第六十八話 聞きたいこと
カツオという総偽精霊の自己紹介に雄一は微苦笑な笑みを浮かべる。
「お前って総偽精霊ということ否定だろ」
「そのとおりだようっ。わたしは総偽精霊だようっ」
「つまり、お前はあの手紙を送ったってもんか」
「手紙っ?」
カツオはその言葉を繰り返すと小首を傾げた。なんの話なのか思い出したようで人差し指を立てて口を開く。
「ああそうだっ、あの手紙だっ。確かにわたしはキミにその手紙を送るという命令したんだねっ」
雄一は肩をすくめて問いかける。
「……で、俺との用はなに?」
「そうだねっ。何だと思うのかねっ?」
その問いに雄一は腕を組みながら言い返す。
「……俺を殺したくないだろ。そうだったら、すでに俺は殺されたじゃん。でも、ここにいるぞ」
「そうだねっ。わたしはキミを殺したくないようっ。わたしはアクトちゃんじゃないからねっ」
「あいつは元気か」
雄一はそう言ったところでカツオは笑い出した。
「おもしろいな、キミはねっ。アクトちゃんかわいそうかわいそう」
「で、殺したくないならお前の目的は?」
雄一の質問にカツオは指を鳴らして、そうだっと答える。
「キミに聞きたいことがあるよっ」
そう言うとカツオはわざとらしく咳払いをすると言葉を継ぐ。
「ここは、おかしな場所だと思わないのかいっ?」
「ここって……」
そう言いながら雄一はそのルームを見回すとカツオは言い添える。
「この部屋のこと話していないようっ。この世界についてだようっ」
「この世界?」
雄一はそれはどういう意味なのかと言わんばかり顔を浮かべるとカツオはあらためて口を開く。
「キミはここの者ではないでしょっ。というと、キミはあの世界から来たということなんだねっ……で、キミの答えはっ?」
「……おかしな場所と言われるとおかしなんだな。けど、お前は言ったとおり、俺はあの世界から来たろう。この世界はおかしなんだって思うのは当たり前じゃん」
雄一は滑稽なことを言ったようでカツオはくすっと笑う。
「当たり前だと……そうなのかねっ。キミはあの世界に戻ったことがあるなんだねっ……そして、あの女の子たちもあの世界でいるでしょっ」
「……なんでそれを―」
質問を問いかけようとしたところでカツオの手に小さい紙が現れた。カツオはその紙にある文字を読むと微笑む。
「失礼するよ、キミ。新しい清めなければならない者たちがいるよっ」
カツオはそう言ってそのルームから消えた。
けれどその瞬間に、雄一は違和感を覚えた。




