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第六十七話 カツオ

 雄一は目を開くと暗いルームの中にいるのが分かった。周囲に目をやると誰もの姿を見取らなくて空ろな部屋だった。


「ここはいったい」


 椅子を立ち、彼は自分のこめかみうぃ擦った。すると、あの白いローブのやつはヤワラカイとセツナの家に現れて彼に迫るということを雄一が思い出せた。そこからすべては真っ黒かった。


 そして、もう一つの記憶が蘇えた。


 佐々木はあの世界で彼女の気持ちを伝えたときのことであった。


 けれど、その思い出が雄一を混乱させた。


 だって、二つの世界には関係があるはずだという結論つけても、二つの世界の思い出が混ざるものが雄一を戸惑わせる。その上、彼の意識が勝手に行ってくるのは少しイライラさせることだ。


 どうにせよ、今はそのルームから抜け出す方法を見つけるには集中しなければならないのだ。


 彼のあたりの壁へ視線をしたが、ドアがなかった。壁に手を置いて、ボタンとかあるではないかと探してみたけれど何もがなかった。ただ煉瓦まみれの壁だった。


「いや、おかしなんだよ」


 ドアがないならどうしてここに入ったのか。


「魔法でかもしれんな」


 でもそれはつまり、一人でここから抜け出すことが雄一はできない。


「……面倒くさいな」


 ルームはなかなか暗かった。けれど、雄一の目が暗闇に慣れたので比較的に彼の視力は明確であった。


 椅子に腰をかけると雄一はため息を吐く。


(なんでここまで俺が連れられたのかよ。あのやつは総偽精霊はずだろ。俺を殺したいならなんで殺さなかったのか。わからねな)


 そう思いながら雄一は腕を組むと天井を眺める。


 そして突然、足音が聞こえてルームに響く。


 雄一はルームの隅から隅まで目を走らせると、床の隅から入ってくる姿を見取れた。


(白いローブのやつだ)


 総偽精霊は指を鳴らすと壁に八本の灯火が現れ、ルームが灯られる。


 雄一を見ると笑って両手の手のひらを合わせながら口を開く。


「ああ! 目が覚めたのかいっ? 素晴らしいようっ」


「…………」


 総偽精霊の言葉に雄一はただ彼を眺めて嫌気を見せるように顔をしかめた。


(なんだこいつ、気持ち悪い)


「なんでわたしをその目で見ているのかいっ? わたしは気持ち悪いと思っているでしょっ!」


「ばれたか」


「やさしくないやさしくないっ」


 かぶりを横に振りながらそう言う。


「失礼だようっ! わたしのこと知らないっ?」


「知らないな」


 雄一の答えに総偽精霊が咳払いをして開口する。


「わたしはカツオだっ」

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