第五十七話 侵入
「カツオの住む場所ですか?」
「そうだ。あたしはこの景色を見たことがあったよ」
ミナが描いた絵を示しながらミレイがそう宣言すると話し続ける。
「そして、誰かにそこはカツオって総偽精霊の城だと言われた……。けど、いつだったか覚えないね」
ため息まじりでミレイはそう告げた。
「……とにかく、とっととあそこへ行こう」
「はい、行きましょう」
ミナはそう言い返すとセツナも口を開く。
「気をつけてください」
「気をつけるんです」
アヤの言葉にミツキは悩みの種が尽きない顔を浮かべると話す。
「ちょっと待って。ヤワラカイさんとセツナさんを一人にさせないでしょう。あの者たちはもう一つの黒い狼を現させてここに襲わせるのは可能だわ」
ミツキはそう述べるとミレイは唇に人差し指を当てて、賛成をする。
「確かに……」
ヤワラカイとセツナは守る精霊のいない人なので瞬間移動できないし、リフン村にもシルデス村にも行けなくてここにいるほかないのだ。
「そうなんでしたら……わたしは残るんです」
手を上げながらアヤはそう口にして頷いた。
「ミナちゃんとミレイちゃんとミツキさんは行くべきなんです。だからわたしはできる限りヤワラカイちゃんとセツナちゃんを守るんです……。必ず川宮雄一さんを連れてきてくださいね」
「きっとそうするよ、アヤちゃん」
ミレイはそう言うとそれじゃあ行こうと言わんばかりにミツキとミナにこっくりと頷いた。
一瞬でミナとミレイとミツキは城の前に現れると周囲に誰もいないのを確認した。
「どうしましょうか?」
ミナの質問にミレイは思案顔を浮かべつつ沈黙した。
ミレイは何も言わないのでミナは視線を巡らすと、そうですと沈黙を破る。
「あの木です」
ミナは差している木にミレイとミツキが目をやるとミナは言いたいものは分かった。
木の枝の近く城の窓があって、その窓は開きっぱなしであった。それゆえに、木を登ればその枝まで行ったら城の窓は辿りつきやすいスポットなのだ。
「うん、それね」
そう言うが早いかミレイは木を登ろうとして、彼女に次いでミナが登ってその最後にミツキも木を登った。
問題なくで枝をたどり着く窓へ跳ねて城の中に到着する。薄暗がりの部屋の内に三人はお互いに視線を交わすと、ミレイは透明な袋から灯火を取り出した。
「じゃあ、川宮さんを救いに行きましょう」
と、ミナがずばっと促した。




