよぉ!

 ノブくんはクスクス笑い、大輔くんは茫然、ジュンくんは同情の眼差し。


 ……えぇ、付いてませんから、あたしのは小さい以下ですよ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ