第六十五話 話し
放課後がくると美月と美鈴と教室の扉の近く集まって、せーのと俺たちは各々のスマートフォンの画面を押して谷和原にメッセージを送る。
「これでいいかな」
「どうかしら……待つしかないわね」
美鈴と美月が疑問を述べると、ため息交じりで歩き出す。
廊下に歩いた途端〝異世界〟というあの世界の思い出が俺の頭に来る。
ヤワラカイとセツナの家にいたところで気持ち悪いやつは現れて俺に近づいた。しかし、そこから全部は真っ黒くなって何も見れない。
どうしてそうなったのか、今は分かるすべがないのだ。けれど、あのやつは総偽精霊であり、俺は〝現実世界〟というここの人だからそうしたかもしれないのだ。
どうにせよ、今はそれに関して考える場合じゃない。
気がつくと校門にたどり着いて、そこに佐々木は彼女の鞄を両手で持ちながら俺たちに声をかける。
「急な質問かもしれませんけれど、わたしの話を聞いていいですか?」
その問いに、小首を傾げつつ美鈴は美月と俺と一目を交わすと佐々木に笑って頷く。
「もちろんだよ、刹那ちゃん」
「ありがとう」
そう言うと佐々木は弱く頭を下げて歩く。
彼女を追いかけると五分で小さい公園に連れて、美鈴と佐々木と美月はブランコに腰をかけて俺は立ったのままで佐々木の言葉を待つ。
「……この間に語ったとおり、最近は櫂ちゃんとわたしの関係は変になっちゃったです……。昨日の出来事に分かったかもしれません」
空を見上げながら佐々木がそう口にした。この間に語ったとおりって、美月と俺はアイスクリームを食べたときのことあり得るのだ。
「櫂ちゃんの仕草は大学と関係があるとまだわたしは思います」
佐々木がそう言うとすぐに言葉を継ぐ。
「……けれど、それについて今は話したくないのです……。わたしは、ちゃんと考えてみました。なんで櫂ちゃんはああなのですかって。なんでわたしはこうなのですかって。そして、なんでこんなことになったのかって……」
真剣そうな表情を浮かべつつ佐々木がそう述べる。
彼女の話を遮ることなく、俺たちはただ耳を貸す。
「ずっと悩み続けてきた。それで、わたしはある結論に至ったのです」
「それは?」
美鈴がそう問うと、佐々木はブランコの鎖を握りながら微笑む。
「恋というのは不思議ですね」
彼女の顔を見ると、佐々木の頬は赤い見えた。
それはつまり―
「刹那ちゃん。具体的に、なにが言いたいの?」
美鈴はそう聞くと佐々木は言い返す。
「櫂ちゃんのことが好きだよと思います」




